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【渡邊渚】「自分の体験や思いを伝えて、理解ある世の中をつくっていけばいい。それがアナウンサーとしてできる最後の使命だと思いました」<後編>

  • 2025.2.6

前編はこちら! → 【渡邊渚】「人生を一度捨てたからこそ、気持ちに嘘をつかないことの大切さに気付いたんです」

「今は、人と繋がってお仕事をするのが楽しくなりました」

【渡邊渚】「自分の体験や思いを伝えて、理解ある世の中をつくっていけばいい。それがアナウンサーとしてできる最後の使命だと思いました」<後編>

──前編でも少しお伺いしましたが、PTSDを経験してからの変化は、仕事に対する意識や向き合い方にもあったとエッセイで拝見しました。

「そうですね。昔は本当に守りの人生だったので、将来安定するためにはどんな仕事をすれば良いかなど長期的な目線でライフプランを考えていましたし、自分が持っている仕事がなくなったら私はおしまい、お給料をもらえなくなったらもう稼げないと思っていました。

でも、トラウマとなる辛い出来事を経験したり、PTSDという病気を乗り越えることで、仕事が人生のすべてではないし、私が大事に守ろうとしていたものたちは絶対的に正しいものでもなかったということに気付いたんですよね。だからこれからは、楽しそうだなと思ったところにふわっと行けるような自由な生き方をしたいです」

【渡邊渚】「自分の体験や思いを伝えて、理解ある世の中をつくっていけばいい。それがアナウンサーとしてできる最後の使命だと思いました」<後編>

──素敵です。辛いことを経験しても、いろいろなことに挑戦しようという意欲はどこから湧いてくるのでしょう?

「人とつながって仕事をしていることがすごく楽しいと思えるようになったので、それがモチベーションになっているんだと思います。一年半ぐらいお休みしていたときは、ほとんど家にこもっている生活だったので、やりたいことが何も出てこなかったんです。どんどん社会から離れて孤独になっていく気がして、自分は社会の役立たずなんだ、と思っていたから。

でも、社会復帰ができたら、今度はアナウンサーとして叶えたかった夢や、やりたかったことを手放さざるを得なくなったことがすごく悔しくて。やり残したことをやっていきたいという気持ちが強くなっていきました」

「伝えることをやめてはいけない。それがSNSを続ける理由」

【渡邊渚】「自分の体験や思いを伝えて、理解ある世の中をつくっていけばいい。それがアナウンサーとしてできる最後の使命だと思いました」<後編>
【渡邊渚】「自分の体験や思いを伝えて、理解ある世の中をつくっていけばいい。それがアナウンサーとしてできる最後の使命だと思いました」<後編>

──辛い経験を経て活躍されている渡邊さんの姿を見て、希望を持てる方も多いかと思います。

「そうなってくれたらいいなと思っています。PTSDという精神疾患に対しての偏見はまだまだたくさんあるし、理解してもらえないことも多いのが現実。ただ、それを嘆くのではなく、理解が進む世の中をつくっていけばいいなと思っているし、自分の体験や思いを透明に出して伝えていくということが、自分がアナウンサーとしてできる最後の仕事だったのではないかなと思っています。伝えることをやめてはいけないという使命みたいなものですね。SNSでの発信をやめない理由の一つでもあります」

【渡邊渚】「自分の体験や思いを伝えて、理解ある世の中をつくっていけばいい。それがアナウンサーとしてできる最後の使命だと思いました」<後編>

──良い面だけでなく、悪い面も目立ってしまう今のSNS社会ですが、ご自身はどのように向き合っていますか?

「SNSってすごく便利だし、私にとっては療養中に社会と唯一繋がれる場所だったので、そういう利点があることは良いなと思うのですが、誹謗中傷等に関しては気にしてしまう方も多いですよね。

私はトラウマとなった出来事の方がとても辛かったので、そのことと比べると、知らない人から届く悪意ある言葉はあまり気にならないんです。あと、SNSの世界をパラレルワールドだと思っているからかも(笑)。結局、SNS上でのいき過ぎた発言は陰口みたいなもので、現実世界で直接言えないから書いているだけだと思うんですよ。だからそこに一喜一憂せず、現実世界を一番に考えて大切にしたいと思っています。

一方で、SNSのパラレルワールドも見方によっては大切。私のSNSの場合、病気や治療法に対する意見や情報交換ができる場所になっていたので、そういう貴重な場所を大切にしたいなと思って、今でもコメント欄を閉じないようにしています」

「髪が抜けたとき、もっと美容を楽しめばよかったと後悔しました」

【渡邊渚】「自分の体験や思いを伝えて、理解ある世の中をつくっていけばいい。それがアナウンサーとしてできる最後の使命だと思いました」<後編>

──今回、美容メディアVOCEにご登場いただきましたが、美容に関する意識はいかがですか?

「PTSDになったことがきっかけで、美容やファッションに対する興味が高まりました。もともと人並みにやればいいやくらいに思っていたタイプなのですが、療養中、肌が荒れたり、髪の毛が抜けてしまったりして、もっと美容を楽しんでおけばよかったなと思ったんです。やっぱり、鏡に映る自分が思っている姿ではないというだけで、ストレスに感じちゃって。

一番落ち込んでいたときは美容に関することは何も手につかなかったのですが、ちょっとだけ元気になってきたとき、一番気にしたのが髪の毛でした。生えてきたことがうれしかったのもあるし、傷んだ髪をきれいにしようとお手入れしたら、ちょっとおしゃれして外出したいなという気持ちになったりして。美容ってこんなにやる気を出してくれるんだなと驚きましたね」

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──美容の力って偉大ですよね。改めて、今スキンケアやメイクで心がけていることを教えてください!

「もともと光線過敏症を持っていて敏感肌なので、とにかくUV対策が一番。日焼け止めはたくさん持っていて、最近は『By ttt.(バイティースリー)』の『CLEAR SUN STICK』がお気に入りです。ショートカットにしてから首まわりの日焼けも気になるのですが、スティックタイプなので塗りやすく、洋服も汚れにくいので愛用しています。

夜寝る前は『ラネージュ』の『リップスリーピングマスク』で唇のケアをしたり、肌に負担をかけたくないときは『&be(アンドビー)』の『ファンシーラー』でパパッとカバーしたり。基本的には、自分の肌に合うコスメかどうかが選ぶ基準ですね。シャンプーやトリートメントも、洗浄力が強いと頭皮が荒れてしまうので、オーガニックのものを使用することが多いです。

また、お肌の土台作りが一番大切だと思っているので、お家ではなるべく玄米やオーガニックの野菜を摂ったり、お砂糖ではなくキトゥルハニーを使ったりしています。でもその分、外食では思いっきり好きなものを食べています。グミも大好き!」

──(笑)。ありがとうございます。それでは最後に、今後の目標を教えてください!

「まだ社会復帰して3〜4ヵ月ぐらい(取材当時)しか経っていないので、正直まだ自分に何ができるのかというのもわからないところが多いんです。でも、メイクやファッションなどのモデルの仕事もやってみたいですし、書くお仕事もしたいし、他にもいろいろあります。こんなふうに、やりたいことが心の中から湧いてくること自体が一年前の自分では考えられない。この人生を送っていることがすごいなと自分でも思っているので、心のままに挑戦していけたらなと思っています」

PROFILE

渡邊渚(わたなべ・なぎさ)

1997年4月13日生まれ。新潟県出身。2020年フジテレビに入社し、アナウンサーとして活躍。2024年8月に退社後は、フリーで活動中。

『渡邊渚フォトエッセイ 透明を満たす』

『渡邊渚フォトエッセイ 透明を満たす』
Ⓒ三宮幹史/講談社

発売中
フリーランスとして新たな活動をスタートさせた、渡邊渚のフォトエッセイ。本書のために書き下ろされた長編エッセイと、新境地を感じさせる充実のフォトパートで構成される一冊。

前編はこちら! → 【渡邊渚】「人生を一度捨てたからこそ、気持ちに嘘をつかないことの大切さに気付いたんです」

撮影/井澤和己 スタイリスト/筒井葉子(PIECE MONKEY) ヘアメイク/𠮷﨑沙世子(io) 構成・取材・文/高橋夏実(Spacy72)

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