日本の伝統色を知る
日本の伝統色「墨染」とは……
墨染色は、ほぼ黒に近いながらもわずかに明るさを帯びた、穏やかな灰黒色。この色は、墨の五彩の中で「焦」にあたる黒に近い色とされています。墨は書画にも使われ、松根や菜種油を燃やして作られた良質な煤(すす)を膠(にかわ・ゼラチン)で練り、香料を加えて固めたものが使われました。古代中国では松煙を使ったため青味のある黒でしたが、日本ではナタネ油煙を使い、紅花を混ぜることで赤味のある黒になったといわれています。
墨染 = すみぞめ
古くは僧衣や喪服の色として用いられていましたが、近世に入ると黒や鼠色が流行し、洒落た色として庶民にも人気がある色でした。「墨染」は、すみぞめと読みます。
R8 G8 B8 #080808/墨染(すみぞめ)
「日本の伝統色を知る」とは
美しい日本の伝統色、その漢字の読み方、色の背景なども合わせてご紹介していきます。いにしえから紡いできた日本の感性をともに味わってみましょう。
参考図書:「美しい日本の伝統色」PIEインターナショナル刊、「365日にっぽんのいろ図鑑」暦生活著 玄光社刊