受験シーズンが近づくと、受験生を抱える家庭の緊張感も日に日に高まっていくことでしょう。そんな中、ある日の出来事が、受験生の親の苦悩を知るきっかけとなりました。そんな体験談を、友人が聞かせてくれました。
予期せぬ苦情:ボール遊びの音をめぐる誤解
私が庭で草むしりをしていた、ある日のこと。子どもたちが敷地内で静かに遊んでいる中、向かいに住むAさんが声をかけてきました。
「すみません、ボール遊びを止めてもらっていいですか? うちの子が今度受験生で、今も勉強しているんですけど、ボールの音がうるさいって……」
驚いた私は、「ボール遊びしてるの、うちじゃありませんよ」と答えました。
話している間に、辺りのどこかで遊んでいた子どもたちが各々帰宅したようで、音は止みました。私の子どもがボール遊びをしていたと勘違いされ、完全なとばっちり。勘違いされた上に注意されて、私としてはモヤモヤが残りました。
でも、声をかけてきたAさんは向かいに住んでいるので、気まずくなりたくないと思い、その場は笑顔でやり過ごしました。
思いがけない謝罪訪問と受験生の親の本音
その数日後、思いがけない訪問者が。Aさんが、菓子折りを持って謝罪に来たのです。「先日は本当に申し訳ありませんでした」と頭を下げるAさんに、私は「そんな、お気になさらずに」と答えました。
するとAさんは、息子さんの様子を打ち明け始めたのです。
「受験を控えた息子が神経質になっていて、些細な音にも過敏に反応して、癇癪を起こしてしまって。なんとか集中できる環境を整えようと、私は外の音に神経を尖らせていて……」と。
近所付き合いから学ぶ、受験期の家庭の緊張
私は、「受験生を抱える家庭っていうのは、緊張感があるんだな」と思いました。今回の出来事はとばっちりでしたが、それぞれの家にいろんな事情はあるものだと感じたのです。
受験期は確かに大切な時期です。私は受験生だった経験はありますが、受験生の親になるのはもう少し先。どうか心穏やかに過ごせますように。
【体験者:20代・会社員、回答時期:2025年1月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Yuki Unagi
フリーペーパーの編集として約10年活躍。出産を機に退職した後、子どもの手が離れたのをきっかけに、在宅webライターとして活動をスタート。自分自身の体験や友人知人へのインタビューを行い、大人の女性向けサイトを中心に、得意とする家族関係のコラムを執筆している。