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【目白台】永青文庫 早春展「細川家の日本陶磁―河井寬次郎と茶道具コレクション―」

  • 2025.2.23

河井寬次郎(かわいかんじろう)

永青文庫で開催中の「細川家の日本陶磁―河井寬次郎と茶道具コレクション―」[2025年1月11日(土)~4月13日(日)]を見て来ました。

本展では、大正から昭和にかけて活躍した河井寬次郎の作品や細川家伝来の茶道具を観覧することが出来ました。

また江戸時代、肥後熊本藩の御用窯となり、熊本を代表する焼物である八代焼(やつしろやき)コレクションや、細川護熙(ほそかわもりひろ)・護光(もりみつ)の作品が特別展示されます。

永青文庫の所蔵する多彩な日本陶磁のコレクションが観覧できる展覧会です。

※特別な許可を得て撮影しています。館内は撮影禁止です。

出典:リビング東京Web

永青文庫

護立の寬次郎への支援、中国古陶磁をモデルとした作品から民藝運動へ

河井寬次郎(1890~1966)は、島根県出身で東京高等工業学校窯業科卒業の後、京都市陶磁器試験場に入所し釉薬や焼成の研究に没頭します。

大正3年から15年頃までの寬次郎の作品は、中国や朝鮮半島の古陶磁をモデルとした作風が見られます。昭和4年~23年頃は思想家・柳宗悦(やなぎむねよし)との出会いにより「民藝運動」に参画して作風は大きく変化していきました。

《紅彩鉢(こうさいはち)》(手前)は、民藝運動参画後の昭和初期の重量感のある作品です。緑かかった釉薬に見込みには鮮やかな辰砂の赤が映えます。

展示作品からは、民藝運動に参画する以前の中国の古陶磁をモデルに様々な釉薬と焼成を試しながら、寬次郎が自らの造形表現を探求して行く様子が伺えます。 同時に、寬次郎の作品を入手することで支援をしたと考えられる、永青文庫の設立者・細川護立(1883~1970)の芸術のパトロンとしての重要な役割も見えてくる展示でした。

 

出典:リビング東京Web

河井寬次郎 《紅彩鉢》(手前) 昭和6年(1931)頃、ほか「細川家の日本陶磁―河井寬次郎と茶道具コレクション―」展示風景

《兎糸文火焔青花缾(としもんかえんせいかへい)》

《兎糸文火焔青花缾》(右)は箱蓋裏に「倣大宋均窯茄皮紫」とあり、「中国・鈞窯(きんよう)の技法に倣って」制作された作品です。乳濁した青味のある陶器に、「兎の毛のような細かい筋状」の釉薬が縦長の容器に変化のある景色を見せています。

本作は大正10年(1921)、東京・髙島屋呉服店の第一回創作陶磁展観に出品されました。箱底裏のラベルの番号9と、『第一回創作陶磁展観目録』に記載された作品番号や作品名が一致していることから同展出品の作品であることが分かるそうです。

当時、第一回創作陶磁展観に際して行われた帝国ホテルの披露の会には護立も出席しています。

出典:リビング東京Web

河井寬次郎 《兎糸文火焔青花缾》(右) 大正10年(1921)第一回創作陶磁展観(東京)出品、ほか「細川家の日本陶磁―河井寬次郎と茶道具コレクション―」展示風景

燃えるような赤《草花文花缾(そうかもんかへい)》

釉薬が赤く美しい発色を見せる釉裏紅(ゆうりこう)の技法で焼成された《草花文花缾(そうかもんかへい)》。箱蓋裏には「釉裏紅窯變(ゆうりこうようへん)」とあります。窯の中の炎の形をそのまま写したような景色です。

出典:リビング東京Web

河井寬次郎 《草花文花缾》 大正10年(1921)第一回創作陶磁展観(東京)出品

唐三彩を思わせる《三彩四方煙草筒(さんさいしほうたばこづつ)》

《三彩四方煙草筒》(左)。模様が型抜きで貼り付けられているそうです。 護立は、のちに《三彩宝相華文三足盤》をはじめ「唐時代の三彩を多数入手している」そうです。

出典:リビング東京Web

河井寬次郎 《三彩四方煙草筒》(左) 大正11年(1922)第二回創作陶磁展観(東京)出品

細川家の茶道具コレクション

細川家には細川幽斎(ほそかわゆうさい・藤孝〈ぶじたか〉)、三斎(さんさい・忠興〈ただおき〉)などが茶の湯を愛好したことから茶道具コレクションが数多く伝わります。特に細川三斎は、千利休(せんのりきゅう)の高弟として「利休七哲」の一人に数えられています。

展示では唐物と和物を比較するなど細川家の多彩な茶道具コレクションを見ることが出来ました。

重要美術品《瀬戸肩衝茶入 出雲肩衝(せとかたつきちゃいれ いずもかたつき)》、重要美術品《瀬戸肩衝茶入 銘 塞(せとかたつきちゃいれ めい こしじ)》

重要美術品《瀬戸肩衝茶入 出雲肩衝》(右)の名は所持した飛騨国高山藩主・金森可重(かなもりありしげ)の官名である出雲守にちなんだ名前だそうです。 三斎が強く望んで可重から入手したそうで付属の書付も展示されていました。 金森可重は、江戸時代前期の茶人・金森宗和(かなもりそうわ)の父だそうです。

重要美術品《瀬戸肩衝茶入 銘 塞》(左)。 銘の塞(こしじ)は、北陸道を意味する越路にちなんでいるそうで、もとは加賀前田家所持で付属の書付によると「小堀遠州(こぼりえんしゅう)が仕覆(しふく)を整え、箱書を記した」とのことです。 6代藩主・細川宣紀(ほそかわのぶのり)の時に、武蔵国忍藩主・阿部正喬(あべまさたか)から細川家に渡った茶入れです。

出典:リビング東京Web

右から、重要美術品《瀬戸肩衝茶入 出雲肩衝》桃山時代(16~17世紀)、重要美術品《瀬戸肩衝茶入 銘 塞》 江戸時代(17世紀) どちらも永青文庫蔵[/caption]

日本陶磁の多彩な魅力を細川家のコレクションで味わう

2階展示室には象嵌(ぞうがん)技法によるシャープな模様で知られる八代焼を見ることが出来ました。《八代焼 象嵌梅花文茶器》は梅花文がかわいらしい茶器で日常使いでも使えそうな素朴な味わいがあります。

また特別展示として細川護熙(もりひろ)、護光(もりみつ)の作品が展示されていました。

永青文庫で開催中の「細川家の日本陶磁―河井寬次郎と茶道具コレクション―」は4月13日(日)までです。 是非お出かけください。

出典:リビング東京Web

右から、上野弥一郎 《八代焼 象嵌蘭花文香合》 明治時代(19世紀)、上野熊次郎《八代焼 象嵌梅花文茶器》 明治時代(19世紀)

出典:リビング東京Web

手前、細川護熙 《唐津天目茶盌》 平成16年(2004)、《赤茶盌》 平成16年(2004)、左奥、細川護光 《黒楽茶碗》 令和4年(2022)、《信楽茶碗》 令和6年(2024)

文京区立肥後細川庭園

肥後細川庭園は雪吊りの木々が冬景色を感じさせてくれました。

※肥後細川庭園と敷地内にある松聲閣は無料で入れます。

〇公益財団法人 永青文庫

URL:https://www.eiseibunko.com/

住所:〒112-0015 東京都文京区目白台 1-1-1

TEL:03-3941-0850

開館時間:10:00~16:30 (入館は16:00まで)

休館日:月曜日(ただし、2/24は開館し、2/25は休館)

※状況により、臨時に休館や開館時間の短縮を行う場合があります。最新の情報はX(旧Twitter)またはホームページをご覧ください。

※来館時に事前予約は必要ありませんが、混雑時はお待ちいただく場合があります。 ※当館の感染症予防対策については、ホームページをご覧ください。

交通:JR目白駅(「目白駅前」バス停)・副都心線雑司が谷駅出口3(「鬼子母神前」バス停)より、都営バス「白61 新宿駅西口」行きにて「目白台三丁目」下車徒歩5分。 都電荒川線早稲田駅より徒歩10分。有楽町線江戸川橋駅(出口1a)より徒歩15分。東西線早稲田駅(出口3a)より徒歩15分。

※駐車場無。周辺の有料駐車場をご利用ください。

〇早春展「細川家の日本陶磁―河井寬次郎と茶道具コレクション―」

会期:2025年1月11日(土)~4月13日(日)

入館料

一 般:1000円 シニア(70歳以上):800円 大学・高校生:500円

※中学生以下、障害者手帳をご提示の方及びその介助者(1名)は無料

〇文京区立肥後細川庭園 

住所:〒112-0015 東京都文京区目白台1-1-22

TEL:03-3941-2010

開園時間:1月まで:午前9時から午後4時30分まで (但し、入園は午後4時まで)、2月から10月まで:午前9時から午後5時まで(但し、入園は午後4時30分まで) 松聲閣(しょうせいかく):午前9時から午後5時まで

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