ダイエットがうまくいかない人は、食習慣だけでなく生活習慣も見直すのが大事です。特に睡眠不足や夜遅い食事は、ダイエットにとってNG!脳内の物質に作用し、さまざまな太りやすい習慣を引き起こす原因になっています。
夜の過ごし方を変えることはダイエットを成功に導く第一歩。今回は、夜更かししがちな生活習慣の改善アイディアをご紹介します。
睡眠時間が短い人は「呼吸法で睡眠の質を上げるべし」
睡眠不足になると、満腹になると食欲を抑えるホルモン「レプチン」の分泌が減る一方で、食欲を高めるホルモン「グレリン」の分泌が増えるため、ドカ食いしやすくなります。なお睡眠中には、基礎代謝を上げてエネルギー消費を増やしたり、脂肪を分解して燃焼させる成長ホルモンも盛んに分泌されるので、睡眠不足はダイエットの大敵です。
睡眠時間の理想は7時間ですが、それがむずかしい場合は自律神経のバランスを整えて睡眠の質をよくすることが大切。その方法としておすすめなのが寝る前の〈ドローイン〉(「吸い込む」という意味)です。数回行うだけでも効果があり、ぐっすり熟睡しやすくなります。
【ドローインのやり方】
①あおむけに寝て両足を腰幅程度に開き、両手は体の横に伸ばして、鼻から大きく息を吸い込みながらおなかをふくらませます。
②口からゆっくり息を吐きながら、おなかをへこませます。これを5〜6回行って。
夜更かししてしまう人は「没頭できるテレビを見るべし」
夜更かし癖のある人は、一日の満足感がたりていないなどのストレスを感じていることが多いもの。ストレスは交感神経を高ぶらせ、コルチゾールを分泌させるため、寝つきが悪くなってしまいます。すると、結果的に睡眠時間が短くなり、太りやすくなってしまいます。
おすすめは「好きな世界に没頭する」こと。コルチゾールの分泌のもとであるストレスがやわらぎます。テレビのほかDVDや動画を見る、読書をする、スマホのゲームをする(交感神経を高める作用があるので、画面のブルーライトを弱めること)など、無心になれるものなら何でもOK。ただし睡眠時間が短くならないよう30分ほどで切り上げて。
食事が夜遅い人は「夕食を2回に分けて食べるべし」
遅い夕食はがっつり食べてしまいがち。昼食との間隔があいて低血糖になり、糖分を欲している状態で食べることに加え、脳がセロトニンを分泌させて一日のストレスを解消しようとするからです。一方、ビーマルワンという体内の時計遺伝子の、脂肪を体に蓄える働きが22時〜2時にピークになるため、22時以降の食事は太るもとに。
夕食が遅くなりそうなときは、なるべく17〜18時におやつや軽食をとって、食事を2回に分けることを心がけて。おやつはナッツやチーズにすると血糖値が保たれて、夕食が遅くなったときのドカ食いが防げます。あるいはサンドイッチなどの軽食をとり、夕食をおかずだけにするのもよいです。
なお、夜中にどうしてもおなかがすいたときにはホットミルクを。牛乳はセロトニンの原料のトリプトファンが豊富で、吹きさましながら飲むことで時間がかかって満腹中枢が刺激されるので、空腹感を緩和してくれます。
ダイエットがうまくいかない人は、睡眠や夜の過ごし方にカギがあるかも。ぜひ生活習慣の改善に役立ててみて!
教えてくれたのは……
工藤孝文先生
ダイエット外来・糖尿病内科医・漢方医。福岡大学医学部卒業後、アイルランドとオーストラリアへ留学。現在は福岡県みやま市の工藤内科副院長。診療のかたわら、雑誌やテレビ、講演でも活躍。『THEデブ脳』(枻出版社)など著書多数。