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「婦人科医に聞く」薬によって月経を止めるリスク、閉経後の影響はあるの?

  • 2025.1.31

子宮内膜症や月経困難症などの疾患によって月経を止める方法のひとつに、ジエノゲストの服用があります。長期服用が可能なことから閉経まで続けている女性も少なくありません。そこで、薬によって月経を止めるリスクや閉経後の影響について、女性の健康に関わる研究や医療を推進する「女性の健康総合センター」の婦人科医・小宮ひろみ先生にお答えいただきました。


【婦人科医に教わる薬で月経を止めるリスク】

月経を止めるジエノゲストとはどんな薬?

夏目 子宮内膜症や月経困難症など子宮の病気で、生理を一時的に止める際に使うジエノゲストとはどんな薬ですか? 小宮先生 黄体ホルモン(プロゲステロン)のみが含まれる薬です。低用量ピルと違って、卵胞ホルモン(エストロゲン)が含まれていません。ジエノゲストは、子宮膜が厚くなるのを防ぎ、子宮内膜症や月経困難症のほか、子宮腺筋症にも効果があります。 夏目 長期間服用しても構いませんか? 小宮先生 1日2回服用し、継続しても構いません。ジエノゲストは長期的な服用が可能なお薬ではあるものの、副作用が起きてないかをしっかり確認しておくことがとても重要で、不正出血が多い、鬱っぽい、頭痛などの副作用があらわれることがあります。定期的に婦人科でさまざまな数値を調べたうえで継続しましょう。

ジエノゲストを閉経前にやめたらどうなる?

夏目 服用をやめるタイミングややめた後に考えられる不調などはありますか? 小宮先生 タイミングは疾患の経過によって異なるのでなんとも言えません。ただ、長期服用していた場合、骨密度をはじめとした数値の変化に気をつけてほしいです。 夏目 閉経前に服用をやめた場合、その後の月経期間や周期はどうなりますか? 小宮先生 服用前と同じように月経がはじまる方もいますし、閉経まで逃げ込める方もいます。いつ服用をやめるかによって異なりますね。

閉経後は骨密度の低下に気をつけて

夏目 更年期症状の治療のひとつに、ホルモン補充療法(HRT)がありますが、ジエノゲストとの違いを教えてください。 小宮先生 ホルモン補充療法(HRT)は、更年期によって低下したエストロゲンを補うことで更年期症状を改善する治療法です。一方、ジエノゲストは含まれず、プロゲステロンのみを含む薬ですから、種類がまったく異なります。

HRTの主な治療法には錠剤、ジェル、パッチがある

夏目 ジエノゲストを閉経するまで服用する人が多いと聞きました。 小宮先生 3年、5年と続けている方もいますよ。 夏目 ジエノゲストの服用を続けた場合、閉経後に何か影響はありますか? 小宮先生 長期的に月経を止めて閉経をした場合、エストロゲンが多少分泌されていたとしても、いちばん気になるのは骨密度です。更年期になると低下する一方ですから、骨粗しょう症などのリスクが考えられます。 夏目 骨粗しょう症はもっと上の年代かと思っていました。 小宮先生 最大骨量は18歳から20歳ぐらいで決まっていますから、40代でも少ない方がいます。ですから、今のうちに数値をしっかり把握しておきましょう。もし、骨密度が低いことがわかれば、生活習慣を見直し食事や運動などで補い骨を丈夫にしましょう!


【教えてくれたのは】

小宮ひろみ先生

国立成育医療研究センター 女性の健康総合センター センター長、女性総合診療センター センター長 1986年山形大学医学部卒業。同大産婦人科などで勤務した後、2004年より福島県立医科大学附属病院にて女性専門外来(2008年より性差医療センター)を率いる。同大医学部医療人育成・支援センター臨床医学教育研修部門副部門長、男女共同参画推進本部副本部長、男女共同参画支援室長、性差医療センター教授、ダイバーシティ推進本部副本部長、ダイバーシティ推進室長などを経て現職。専門は産婦人科、生殖内分泌、性差医療、漢方医療、女性医学。

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