Text by 石井彰(編集部)
スペイン最高クラスの名門クラブであるレアル・マドリーは、選手の育成にかけても世界屈指である。数多くの若手がそこで育ち、様々なチームへと羽ばたいていく。
今回は『Planet Football』から「レアル・マドリーの下部組織出身なのに他のクラブでカルトヒーローになった9人の選手」をご紹介する。
フアン・マタ
活躍したクラブ:バレンシア、マンチェスター・ユナイテッド、チェルシーなど
フアン・マタの才能が広く知られるようになったのは、バレンシアでの活躍がきっかけだった。しかし、最初に彼の才能を見出したのはレアル・マドリーである。
2006-07シーズンにレアル・マドリー・カスティージャで39試合に出場し9ゴールを記録したが、トップチームでは出番を与えられることがなかったため、バレンシアへと移籍することを決断した。
マタは攻撃的ミッドフィルダーとして頭角を現し、スペインでの活躍を経てチェルシーへ移籍。そこで2年連続でクラブの年間最優秀選手に選ばれるなど、クラブ史上に残るプレーヤーとなった。さらに、マンチェスター・ユナイテッドでもプレーし、スペイン代表としても2010年のワールドカップと2012年のEURO優勝を経験した。
マルコス・ジョレンテ
活躍したクラブ:アトレティコ・マドリーなど
マルコス・ジョレンテは、マドリッドで生まれ育ち、家系にもレアル・マドリーの血が流れる縁の深い選手だ。しかしトップチームでの出場機会に恵まれず、2019年にアトレティコ・マドリードへ移籍することとなった。
ディエゴ・シメオネ監督の下、守備的ミッドフィルダーから攻撃的な役割をもこなす万能型の選手として才能を開花させた。特に2020年のチャンピオンズリーグでのリバプール戦は、ジョレンテの転機となった試合だ。延長戦で2ゴールを挙げ、チームを準々決勝へ導くヒーローとなった。
その後、ジョレンテは2020-21シーズンのリーガ優勝にも大きく貢献。現在も中心選手として安定したパフォーマンスを見せている。
フアンフラン
活躍したクラブ:アトレティコ・マドリーなど
フアンフランは、アトレティコ・マドリーで350試合以上に出場し、クラブの象徴的存在となった選手だ。しかし、そのキャリアのスタート地点はレアル・マドリーだったのである。
2004年にレアル・マドリーのトップチームでデビューを果たしたが、わずか11試合の出場にとどまった。その後出場機会を求めて2005年にオサスナへ移籍。ここで右サイドバックとしての新境地を開き、2011年にアトレティコへ加入した。
それからは2013-14シーズンのリーガ優勝や複数回のチャンピオンズリーグ決勝進出に貢献して中心選手に。特に、彼の堅実な守備と献身的なプレースタイルは、シメオネ監督の戦術に欠かせないものとなり、ファンからも愛される存在となった。
ダニ・パレホ
活躍したクラブ:バレンシア、ビジャレアルなど
ダニ・パレホは、レアル・マドリーの伝説的選手アルフレッド・ディ・ステファノから「ユースで最高の才能」と評された選手だ。しかし、トップチームではわずか5試合の出場に終わり、2009年にヘタフェへと移籍した。
その後バレンシアに加入したパレホはキャプテンとしてチームをけん引し、コパ・デル・レイ優勝にも貢献。2021年にはビジャレアルへ移籍し、ヨーロッパリーグ優勝を果たした。
現在35歳となったもの、今もビジャレアルで中心選手で有り続けており、スペイン国内で700試合以上の公式戦出場を誇る。そのキャリアは多くのファンからリスペクトされている。
マルコス・アロンソ
活躍したクラブ:チェルシー、バルセロナなど
レアル・マドリーのユースで育ったマルコス・アロンソは、トップチームでの出場はわずか1試合。その後ボルトン・ワンダラーズを経て、フィオレンティーナでステップアップを果たした。
さらに2016年にチェルシーに加入したアロンソは、プレミアリーグで左サイドバックとして攻撃的なスタイルを発揮。特にフリーキックの名手として知られ、多くの重要なゴールを決めた。
34歳になった現在はセルタ・デ・ビーゴでプレーを続けており、その経験とリーダーシップは若い選手たちにとっても貴重な財産となっている。
パブロ・サラビア
活躍したクラブ:セビージャ、PSG、ウォルヴァーハンプトンなど
サラビアも、レアル・マドリーのトップチームでは成功を収めることができなかったが、他クラブで才能を開花させた一人だ。
セビージャでは主力選手として活躍し、その後パリ・サンジェルマンへ移籍。リオネル・メッシやキリアン・エムバペと共にプレーするなど、あまりインパクトは残せなかったものの、国際的な経験を積んだ。
2023年にはウォルヴァーハンプトンに加入し、プレミアリーグでの挑戦をスタートさせた。32歳となった今でも、その技術と知性は健在で、チームにとって欠かせない存在となっている。
エミリアーノ・ブエンディア
活躍したクラブ:ノリッジ・シティ、アストン・ヴィラなど
アルゼンチン出身のエミリアーノ・ブエンディアは、2009年にレアル・マドリーのアカデミーに加入したが、1年で退団。その後、ヘタフェでプロデビューを果たし、イングランドのアストン・ヴィラで活躍。先日レヴァークーゼンへローンされた。
特にノリッジ・シティでは2部最高のウインガーとして評価を高め、3300万ポンドというクラブ最高額となる移籍金で引き抜かれている。
さらにプレミアリーグで攻撃的MFとして確固たる地位を築いたブエンディアは、レアル・マドリーを退団してから急速な成長を見せた選手だ。
フィリップ・リーンハルト
活躍したクラブ:フライブルクなど
オーストリアのラピド・ウィーン出身のリーンハルト。2014年にレアル・マドリー・カスティージャへと加入したが、トップチームでのチャンスは得られなかった。
2017年にフライブルクへ移籍して才能を開花させ、長く中心的な選手として活躍。ブンデスリーガでもトップクラスのセンターバックとして評価されており、代表チームでも存在感を発揮している。
ボルハ・マジョラル
活躍したクラブ:ヴォルフスブルク、レバンテ、ローマ、ヘタフェなど
15年もの間レアル・マドリーのアカデミーに所属しながら、トップチームでは定着できなかったボルハ・マジョラル。2016年からローン生活を送り、ヴォルフスブルク、レバンテ、ローマ、ヘタフェでプレーし、堅実に結果を残してきた。
さらにヘタフェへと完全移籍したあとは調子を上げ、2023-24シーズンには15ゴールを記録するなどリーガ屈指のアタッカーとして評価を高めている。