わが家の大黒柱は、妻の私。夫は仕事が長続きせず、アルバイトをして食いつないでいます。家にいる時間は断然夫のほうが長いのに、夫が家事をすることはほとんどありません。そのため、私は平日は外でフルに働き、帰宅後や週末は家事に追われます。そろそろ体力の限界で、夫に少しだけでも協力してほしいと訴えた私。多少の協力はしてくれるという話になりましたが……。
ある日、夫の不倫が発覚しました。
最近クレジットカードの請求が増え、働いている割には家に入れるお金が少なかったので、何だかおかしいなと思っていたのですが、まさか裏切られていたなんて……。
夫はただの遊びだと言い、私に不倫がバレてもあっけらかんとしています。もう二度としない、信じてくれと言います。
夫がしっかり考えて出した答えとは
チャンスがほしいという夫に、私は「不倫相手とはすぐに別れること」という条件を出しました。一旦は笑顔で承諾した夫ですが、その後歯切れ悪く「別れるには時間がかかるかもしれない」と言い出しました。なんと、不倫相手は妊娠していて、すでに妊娠7カ月だというのです……。
まだ先のことは考えておらず、認知するかも決まっていないと言います。場合によっては夫に養育費の支払いが発生しますが、それすらよくわかっていない夫。命の誕生は、もうすぐそこまで迫ってきているのに、頭が痛くなりました。
その後、しっかりと考えて答えを出すと言った夫。今度は夫が出した答えに頭を悩ませることになりました。
「浮気相手の子を認知した」
「うちの子として育てたいから協力してくれないか?」
夫からの衝撃的な連絡に、私は冗談であってほしいと願いましたが、現実でした。
不倫相手はあまり育児に対して前向きではなく、彼女の収入だけで子どもを育てるのも不可能だという結論になったと言います。しかし、不倫相手の彼女と同様に経済力のない夫がなぜ、引き取ることになるのかと尋ねると、「俺たちには経済力があるから」と説明した夫。
何を間違えているのかわかりませんが、経済力があるのは私たちではなく私。まったく関係のない被害者の私が、夫と不倫相手の子を養う意味がわかりません。
結婚して5年、子宝に恵まれなかった私たち夫婦。夫は「これは神さまからいただいたチャンスだ! この機会を逃す手はない」と言うのです。そして、きっと自分に似た子が生まれてくるからかわいいぞ、とひとりで盛り上がっています。私の気持ちなんて、まったく考えていません。
子どもを引き取ることを了承した私…
平然と、私に不倫相手との子どもを育てろと言ってくる夫。私は一体、どういう気持で子どもと向き合えばいいのでしょう。
夫は、初めは複雑でも育て始めたら母性本能で愛情が芽生えてくると、簡単に言ってきます。そうなれば、いずれは自分に感謝するようになると……。あのとき、夫がよそに子どもを作ってくれて良かった! と、感謝する日が来ると? 不倫されて良かったなんて思うはずがありません。
夫は私の気持ちを確認することもなく、父親になりたい、この手で育てたいと主張するばかり。話し合おうにも話し合いが成立しません。「腹をくくった!」とまで言うので、私は離婚を決意しました。
「うん、いいよ!」
「え、ほんとに?」
数カ月後、無事に夫の子が生まれました。明日は、いよいよ引き取りに行く日。夫は仕事から帰ると、家に私がおらず、私の荷物もすべて消えていることに気づきます。私は夫が不在の日中に引っ越したのです。慌てて連絡してきた夫に、私は『離婚』を告げました。
一緒に子育てをするはずじゃなかったのかと私を責めますが、そんなこと、私は一言も言っていません。私はただ、子どもをこの家に連れてきて、夫が父親として自分の手で育てることを了承しただけ。何度も私は話そうとしましたが、夫が私の気持ちを考えずに、事を進めただけなのです。私の稼ぎを当てにして、不倫相手との話し合いも、私との話し合いも面倒ごとを避けた夫……。
親になる覚悟、親としての責任
結局、夫は親の責任なんて感じていなかったのです。覚悟ができたなんて、まったくの嘘。今までのように、すべて私に丸投げするつもりだったのです。自分の言動すべてが、私をひどくバカにして傷つけていることも自覚していません。子宝に恵まれなかったのは私のせいだと言われているように感じた私は、本当に傷つきました。
子どもをわが家で引き取るのが最善の策だと言っていましたが、あれは最善ではなく、ただ夫に都合がいいというだけ。親になったのだから、夫はきちんと自分で責任を取るべきです。私は夫を突き放しました。
それから数カ月後……。
離婚した夫から、助けを求める連絡がきました。泣きながら自分ひとりでは育てられないと弱音を吐いています。育児も家事もうまくいかず、仕事との両立もうまくいかず限界だと言います。不倫相手は姿を消して、連絡もつかないそう。
すべてを知った両親からはひどく叱られ、いっときは縁を切られそうになったようですが、子どもに罪はないので育児や家事は助けてもらえている聞き、私は少し安心しました。しかし、経済的につらい状況が続いていて、別れた私にお金の援助を求めてきたようです。これは夫にとって変わるチャンスなので、もちろん私は手を貸しません。
子どもへの愛情は確かので、仕事を選ばず子どものために身を削ってでも働いて、どれだけ苦労したとしても責任を持って子どもを立派に育て上げてほしいと思っています。私はもう関わることはありませんが、夫と夫の子の幸せを願っています。
◇ ◇ ◇
夫が自分を裏切って不倫、さらに相手との間に子どもまでいると知って傷つかないはずがありません。その事実に対する大した謝罪もなく今度はその子どもを育てろだなんて、妻のことをなんだと思っていたのでしょうね……。
そんな人任せで無責任な夫、愛想を尽かされてしまっても仕方がありません。頼りきっていた妻に捨てられてようやく、ありがたみを思い知っているのではないでしょうか。自分へ尽くしてくれる人の大切さを知った今、子どもに尽くしていい父親となれるよう改心してほしいものです。子どもの幸せを願うばかりです。
【取材時期:2024年12月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
著者:ライター ベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班
ベビーカレンダー編集部