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婦人科医に聞く、原因不明の不調が続くのは「更年期」のせい?

  • 2025.1.28

40代後半から誰もが感じる、からだのだるさ、肩や首など節々の痛み、風邪でもないのにからだがほてる……。今まで経験したことのない原因不明のさまざまな不調を感じませんか? そんな不調の原因と解決法について女性の健康に関わる研究や医療を推進する「女性の健康総合センター」の婦人科医・小宮ひろみ先生にお答えいただきました。


【婦人科医に教わる更年期の不調】

更年期の不調が出やすい人って、どんな人?

夏目 私自身も更年期で、先月ごろから肩が突然痛くなりました。友人ものぼせや頭痛などに悩まされていて、30代とは明らかに体調の変化を感じています。

小宮先生 程度の差はありますが、さまざまな症状があらわれます。倦怠感、肩こりや腰痛、のぼせ、ホットフラッシュ、気分の落ち込み、不眠、頭痛などいろいろです。
夏目 更年期の症状を感じたら、何をすべきでしょうか? 小宮先生 いちばんは我慢をしないこと。そして、自分で更年期症状だと判断しないことです。 夏目 “思い込み”ということですね。 小宮先生 そうです。症状が続いているようなら婦人科を受診してください。倦怠感を強く感じていたら、じつは甲状腺などの問題だったということもありますから。 夏目 更年期症状を和らげるために生活習慣を見直すことも大切ですよね。 小宮先生 食事・運動・睡眠、基本的なことですがこの3本柱が重要。優先順位はなくバランスよく考えましょう。更年期症状は、ストレスが引き金となることが多いので、自律神経を整えるために睡眠の質を高める、リフレッシュできる時間を作りましょう。運動は、筋力が低下しますから、ジョギング、水泳などの有酸素運動、下半身を鍛えるスクワットもいいですね。食事は、太りやすくなることを頭にいれて献立を考えましょう。

30代でがんばれたことが、更年期になるとできなくなる

夏目 更年期症状って程度の差もありますし、なりやすい人、なりにくい人がいるように感じます。 小宮先生 一般的に、几帳面で真面目な性格の方がなりやすいといわれています。そのほかに、厳しい環境にいらっしゃる方。例えば、責任の多い仕事を任されて多忙、ストレスが多い、親の介護に追われているなど心労的な負担がかかっているなど。40代は社会的な責任を負うことが多いうえに更年期も重なります。

夏目 確かに40代って、仕事、子育て、さらに親のことなどいろいろなことが一気に押し寄せてきて、ストレスがかかる世代です。更年期症状を自覚しながらも無理をする、会社や家族に打ち明けられないケースもあるようです。 小宮先生 私自身もそうでしたが、20代、30代と今までがんばれたことが更年期になると難しくなることが少しずつ増えていくように思います。女性の健康問題が社会的に注目されるようになり、職場環境も変わりつつありますが、言えない状況があるのも事実。そんなときこそ、婦人科に相談してください。 夏目 逆に、更年期症状をまったく感じない人もいますよね? 小宮先生 そのまま普段通り過ごせばいいですが、女性ホルモンが低下していることは間違いありません。がんばりすぎないで生活習慣に気を付けて今の生活を楽しむように心がけてくださいね。

更年期症状がでたら、何をすればいい?

夏目 更年期になって婦人科を受診する方も多いですが、少し敷居が高いというか、どんな風に付き合うものでしょうか。 小宮先生 身構えることなんてありませんよ。からだや心の変化を気軽に相談してください。話をすることで楽になりますし、必要に応じてお薬を処方します。 夏目 ホルモン補充療法、漢方、サプリメントなど選択肢の幅が広いですよね

小宮先生 ホルモン補充療法をしながら漢方を併用する場合もあります。更年期症状は個々によって症状が異なりますから、おひとりおひとりに合わせて処方します。例えば、イライラがひどい場合、ホルモン補充療法ではなく漢方のほうが得意ということもあります。 夏目 サプリメントを飲みながら、漢方を併用してもいいですか? 小宮先生 サプリメントには漢方が含まれている場合もあるので、医師に相談してください。サプリメントを購入する場合は、薬剤師によく相談して自分の症状に適切なものを選ぶことが大切。また、あれも、これもと試すのはやめましょう。

7割できれば十分。自分を褒める“セルフラブ”

小宮先生 更年期になると気力だけではどうにもならず、なかなか厳しいというのが自分で気づくんですよね。そのときに、今までのように100%で向き合わず70%ぐらいにして、できた自分を褒めるやさしさを持ちましょう。 夏目 なるほど。セルフラブ、自己愛ですね! 小宮先生 更年期に入って体力も気力も低下していることを認めることでラクに生きられるようになります。仕事や親のことなど背負うことがあっても、7割キャッチアップできれば十分よくやっていますから。 夏目 更年期は無理をしないで、自分を甘やかしてあげるぐらいがいいかもしれません。 小宮先生 そうです、更年期は背負っている荷物をできるだけ軽くしてください。更年期が過ぎれば、また頑張れるようになりますから。 夏目 更年期は、“人生の休憩時期”のようにとらえると、むしろご褒美になりますね!


【教えてくれたのは】

小宮ひろみ先生

国立成育医療研究センター 女性の健康総合センター センター長、女性総合診療センター センター長 1986年山形大学医学部卒業。同大産婦人科などで勤務した後、2004年より福島県立医科大学附属病院にて女性専門外来(2008年より性差医療センター)を率いる。同大医学部医療人育成・支援センター臨床医学教育研修部門副部門長、男女共同参画推進本部副本部長、男女共同参画支援室長、性差医療センター教授、ダイバーシティ推進本部副本部長、ダイバーシティ推進室長などを経て現職。専門は産婦人科、生殖内分泌、性差医療、漢方医療、女性医学。

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