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ウィル・シャープ『リアル・ペイン〜心の旅〜』について語る【sweetムービーインタビュー】

  • 2025.2.4

Will Sharpeウィル・シャープ

Will Sharpe
1986年9月22日、ロンドン生まれ。ケンブリッジ大学卒業後、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーで俳優デビュー。2016年のドラマ『Flowers』などで脚本、監督を務め、2020年のドラマ『Giri/Haji』で英国アカデミー・テレビ賞最優秀助演男優賞を受賞。


3月に行われる米アカデミー賞をはじめとする映画賞シーズンでダークホースとされている『リアル・ペイン〜心の旅〜』。主演と監督を務めたジェシー・アイゼンバーグによるオリジナル脚本という、とんでもない才能が開花した瞬間をみられる作品でもあります。じつはこの作品にはもうひとりすごい才能が。それが、主人公コンビが参加するホロコーストツアーのガイドとして登場するジェームズを演じたウィル・シャープ。日系イギリス人で、日本のヤクザを描いた異色作『Giri/Haji』に出演したことでも注目を浴びた彼。じつは彼も監督や脚本を手がけるマルチな俳優なんです。

「ジェシーが脚本を送ってくれて、それを読んですぐに魅了されたんですよ。メッセージは明確で、面白いだけでなく美しいドラマだと思います。僕が演じたジェームズは、ポーランドでツアーガイドをしているユダヤ文化研究者。彼自身はユダヤ人ではないものの、ユダヤと自分の文化を過剰に同一視してしまい、悪意はないものの少し偽善的に見えてしまう欠点があります。そのキャラクターが、物語に波紋を起こすんですが、僕にとってはかなりな挑戦。なんせ十分な知識がない役なので、即興はできませんからね。ただ、ロケをしたポーランドで勉強をしながら撮影していくことで、脚本以上の化学反応が生まれたと思います」


彼のルーツはイギリスと日本。ロンドンで生まれ、8歳までは東京のインターナショナルスクールに通っており、日本には祖母や親戚が健在のため、なんとこのインタビューも質問は日本語、返答は英語という離れ業。「ドラマ『Giri/Haji』は日本語のセリフだったけど、普段はそれほどうまくしゃべれないんですよ」というものの、語学・演技・脚本など、多くの才能を持っていることは明確。

「この作品の撮影はインディーズ映画のような即興性を求める現場だったので、リハーサルはあまりやっていません。ポーランドに全員集合して、みんなでずっと議論や勉強をしながら撮影をしたんですよ。またそういうプロセスをとったおかげで、撮影の旅によって共演者達のことを深く知ることもできて、非常にいい関係を築くことができました。それが本作が持つ独特のトーンに感じられると思います。特にジェシーの働きぶりは素晴らしかった。僕もドラマや映画で俳優以外の仕事 (監督や脚本)を手がけているから、その苦労はよく分かるんです。例えばツアー客のディナーのシーンでの彼なんて、共演している僕でも目が釘づけになりました」

『リアル・ペイン〜心の旅〜』
story: いとこ同士のデヴィッド (J・アイゼンバーグ)とベンジー(K・カルキン)は、亡き祖母の遺言で数年ぶりに再会。一族のルーツとなるポーランドへの旅に出る。が、全く性格の合わない2人は、ガイドのジェームズ(W・シャープ)が案内するホロコーストツアーの最中にトラブルを起こし……。

監督・脚本・出演:ジェシー・アイゼンバーグ/出演:キーラン・カルキン、ウィル・シャープ、ジェニファー・グレイ ほか/配給:ウォルト・ディズニー・ジャパン/公開:1月31日より、TOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー

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text : MASAMICHI YOSHIHIRO
web text : KIMIE WACHI [sweet web]

※記事の内容はsweet2025年2月号のものになります。
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