隔週30万円を自腹で払い、移民のために炊き出しをするその男性医師のことを、ボランティア仲間は「聖人」と呼ぶ。しかしそんな彼には、炊き出しを終えた日の夜、密かに通う店があったのだ。密着取材によって、知られざる“裏の顔”が明らかになった。
大前プジョルジョ健太ディレクター(以下、プジョルジョD)が、世界各国にある国境を命がけで越える人々の生活に密着するドキュメントバラエティ『国境デスロード』の特別編が、ABEMAプレミアム限定で配信中。「国境タクシー」と題した特別編は、プジョルジョDがタクシーで国境を走り、どんな人が乗ってくるのかを検証する内容。『国境デスロード』の構想段階で撮影した映像を、特別編として編集したものだ。
今回プジョルジョDが訪れたのは、アメリカとの国境に面するメキシコの街・ティファナ。ドライバーを雇い、街をタクシーで走っていると、午後7時、1人の男性が乗車してきた。その男性は、ロサンゼルス出身の医師・ロイさん(70歳)。目的地はシーザーサラダ発祥の店として有名なレストラン「シーザーズ・プレイス」で、これから食事をするところなのだという。
プジョルジョDも一緒に食事をしながら話を聞くと、ロイさんは移民ハウスで炊き出しをするため、隔週でメキシコを訪れていることが明らかに。この日も移民ハウスで料理をしてきたと言い、「子どもがいる移民ハウスなんだ。美味しいご飯を食べてほしいんだ」と話した。レシピの考案から食材の買い出し、ソースの調理まですべて自分で行い、隔週30万円を自腹で払っているのだそうだ。寄付するだけでなく、移民ハウスへ足を運ぶのは、「直接話して、安心してもらいたい」という想いがあるから。「アメリカに来たら歓迎されるんだよ」と、子どもたちに伝えたいのだという。
時間、お金、労力、そのすべてを惜しまず、移民のために行動するロイさん。協力者のエスターさん(68歳)は「移民にお金を使う良い人だよね。おかげで美味しいご飯が作れている。あんな聖人、いないよね」「愛がある素敵な人。隔週2000ドル(30万円)払う人いる?」と、ロイさんの人柄を絶賛する。
一方でプジョルジョDは、“聖人”ロイさんの人間らしい一面も目撃していた。レストランでマティーニを何杯もオーダーし、食事とお酒を堪能したロイさんは、店を出ると夜の街へ。親切に街を案内してくれたのだが、ある場所の前まで行くと、プジョルジョDに撮影を止めるよう求めた。そこは風俗店だったのだ。「何回くらいここに来たんですか?」と尋ねると「隔週だよ」とロイさん。その後ロイさんは、深夜1時を過ぎても帰ろうとしなかったそうだ。
そんなロイさんのもうひとつの顔を、協力者のエスターさんが知ったのは、その翌日のことだった。ロイさんは家族の用事ができて帰ってしまったため、プジョルジョDはエスターさんと2人で移民ハウスへ服を届けることに。移民ハウスまではエスターさんの車で向かったのだが、その道中でプジョルジョDは、昨夜ロイさんと訪れた風俗店の看板を目にしたのだ。
プジョルジョDが「ロイと行った風俗だ」と口にすると、エスターさんは「ロイはジジイだから行かないよ。絶対嘘だ」と言い切り、ロイさんが風俗通いしている事実を信じられない様子。もう1度プジョルジョDが「一緒に行きました」と伝えると、エスターさんは「ふ、ふ、ふ、風俗に!?」「ウワーオ!」とびっくり仰天。その後もエスターさんは「ご飯食べたと言ってたけど、本当は風俗に行ってたんか!」と、驚きが止まらない様子だった。