私は世に言うズボラ女子。一人暮らしをしていた頃は、別に誰に迷惑をかけているわけでもないし、それはそれは適当だった。
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掃除はたまに、汚れてきたら。資源ゴミはそもそもすぐにはたまらないから、頻繁に出すのは面倒くさくて、気づいたらカビていたりで、やっと重い腰をあげて捨てに行く。食器洗いも、ある程度溜まってきて、次使う食器に困ってから。作ったおかずは、フライパンのまま1日くらいは平気で放置するし。シンクやお風呂場も水が流れなくなってからやっと掃除する。カーペットに落ちた髪の毛も、さすがにちょっと目立つようになってからコロコロ。
お風呂だって、入るのが面倒くさくて、結局外着のままメイクも落とさず寝落ちして、翌朝急いでシャワーを浴びることもザラ。旅行に行って帰ってきた時は、その日のうちに荷物を片付けることの方が珍しい。
今のパートナーと同棲を始めてからは、何度も衝突した。今でもしているけど。なんせ彼は潔癖症なのだ。とんでもない組み合わせだ。
床に落ちた物は3秒ルール、外着のままベッドに平気で座る私と違って、帰ってきたらまずはシャワーを浴びたい人で、ベッドに外着は絶対にNG。 スケジュールでもなんでもこだわりがあって、分刻みのきっちりスケジュールにしたい人。私はその日その日の気分で、自由にしたい派。
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最初の頃は、本当に潔癖症なんだな、一緒にいる時は気をつけてあげないとくらいで済んでいたけれど、同棲するとなればそうはいかない。必ずぶつかることが目に見えていたし、実際にぶつかった。本当にささいなこと。
お風呂が面倒くさくてなかなか入らない私に、早く入ってこいと言わんばかりに圧をかける彼。髪も短くて、クレンジングもいらなくて、ドライヤーもすぐに終わる彼には、女子の大変さが分からないのだ、と苛立った。
旅行や出張で疲れて帰ってきて、荷物の片付けが面倒臭い私に、片付けさせたがる彼。 外着のまま洗濯物を畳んだり、干したりすることを許さない彼。洗濯物を触れる時は、手を洗わないと気が済まない彼。どちらかが外着で、どちらかが部屋着の状態でのハグを断じて許さない彼。賞味期限が切れたものは瞬時に食べられなくなると思っている彼。
私は整理整頓が苦手で、ついキッチンが散らかってしまう。それを見かねて時々整えてくれるものの、きっりちと整頓できていることが判断基準で、料理でよく使うもの使わないものなんて関係なし。
あまりにも私の生活になかったリズムや仕事が多すぎて、度々喧嘩。
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大体こういう場合って、潔癖症の方が生理的に無理、受け入れられないというものだから、 こちらが合わせないといけない場面が多くなる。
ズボラって言葉のニュアンス的にもだらしなく思われるかもしれないけれど、(確かに否定はできないけれど)ひとりの時くらい自由にさせてって思うし、適当に寛容に生きたっていいじゃんって思う。
ただ他人と生活するとなるとそうはいかないもので。ぶつかり合いながら、大体の場合において私が折れて、彼に合わせるようになった。彼も徐々に許容できる範囲が広がってきたと思う。私の方が恐らく合わせたり我慢することが多いと思っているから、たまになんで私ばっかり!と思うこともある。
それでも、良かったと思うこともある。疲れていても、出来るだけすぐにシャワーを浴びるとか、旅行や出張の荷物を片付けるとか、 面倒くさいが先行して渋っていたことをちょっと頑張って出来るだけすぐにやる。そうすると、終わった時に後悔はしないもので、早く片付いて良かったと思う。
彼のおかげで、自分の面倒くさいに勝てる瞬間が増えた。それは最終的に、その後の自分の時間とか生活リズムに決して悪い影響を与えることではないから。
そして、少し許容範囲が広がってもまだまだ狭い彼。彼がいなくても、これは彼が嫌がるだろうなとか、分かるようになって、そういったことを事前に避ける技術も身につけた。それもこれも、私の努力と愛の結果(彼はなかなか認めてくれないから、せめてここだけでも胸を張って言い切ってやろう)。
些細なことだけど、この歳になって、変われることもあるのだな、と実感する今日この頃。
■mariとりんごのプロフィール
旅行好き。漫画、本好き。