おかしくて楽しくて、切ないほどに愛おしい猫。2月22日の猫の日にむけて、CREA WEBでこれまで紹介してきた猫にまつわる記事のなかから、とくに人気の高かったものを再公開します。(初公開2024年7月2日。※記事内の情報は当時、または「CREA」誌面掲載時のものです)
1998年に日本の女性誌ではじめて「猫」を特集し、パイオニアだったCREAが、終わらない猫ブームが続くいま、12年ぶりに、猫と人との幸せな関係を紐解きます。
「CREA」2024年夏号の「猫のいる毎日は。」特集。その一部を抜粋し、掲載します。
病から回復後、愛猫が取った“驚くべき行動”
道で野良猫を見かけたら、必ず声をかけるというくらい、古川琴音さん一家は全員猫好き。小学1年生の時に、初めて猫と暮らし始めた。
「アメリカンショートヘアの男の子でポンという名前でした。聞かん坊で、遊ぶのが大好きなのに抱っこが嫌い。最初は弟みたいな存在だったのに、15歳の時に病気をしてから、すごく優しい大人の猫に変わったんです」
危篤状態になった日の2年後の同日、虹の橋を渡ってしまった。
「前夜にポンちゃんが自分と寝たことを毎朝自慢し合うような家族だったんです。それが、病気になった後、ポンちゃんは毎晩全員の部屋を回るようになりました。神様に2年間の命の猶予をもらって、家族全員に優しくしようと決めたんじゃないかってみんなで話していました」
ポンちゃんを見送った数年後、両親はカイくんとスミちゃんという兄妹猫を保護猫の譲渡会で譲り受けた。
「カイは短毛のシマシマで、スミは長毛の黒猫。カイは筋肉質で、ベランダの蝉を一発で仕留められるくらい狩り上手なのですが、スミは50センチの高さからもボテッと落ちてしまうくらい運動音痴。でもお嬢様気質でカイに対しては強気なんです」
夜、外から仔猫の鳴き声が…現在の愛猫との出会い
そして今、ひとり暮らしをしながら飼っているのがハチワレ柄のむーちゃん。昨年の初夏に、家の近所で偶然出会い、拾ったのだという。
「夜中に仔猫の鳴き声がずっとしていたんです。翌朝になっても、用事から帰った夕方になっても聞こえたので探してみたら、親猫とはぐれたのか、木の根元に1匹でいました」
すぐに病院に連れていき生後1週間とわかる。保護団体に預けるべきとは思いつつ、離れたくない気持ちが募り自分で飼うことに決めた。
「ちょうど仕事が忙しかったころで、目の離せない時期の世話だけ両親に頼み、無事に飼えることになりました。今は、仕事との両立は全然大変ではないです。むーちゃんはとにかく遊びたがりで、毎朝毎晩ひとり運動会をやっています。腕によじ登ってくるので引っ掻き傷が絶えません(笑)」
むーちゃんは「返事がバリエーション豊か」
古川さんは、最新映画『言えない秘密』で音大生の雪乃を演じている。ピアノの演奏が物語のキーになっており、自宅でも猛練習していた。
「部屋でピアノを弾いていても、むーちゃんはじっと聴いていてくれました。猫ってピアノの音色が案外好きなのかもしれませんね」
雪乃はどこか気まぐれでミステリアスな女の子。猫と暮らすことが演技の助けになるのか尋ねてみた。
「むーちゃんはとても相槌上手で、いろんなバリエーションで毎回返事をしてくれるので、人間相手のように普通に何でも話しかけてしまうんです。でも、猫とは基本は言葉以外でコミュニケーションをとるので、そういう感覚を研ぎ澄ますことは演技にも生きているように思いますね」
猫はその時々で、いろんな存在に化けてくれる気がすると続ける。
「きょうだいのようになったり、子どもになったり親になったり、カウンセラーみたいになることも。自立した存在でありながら不思議ですよね」
猫のいない生活は考えられないとばかりのあふれる猫愛。古川さんの前世は猫ですか?と問うと「そうだったらいいなあ。生まれ変わるなら、絶対に猫がいいです!」と満面の笑みで断言した。
古川琴音(ふるかわ・ことね)
1996年生まれ、神奈川県出身。最近の主な出演作に大河ドラマ『どうする家康』、映画『みなに幸あれ』、『雨降って、ジ・エンド。』、ドラマ『ACMA:GAME アクマゲーム』(日本テレビ)がある。待機作は『Cloud クラウド』。
猫とは:猫がいる場所が私の「家」。
むー
1歳のオス。聞き上手で、絶妙なタイミングで返事をするのが得意。
衣装クレジット
トップス 29,700円/ラブレス(ラブレス青山)、スカート 50,600円/アイレネ(リステア/ ルシェルブルー総合カスタマーサービス)、人差し指のリング 147,400円、中指のリング 74,800円/ともにイー・エム(イー・エム アオヤマ)
K-POP界のレジェンド、ドンヘさん、ウニョクさんをお迎えしたスペシャルインタビュ―、JOさんと愛猫ミントの貴重な2ショット、SNSで話題沸騰中のマンガ『猫に転生したおじさん』作者・やじまさんによる特別描きおろしマンガ&シール付録など、「猫のいる毎日は。」特集は「CREA」2024年夏号でお読みいただけます。
文=黒瀬朋子
写真=柏田テツヲ
スタイリング=番場直美
ヘアメイク=伏屋陽子(ESPER)