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‟つかまえつつ逃がす” 小祝さくらの安定感を支える進化したスイングのポイントとは……

  • 2025.1.28
SPREAD : 小祝さくら(C)Getty images

毎年、シーズンを通して際立つ安定感を見せているのが小祝さくら
小祝のプロテスト合格は2017年。ルーキーイヤーとなった18年、未勝利ながらメルセデスランキングで8位に入り、黄金世代の中で最上位となった。
初優勝をあげた19年は同6位、5勝した20-21年は同3位、2勝した22年は同7位、1勝した23年は同4位、2勝した24年も同4位と、メルセデスランキングでトップ10を外したことがない。
生涯獲得賞金は現時点、7億6520万4953円で13位。上位15名で20代の選手が小祝だけであることも、早くから毎年好成績をおさめ続けていることを示している。
小祝は、ショットのスタッツの水準が高く、ルーキーイヤーからの6シーズン中3シーズンでボールストライキング(※)がトップ10に入っている。
現在のスイングを見ると、ドローボールを打つ要素とフェードボールを打つ要素が融合した、‟つかまえつつ逃がして”いることがわかる。
(※)パーオン率順位とトータルドライビング順位を合算した値。

小祝さくらのボールストライキング

■オールラウンドプレーヤー小祝さくら

小祝は、ショット関連だけでなく、主要スタッツの多くが毎シーズン上位で、穴がないオールラウンドプレーヤー。アプローチやパット関連でも高い水準のデータを残してきている。
ただ、毎シーズンのボールストライキングにも表れているように、小祝といえばショット力である。
小祝は元々ドローボールヒッターだった。22年シーズンからフェードボールにもトライし、引き出しを増やした。結果、ボールストライキングで4シーズンぶりにトップ10に入ったことも示しているように、ドローボールの‟つかまえる”要素とフェードボールの‟逃がす”要素がうまく組み合わさったスイングになったようだ。

■ドローの要素とフェードの要素

小祝は元々ダウンスイングでは上体を開かないようにする意識が強い。体の左サイドや手の過度な先行を防ぎ、より確実に球をつかまえることに重きを置いたスイングだった。
体の左サイドや手の先行を抑えれば、左右の手の位置関係は入れ替わりやすくなる。スムーズな入れ替わりは、十分な球のつかまりを生む。
フォロースルーで左手が右手の下になったら、そのままフィニッシュ。シャフトが体に対して縦に巻き付くようなフォロースルーをとり、結果、フィニッシュはヘッドが下向きになっていた。小祝は、このスイングに磨きをかけ、ドローボールの安定感を高めていった。
そして22年シーズンから、プレーに幅を持たせるべく、フェードボール習得に取り組んだ。ドローボールとは違い、つかまりを抑えて‟逃がす”のがフェードボールだが、小祝のスイングにも、その逃がす動きが見て取れた。
インパクトでフェースが返り過ぎないように、体のリード感を高めていることがうかがえる。
フォロースルーでシャフトは体に巻き付かず、フィニッシュで体に対してシャフトが横(ヘッドが横向き)になる流れに変わっている。
ダウンスイングからインパクトでは球をつかまえる動きをして、フォロースルーからフィニッシュでは、過度なつかまりを防いで逃がすために体の左サイドをターンさせているのだ。
小祝は、昨季のドライビングディスタンスが8位、トータルドライビングが10位。フェードボールの要素が加わると飛距離が落ちやすいが、飛距離と方向を両立させられているのは、球をつかまえる要素と、逃がす要素が高いレベルで融合しているからである。

■今季日本ツアーでエース級の活躍に期待

昨季のメルセデスランキングは4位。1位の竹田麗央、2位の山下美夢有、3位の岩井明愛は今季から米ツアーを主戦場にする。つまり、小祝は、今季日本ツアーを主戦場にする選手の中で、昨季のランキング最上位者となり、これまで以上に日本ツアーでエース級の活躍を期待される立場となる。
小祝はどんな試合展開になっても、淡々とプレーする。優勝を争っていても、特別慎重になったりしない。
今季も淡々と、‟つかまえつつ逃がす”スイングでフェアウェイにビッグドライブを連発させ、フェアウェイからはピンに絡むショットをたくさん見せてくれることに期待したい。

著者プロフィール

野洲明●ゴルフ活動家

各種スポーツメディアに寄稿、ゴルフ情報サイトも運営する。より深くプロゴルフを楽しむためのデータを活用した記事、多くのゴルファーを見てきた経験や科学的根拠をもとにした論理的なハウツー系記事などを中心に執筆。ゴルフリテラシーを高める情報を発信している。ラジオドラマ脚本執筆歴もあり。

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