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反抗期は子どもも困ってるって本当!?親が気をつけることは?子どもの反抗期の原因についてお教えします。

  • 2025.1.31

子どもの反抗期!聞けば聞くほど身構えてしまう・・・または、今絶賛悩み中の親御さんへ。
今回は、臨床心理士であり、小学校教諭、保育士の資格もある一般社団法人マミリア代表理事鎌田怜那さんに子どもの反抗期の原因と対策についてお伺いしました。

反抗期は子どもも困っている!?

ママ広場

子どもの反抗期は、対応する親にとってとっても厄介な時期のように感じるかもしれません。
関わるほど対立が増え、イライラや悲しみに圧倒されるくらいなら関わりたくない・・・という感じでしょうか・・・。

子育て全般にいえることですが、子どもに対して困り感を感じる場面は“子どもも困っている場面”と捉え直してみましょう。そう思うと、優しい気持ちで子どもを理解したくなりませんか?
「反抗期」も同じです。反抗しているようで、子ども自身も困っているのです。

反抗期は避けては通れない、避けても必ず再来する重要な時期です。
来るべき時に来て、経験するべきことを経験できれば、その子の成長・発達は次のステージへ力強く進むことができます。
反抗期とは・・・「自律・自立の調整期間」です。

1歳半~3歳の反抗期:自律の調整期間 「自分で自分をコントロールできなくて困ってます!」

一般的に第一次反抗期といわれる「イヤイヤ期」。
自分でできることが増えてきて、でもできないこともたくさんあって・・・。
また、意思も明確になってきて、やりたいことができない場面にも直面しやすくなって・・・。
「自分の欲求・要求が通らない」経験が増えるこの時期に、怒りや悲しみを込めて感情をぶつけてきます。
何を言っても「イヤ!」と即答ですよね。
「ご飯食べるよ~」
「イヤ!」
「食べないのね?」
「イヤ!」
「食べるの?」
「イヤ!」
・・・親に余裕があれば、笑える状況ですが、毎日毎日続くとうんざりします。

この時期は「イヤ!」と言いたいだけ。
親の言うことを聞きたくない。言いなりになりたくない。
思い通りにならないなんてうんざり!と、抱えきれない強い感情を発散しているのです。

この時期の反抗は、意思ある一人の存在であることを主張している感じで捉えてください。
決してあなたのことが嫌いになったとか、性格が悪い子とか、躾の失敗とか思わないでください。

しかし、なぜ突然イヤイヤ言うのでしょう?
赤ちゃんの頃から、子どもの欲求・要求に応え続けてきた親としては、言葉も通じるようになり、少しずつ社会性も身につけてほしい・・・と求めるものが増えてきている頃ではないでしょうか。
ぐずったとしても、親があやせばすぐに落ち着くことができていたのに。
穏やかな親子関係が築けていたのに。

親の方も悲しさや怒りに圧倒されてしまいます。
我が子が思い通りに動いてくれなくてうんざりします。

・・・気付きましたか?この時期の子どもたちが感じている感情と同じ感情を親も体験しているのです。
一緒になってパニックになっていると、親子で反抗期となってしまいます。
ここは親がドンと構えて、子どもたちの大変な道のりをサポートしましょう。
自分が感じている不快な気持ちは子どもを理解するヒントと思って大事に感じ取ってくださいね。

では、このイヤイヤ期の深い部分にはどんな心理が働いているのでしょうか・・・
実は第一次反抗期の子どものイヤイヤの根底にあるのは・・・「ママは自分じゃなかった!」という気付きがきっかけとなり、強い悲しみや怒りを感じます。もちろん子どもたちは自覚ありません。

言葉にしなくとも、なんでもわかってくれたママが、急に物分かりが悪くなった。
なんでもやらせてくれたママが、よく怒るようになった。

こんな体験を通して、ママを思い通りにできないことを思い知ります。
思い知って落ち込む子もいれば、怒りをぶちまける子もいます。
これは持って生まれた性格で出方が変わります。(なので、イヤイヤ期に激しく反抗はしないけど、いつも悲しそう、笑わなくなったというお子さんもいます。)

この気付きを通して「ママと自分は別人である」という、大事な現実を受け入れるステージに突入するのです。これはとても苦痛を伴うので、痛みを解消するために「ママのバカ!」「大っ嫌い!」「パパがいい!」など心にもないことを言ってしまったり、訳もわからず暴れてしまったり・・・という言動が出てくるのです。

加えて、“ママは自分の思い通りにはならない”とわかり、それを受け入れようと努力している最中なのに、“ママの方は自分を思い通りにしようとしている!”となると、非常に腹が立つ訳です。
これが、何を言っても「イヤ!」と即答する心の内側での出来事です。

痛みをわかってくれるのもイヤ。わかってくれないのもイヤ。
だって、どうしたって「ママは自分じゃない」現実は変わらないので・・・どうにも辛い時期なのです。

この時期に突入したら、「お!我が子も大事な現実に気づいたか」と成長を喜びましょう。
そうは言っても、いつも心穏やかに対応はできません。
一人でがんばらず、多くの仲間と子育てをしましょう。
やり場のない気持ちを、大人の仲間に聞いてもらいましょう。
きっと、「あるある!」「うちも!」と共感者が必ず見つかります。
仲間と繋がって、共に乗り越えましょう。

いつまで続くかわからないのも苦しいですよね。
第一次反抗期は順調に進めば、4歳くらいに落ち着いてきてきます。
この時には、今まで恨み辛みを言ってごめんね・・・と伝えようとする言動が増えてきます。
率先してお手伝いをしてくれたり、ママ・パパのことが大好きな気持ちを素直に表現してくれたりするようになります。この日を楽しみに、1歳半~3歳の時期をなんとか乗り切りましょう!
[気をつけたいこと]
イヤイヤ期の辛さを避けるような関わりは要注意!
・子どもの要求に応え続けること
・親の言うことを聞くように強要すること
・ご褒美や罰の多用
・動画などのツールでイヤイヤを未然に防ぐ

この関わりを続けていると、一向に「ママと自分は別物」を受け入れられず、反抗期が長引きます。
親も辛いでしょうが、必ず終わりが来る期間限定のものですのでお付き合いください。

小学校高学年~中学生の反抗期:自立の調整期間「自立するのが不安で困ってます!」

反抗期といえばこの時期を思い浮かべる人がほとんどなのではないでしょうか。
第二次反抗期、いわゆる「思春期」です。

この時期の子ども達はホルモンの影響もあり、第一次反抗期の子どもたちのように、自分ではどうにもコントロールが難しい衝動性に困っています。わけもわからずイライラしたり落ち込んだり。
それが人間関係にも影響が出やすくなり、子ども自身も困惑の渦中にいます。
親としては、「何でそんなにイライラしているの!?」と原因を知りたくなるところですが、本人たちもわからないのです。ホルモンによる影響なので・・・。
子ども達は、自分の体がどんどん変化していくことに、日々適応していかないといけないのです。
この“変わり続ける”こと自体が「不安」なのです。

不安がつきまとう日々の中で、子ども達は自分に意識が向きやすくなります。
どこかで笑い声がすると「自分のこと笑ってるのかな?」と被害感や疎外感を感じたりして、過敏な状態です。そして「自分とは・・・」という問いが湧いてきて、先の見えない自問のステージに突入するのです。
親や友達と上手く付き合っていくために我慢してきた自分に気づいた子は「本当の自分とは?」と自問し、これまでリーダー格だったけど実は自信がない自分に気づいた子は「自分の強みとは?」を自問し・・・頭の中は、自分のことを考えることで満杯で爆発しそうなんです。
そんな時に、言われたくないことを言われると、激しく抵抗・攻撃をします。
全ては“自分を守るため”です。

また、思春期の子ども達は、親よりも友達や先生の影響が強いです。
親が良かれと言ったことは全て「うるさい!」と突っぱね、友達・先生の言葉がスッと心に入るのです。
ポジティブな内容なら良いのですが、ネガティブな内容も心に深く入ります。
親の知らないところで、心に深く影響を受けているのです。
今までは、親の言うことを聞いていれば間違えない、親が全て・・・という世界観だったのが、判断基準が“親以外”になってしまい、これまでの子育てや躾について、いろいろとコメントをするようになります。

社会から見て我が家はどうなのか?
絶大なる信頼をおいていた親は、社会から見るとどうなのか?

そんな視点で親の言動を見るようになります。
なので、ひとつ一つが気に食わずに、いちいち指摘したくなる。
細々したことを言われたくない・・・
こうして子ども達は親と距離を取るようになります。

子ども達は、成長の過程でモラルや作法などを身に付けています。
それは、親が子どもと生活を共にする中で伝えてきたものです。
自分に染み付いている“信じて疑わなかったもの”と異なる価値観に気づくのが思春期。
なので「信じていたもの=自分が揺らぐ」不安定な時期なのです。

親としては、我が子“人が変わった”ように感じるかもしれません。
あんなに大事に育てたのに・・・と涙を堪えたり、思わず手が出てしまったり・・・親も子も同じ心境です。この時期は「信じて待つ」に尽きます。

しかし、思春期の子ども達は“衝動性”のコントロールが難しいことは常に忘れずに。
突発的に、思い立って、ありえないことをやってしまうこともあります(辛いことですが、いじめや自傷行為、自死などの背景には衝動性も影響しています)。
親の世話になりたくない気持ちの強さと同じくらい、親に助けてほしい気持ちも強いです。
ありえないことをしてしまった時に、やったことを叱責・指導するだけだと、子どもは心を閉ざしてしまいます。やってしまった背景に理解を示すようなやり取りができると良いですね。
この“すったもんだ”を繰り返す中で「一人で生きていけると思ったけど、やっぱり難しかった」という“人は一人では生きていけない”ことを子ども達は学びます。
思春期の大嵐を通して「どんな失敗をしようとあなたは見捨てられない」「困った時は助けを求めていい」という、生きていく上でとても大事なスキルを獲得するのです。

もう一つ大事なこととして、栄養不足の影響もお伝えしておきます。
この時期の子ども達は体が急成長しているので、これまでの食事内容で栄養が追いついていないことがあります。朝が起きられなくなった・疲れやすい・意欲低下などが見られた際には、食事と別に補助的なドリンクやサプリの摂取も取り入れてみてください。特に女子は初潮を迎えると貧血対策が必要です。男子も筋骨が急成長するので、たんぱく質やミネラルが不足しがちです。
食事の管理は、この時期の子どもに直接関われる唯一のことと言っても過言ではありません。

思春期を抜けると、自己実現に向けて突き進む“青年期”が待ってます。
「本当の自分」を見つけ、生きていく上で大事なスキルを獲得できた子ども達は、疾風怒涛といわれる青年期を果敢に進んでいきます。この時、親が直接関われることはほとんどありません。
「うんうん。それでいいんじゃない?」「あなたが選んだ道。ママは応援するよ」と背中を押すくらいでしょうか。
[気を付けたいこと]
突き放すだけの関わりや無関心は要注意!
・子どもの言葉を鵜呑みにしない(放っとけ!=放っておいて欲しいではない)
・まだまだ助けが必要な時期。助けを求めた時に応えないのは不安・恐怖を強め、孤立・引きこもりにつながる
・親の思い通りになると思わないように

第二次反抗期の前触れ。実は大事な小学校中学年。ギャングであり哲学者でもある「社会へのチャレンジャー」

ママ広場

第一次反抗期と第二次反抗期の間にいる子ども達ですが、実はとっても大事な経験をしている時期です。

この時期の子ども達は、世界や宇宙に気持ちや思考が向くようになります。
地球温暖化や絶滅危惧種のことを本気で考え始め、解決したいと熱い思いを抱いていたり、ニュースを見ながら、コメンテーターさながらに疑問や意見を呈したりします。
仲間集団の繋がりも強くなり「一緒に渡れば怖くない」という感じで、仲間で結託してイタズラをしたりすることもあります。
これは何をしているのかというと「大人社会への挑戦」です。

物事の善悪はわかるのだけれど、それが本当なのか試してみたくてたまらない。
今までは一方的に指導されてきた立場の子ども達も、大人の矛盾に気付き始め、黙ってはいられない。

なので、親のお金をこっそり盗ってコンビニで買い物したり、お友達の文房具を勝手にもらったり。
ニュースやドラマを見て偉そうなことを言ったり、親に対して指摘したり。
そして「大人がどんな反応をするのか」待っているのです。

些細な出来事が続いたり、気づかないところでコソコソしたりするので大人が見過ごすこともあります。また、痛いところを突いてくるような疑問だったりするため、怒りで反応したり答えることが面倒に感じたりしてしまい“子どもの挑戦に大人として対応しない”結果になることも多々あります。

ここで「大人は信用できない」という体験になると、社会への挑戦が続いていきます(学校でのトラブルが続くなど)。次に待っている思春期が激しくなったり非行につながったりということもあります。
思春期は“自分のことで頭がいっぱい”ですが、この時期の子たちはまだ視野や思考の範囲が広いです。なので、いろんな考えを深め、真理を尽くことがよくあります。

地球温暖化が進んでいるのに、なんで冷房を使い続けるの?車に乗り続けるの?なんでゴミを減らそうとしないの?・・・と大人社会への疑問は止まりません。そして、その疑問を大人社会の代表である親にぶつけるのです。この問いは次から次に出てくる上に難しい問題なので、うるさく思えて疎ましくなります。そうして親がこのやり取りの相手をしてくれないと、その相手を親以外に求めるようになります。

親以外に話し相手がいるお子さんは、いろんな人に話を聞いてもらうでしょう。思春期になると、親に頼らない基礎が出来上がります。話し相手がいないお子さんは、問題行動を繰り返すことで社会を確認し続けるでしょう。
この哲学的な時期の子ども達は、目をキラキラさせて世界を探求しています。これこそが学習力につながるのです。思春期で突然大変になるわけではなく、この前触れの時期をどう過ごしたか・・・が思春期の在り方に影響します。

子どもの反抗期が問題ではないことも

反抗期に関係なく、子どもがぐずりやすい、常にイライラ、自信がなくて落ち込みやすい・・・など、親の気持ちが刺激され続ける場合、親自身の“インナーチャイルド”が癇癪を起こしている可能性が。
かつての私が、我が子に映し出されて無性に辛くなったり妬ましく思ったり・・・と、無意識の部分で影響を受けていることもあります。
この場合は、カウンセリングなど専門家に話を聞いてもらいながら、心の中の私を癒す必要があるかもしれません。多くの場合、子ども達があなたの心を癒してくれています。子どもに癒してもらい続けていると、子ども達にも影響が出てきます。気付いた時がスタート!勇気の一歩を踏み出して、自分の過去と向き合ってみると、ずいぶん生きやすくなりますよ。

終わりに

子育てはどこを切り取っても大事な時期。
それぞれの時期で、親・大人の存在が不可欠です。
だからこそ、親だけで子どもを育てるのはとっても難しく、子育ての仲間が必要です。
親族だけでなく、親自身が心を許せる、頼れる仲間をたくさんつくりましょう。
思春期以降は“親だからできないこと”が増えてきます。
子どもにとっても親以外に頼れる人が幼少からいると“頼れる人探し”から始めずに済みます。
家庭だけで抱え込まず、時には専門家の力も借りながら
社会・仲間と繋がって、共に育んでいきましょう。

執筆者

プロフィールイメージ
鎌田怜那
鎌田怜那

一般社団法人マミリア代表理事
臨床心理士・公認心理師

子どもの‘発達する力’に魅了され、その魅力を伝える活動をしている。
昨今の育ちの環境に危機感を覚えつつも、愛情深い母親たちの出口の見えない悩みに、道筋を示せるよういろんな方法で情報を発信している。
自身も3児の母でもあり、支援しつつも支援してもらいながら、思い通りに行かない子育てを楽しんでいる。
悩んでいるうちに、子どもは大きくなりますよ!子どもと、仲間と一緒に発達していきましょう!!

一般社団法人マミリア

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