デザインし、縫製し、個展で販売する…という流れを、39年間ひとりで続けてきたumamibags(ウマミバッグ)クリエイターの江面旨美さん。
「若く見えるより、元気に見えるほうが得だなって思う」と話す彼女の、さりげなくオシャレなファッション、心の静穏をもたらすインテリア、自身の健康など、「これからどう生きていこうか」を見つめ直したライフスタイルをご紹介します。
75歳を迎えた彼女の「心が弾む人生の秘密」に、今後の人生のヒントが見つかるかもしれません。
※本記事は江面旨美著の書籍『75歳、心が弾めば人生は楽しい』から一部抜粋・編集しました。
介護のこと
母は今、99歳です。介護度は進みましたが、まだ歩けるし、身の回りのこともなんとか自分でできます。弟と一緒に住んでいますが、私が3~4日に一度訪ねるという暮らしです。
母は食いしん坊です。コロナ前は、自分で好きなものを作って食べていたので、私も「玉ねぎの皮をむいて冷蔵庫に入れといたわよ」なんて、ちょこちょこサポートしていました。でも、さすがに包丁は持てなくなりました。もっとも、食欲は衰え知らずで、先日も、鰻重をペロッと食べて「だから死ねないのよ」なんて軽口をたたき、しかも、体重は2キロも増えたらしい。びっくりです。
十数年前まで、私は独身だった伯母の介護をしていました。体が弱い母に代わって、私がその役目を引き受けたのです。近くのケアハウスに入っていましたが、仕事の合間にも、転倒とか骨折とか相談事でしょっちゅう呼び出され、一時期、腸の調子を狂わせてしまったことがありました。ここにきてまた、少しその兆候が出ているのは、やはり母のことをずっと気にしているからなのかもしれません。
母を訪ねると、決まって「過労に気をつけて」と心配し、出張に行くと言えば「飛行機、大丈夫かしら?」と不安がり、行き先が海の近くの時は、津波の心配までして顔を曇らせました。結局、私の体を心配するのは、介護が必要な自分のため? 帰り際には「迷惑をかけるわね、長生きも考えものね」なんて超ネガティブなことを口にするので、さしもの私もがっくりします。元気づけに来ているのに、なぜそんなことを、と思い、鬱々とした気分で帰路につきます。
でも、そういう時は思い出すようにしています、母の愛情を。過剰でうっとうしかったこともあったけれど、その愛は揺るぎないものであることを。そして、おっといけない、母は母で頑張っているのだ、と気分を修正するのです。本格的な介護は、これからです。ネガティブなことも含めて、母との時間を大切にしていきたいと思います。
著=江面旨美/『75歳、心が弾めば人生は楽しい』