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卓上には「賢者の石」が。パリ最古の邸宅のレストラン、オーベルジュ・ドゥ・ニコラ・フラメル。

  • 2025.2.19

その昔、オーベルジュ・ドゥ・ニコラ・フラメルといったらマレ地区にあるパリ最古の邸宅のレストラン、ということで歴史や建築にポイントを置き人を集めていた。1407年の建築で、ファサードは記念建造物指定されている。ニコラ・フラメルは写本家として、また錬金術師として15世紀に実在した人物だ。いま、この店はこれまでとは異なることで注目されているようだ。

マレ地区の細道、モンモランシー通り51番地にあるオーベルジュ・ドゥ・ニコラ・フラメル。石の外観は歴史的記念建造物に指定されている。photography: Mariko Omura

2007年にこのオーナーとなったのは、パリ16区にミシュランの星付きレストランを持つシェフ、アラン・ジャアムだ。昨秋からレストランの各テーブルで食事客を待つのはガラスのクロシェットが被された「賢者の石(ピエール・フィロゾファル)」を模したゴールドに輝くバターである。これはニコラ・フラメルが『ハリー・ポッター』の中で、「賢者の石」を創造した錬金術師として登場することに由来していて、この作品に映画などで親しんでいる人には説明不要だろう。食事客の中には、この「賢者の石」に惹かれて遠方からやってくるハリポタ・ファンも少なくないという。

スターシェフのフランス・レバノン人、アラン・ジャアム。photography: The Travel Buds
賢者の石バター。パンがテーブルに出る際に、クロシェットが外される。photography: The Travel Buds
左: 1407年の建築の名残りは木の梁。ベンチ席の後ろに横たわっている。右: 1900年に近所の教会の木材を使用して改装が行われ、いまに至っている。photography: Mariko Omura
2フロアからなるレストラン。1階の奥にオープンキッチンがあり、料理人たちが忙しく働く光景がこの四角い囲みの中に映画のように眺められる。photogrpahy: Mariko Omura

ここはフレンチガストロノミーのレストラン。ランチタイムは4種のメニュー、ディナーは3種のメニューでいずれも始まりはアミューズブーシュ、締めくくりは3種のミニャルディーズである。食事内容は前菜2種、メイン2種、チーズ、デザート2種がリストされた中から、たとえば"発見"コース(78ユーロ)は指定の前菜、選んだメイン、指定のデザートの3皿。"味わい"コース(118ユーロ)は前菜2種、選んだメイン、デザート2種の5皿、そして"シグネチャー"コース(148ユーロ)なら前菜2種、メイン2種、チーズ、デザート2種の7皿だ。ランチタイムメニュー(48ユーロ)はその日の前菜、メイン、デザートだ。3コースにはそれぞれワインのペアリングをセットすることができる。"発見"および"味わい"のコースには24ユーロでチーズを組み入れることも可能だ。

アミューズブーシュ。最初は3種のタルト、次いで野菜を隠したクリームを熱々のブリオッシュと。photography: (左)The Travel Buds、(右)Mariko Omura
食事の後、ミニャルディーズのボックスがテーブルに。パート・ドゥ・フリュイやマドレーヌなど3種がそれぞれ秘密の引き出しに収められている。photography: The Travel Buds

料理は季節で変わるけれど、いまなら前菜は帆立貝、そしてキノコ。メインはブルターニュ産のロブスター、ラカンの鳩。そしてデザートはブランマンジェ、チョコレートである。レストラン内で15世紀のエレメントと現代の家具が調和をなしているように、料理はひと皿ごとに伝統とモダニティがおいしさをクリエイト。メインとなる素材の味を引き出すソースや添えに、星付きシェフのさすがの腕前が感じられる。アミューズブーシュからミニャルディーズまで味わいのシンフォニーをカジュアルに楽しめるレストランである。

前菜。1種はカニとプリュニエのキャビア・バエリ(写真)。もう1種はバスク地方のチーズのオッソー・イラティとナッツ類を秘めた野生キノコのスライスで、クレソンのグリーンソースが甘酸っぱさを添える。photography: The Travel Buds
メインのひとつはブルターニュ産の味わい深いロブスター。根セロリのラビオリなどを添え、ビスクソースでいただく。
デザートのひとつ、ブランマンジェ。雲のように軽いブランマンジェの上にキウイ、赤シソのシャーベットが。photography: Mariko Omura

Auberge Nicolas Flamel 

51, rue de Montmorency 75003 Paris

 営)12:00~13:30、19:30~21:30

休)日、月

https://auberge.nicolas-flamel.fr/

@auberge_nicolasflamel

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