Text by 奥崎覚(編集部)
ロアッソ熊本が県内唯一のJリーグクラブである熊本県だが、育成面ではそれに勝るとも劣らない実績を残しているサッカークラブがある。
それは、ソレッソ熊本。ロアッソと名前がよく似ているが別のチーム。ソレッソ(Sorisso)はイタリア語で「笑顔」を意味する言葉だ。
これまで何人ものプロ選手を輩出してきたソレッソ熊本だが、近年は特に猛威を振るっており、2023年にはついに全日本U-12サッカー選手権大会で優勝。初の全国制覇を達成した。
ソレッソ熊本はU-15やU-12のほかスクールもあるが、今回は主にU-15出身で現状「最高の5選手」を紹介する。
河原創
1998年3月13日生まれ
河原創は、ロアッソ熊本ジュニアユースに一度加入しながらソレッソ熊本&JFAアカデミー熊本宇城へ転出した変わり種(※JFAアカデミー熊本宇城は福島と違い基本クラブと掛け持ち)。
県内最強の大津高校から福岡大学を経て、古巣でもある地元のロアッソ熊本で2020年にプロ入り。同じ年に指揮官に就任した大木武監督のもとでチームの心臓として活躍した。
プロ3年目の2022シーズンにはJ2でフィールドプレーヤー唯一となる全42試合にフル出場。1ゴールに加え12アシストを記録し、J1参入プレーオフ決勝進出の原動力の一人となった。
2023年に移籍したサガン鳥栖でも主力となり、2024年8月、学生時代を含め初の九州外となる川崎フロンターレへ。鹿児島県出身の橘田健人とのボランチコンビは「Wカンテ」として恐れられている。
満田誠
1999年7月20日生まれ
サンフレッチェ広島のエースナンバー「11番」を背負う満田誠も中学時代をソレッソ熊本で過ごした選手。
熊本県熊本市出身の彼は、高校から広島のユースに所属。トップ昇格は果たせなかったものの、流通経済大学を経て広島へ帰還し、プロ1年目の2022シーズンにいきなり29試合9ゴールの成績を残した。
ミヒャエル・スキッベ監督のもと当初はアタッカー(シャドー)のポジションで起用されていた満田。しかしキックの技術に長けていることもあり2年目以降は3列目での出場が増えている。
昨季は35試合で3ゴール。チームプレーヤーとして進化を続ける一方、満田本来の決定力を発揮する場面がもう少し見たいところだ。
松岡大起
2001年6月1日生まれ
サガン鳥栖アカデミーのイメージが強い松岡大起だが、小中を過ごしたのはソレッソ熊本だ。
鳥栖加入時点で高い完成度を誇っていたMFは、高校2年次の2018年に2種登録されると、6月の天皇杯で公式戦初出場。翌20019年には開幕早々の3月にJ1デビューも果たしている。
そして2019年6月、鳥栖史上初めて高校3年生でトップ昇格。いきなりJ1で23試合に出場し、2年目の2020年にはチームの大黒柱となった。
パリ五輪世代の主力としても期待されたが、2021年に清水エスパルスへ移籍して以降は停滞。ブラジルのグレミオ・ノヴォリゾンチーノを経て、2024年からアビスパ福岡でプレーしている。
坂本一彩
2003年8月26日生まれ
坂本一彩(いさ)も満田や松岡同様、ソレッソ熊本で成長後に県外のJユースへ進んだ一人。
坂本はソレッソ熊本から中学に上がるタイミングで一度JFAアカデミー福島へ入ったもののソレッソ熊本へ復帰し、ガンバ大阪ユースへと加わっている。
高校2年次には当時のU-23チームでJ3デビューを果たしており、11試合で3ゴールを記録。2022年に正式にトップ昇格すると、J1で9試合1ゴールという結果を残した。
2年目はファジアーノ岡山へ期限付き移籍し、復帰した昨季、ガンバ大阪で37試合10ゴールを記録。この冬ベルギー1部のウェステルローへの期限付き移籍を果たしている。
吉永夢希
2006年2月22日生まれ
最後は吉永夢希(ゆめき)。ソレッソ熊本から神村学園高等部へ進学すると、局面打開力のある攻撃的な左サイドバックとして台頭した。
高校3年次の2023年にはU-17ワールドカップに出場。同い年のキャプテン小杉啓太(現ユールゴーデン)と左サイドでコンビを組み、森山佳郎監督は吉永を一つ前の左サイドアタッカーとして起用した。
チームはスペインに1-2と敗れ惜しくもラウンド16で敗退したものの、吉永は高校を卒業した2024年3月、ベルギーの強豪ヘンクへ加入。4年半契約を結んでいる。
今季もベルギー2部のヨング・ヘンク(セカンドチーム)が主戦場ながらここまで17試合中14試合に先発出場、2ゴールを記録している。