Text by 蹴球 ふつつか
近年Jリーグクラブアカデミーを卒団後に大学を経て返り咲く選手が増えてきた。現在プレミアリーグのブライトンで活躍する日本代表MF三笘薫も川崎フロンターレU-18卒団後に筑波大を経由して川崎へ返り咲いた一人だ。
今後もホームグロウン枠の関係上、今後もこのようなキャリアをたどる選手は増加していくだろう。
そこでJリーグクラブアカデミーから大学を経て返り咲いた5選手をピックアップした。
日本代表にも招集された屈強なセンターバック
荒木隼人
返り咲いたクラブ:サンフレッチェ広島
サンフレッチェ広島アカデミー卒団後に関西大へ進学した荒木は、関西1部リーグ戦の優秀選手、関西選抜に選出されるなど大学西日本屈指のセンターバックとして名をはせた。大学卒業後の2019年に広島へ帰還した。
広島ではすぐにポジションを確保し、屈強なフィジカルを生かした対人守備、空中戦の強さ、絶妙なタイミングでのタックルで頭角を現した。AFCチャンピオンズリーグの活躍もあって2022年のベネズエラ代表との親善試合で代表デビューを飾るなど国内最高峰のDFとして活躍し続けている。
栃木から世界へ羽ばたいたレフティー
明本考浩
返り咲いたクラブ:栃木SC
無尽蔵の運動量と精度の高い左足を持ち合わせる明本は栃木SCユース卒団後は関東の名門国士舘大へ進学。2019年のユニバーシアード日本代表に選出され、優勝に貢献した。大学卒業後は栃木SCに返り咲き、リーグ戦40試合7得点とルーキーながら主力としてチームをけん引した。
翌シーズンにはJ1浦和レッズへステップアップ移籍を果たし、昨年1月にはベルギー1部ルーヴェンへ期限付き移籍で入団。同年7月には同チームに完全移籍で加わり、栃木から世界へと羽ばたいていった。
地域リーグから浦和へ駆け上がったアタッカー
長倉幹樹
返り咲いたクラブ:浦和レッズ
波乱万丈のキャリアを歩みながら浦和レッズへ帰還した長倉。浦和ユース卒団後に順天堂大へ進学するも、大学卒業後はプロから声がかからなかった。関東1部東京ユナイテッドへ加入すると、リーグ戦9試合8得点と圧巻の活躍を見せて、シーズン途中で当時J2のザスパクサツ群馬へステップアップ移籍を果たした。
当時群馬を率いていた大槻毅監督は浦和アカデミー時代の恩師であり、その期待に応える形で群馬でも躍動。2023年シーズン途中にJ1アルビレックス新潟へジャンプアップし、昨年はJリーグYBCルヴァンカップ準優勝に貢献。そして今季から浦和へと返り咲いた男がどのような活躍を見せるのか注目を集めている。
J1連覇に貢献した守備の要
山川哲史
返り咲いたクラブ:ヴィッセル神戸
ヴィッセル神戸のトップ昇格という選択肢もある中で、筑波大進学を選んだ山川の選択は正解だったと思える。筑波大では大学屈指のセンターバックとして活躍し、同期の三笘薫との1対1練習で守備を磨き抜いた。
2020年に神戸へ帰還すると、不慣れな右サイドバックをこなす時期もあったが、順応していった。2023年には本職のセンターバックとしてチームの屋台骨となり、J1連覇に大きく貢献した。そして今季からクラブレジェンドの北本久仁衛さんや元ベルギー代表DFトーマス・フェルマーレンが身に着けた背番号4を背負って戦う。
川崎の大卒経由の源流を作ったテクニシャン
脇坂泰斗
返り咲いたクラブ:川崎フロンターレ
脇坂以前から大卒経由でのアカデミー出身選手はいたが、現在の川崎の大卒帰還の潮流は背番号14の存在が大きい。川崎アカデミー卒団後に阪南大へ進学すると、類まれな攻撃センスで1年次から出場機会を勝ち取り、3年次には全日本大学選抜にも選出。大学卒業後は古巣へ加入した。
緩急と技術を生かしたはがすドリブルの切れ味は抜群であり、優れたパスセンスも合わせて黄金期の川崎を支え続けた。Jリーグベストイレブンに3度輝いた脇坂の活躍もあり、後を追うように三笘が続きアカデミーの後輩たちが続々と大学を経由して川崎へと返り咲いた。