今回は筆者が、ずっと「専業主婦」だった知人から聞いたお話を紹介します。昔は周りから「順風満帆な人生でいいね!」と羨望のまなざしで見られていましたが、今では後悔ばかりしている理由とは……?
当時は「女は早く結婚・出産した方が幸せ」だと信じていた
私は今年70歳になった、年金暮らしの女性です。これは私がまだ20代前半だった頃のお話です。
私は大企業勤めのサラリーマンと結婚し、その2年後に長男、4年後には次男を出産しました。当時、私の周りでは「女は早く結婚・出産した方が幸せ」という風潮があったため、友人たちからは「順風満帆な人生で羨ましい」と羨ましがられたものです。
また、バブル期で夫の収入がよかったため、私が働かず育児に専念していても、裕福な生活ができていました。
私は家事が嫌いだったのですが、掃除やアイロンがけなどの面倒な家事は夫が全てやってくれました。料理も苦手で、食卓にはスーパーやデパ地下で買った、出来合いのものばかり並べていたのです。
毎朝、勤務先へ出勤する近所の奥様たちを見ながら「私って勝ち組♡」と勝手に優越感に浸っていたあの頃。まさか数十年後に、あんな未来が待っているとは夢にも思わずに……。
夫に「数年間だけでもいいからパートに出てほしい」と言われたが
時は流れ、2人の息子が遠方の私立大学に通うようになり、家計が一気に逼迫しました。貯金もろくにしていなかったため、とうとう夫に「数年間だけでもいいからパートに出てほしい」と言われてしまったのです。
しかしこれまでの優雅な生活から抜けられず「今更働くなんて恥ずかしい」とすら思っていた私は、何かと理由をつけて、働くことから逃げ続けました。
そして私はその後も働かず、家事の腕も磨かぬまま、歳をとっていきました。しかし65歳になったころ、大きな転機が訪れます。夫が病気で、寝たきりになってしまったのです。
生活費としてあてにしていた年金は、ほとんどが夫の病院代に消えてしまいます。そのため私は、残ったわずかなお金で生活する羽目に。
また、家事ができないために家は荒れ放題で、息子たちも実家に帰ってこなくなってしまったのです。
もし、私に仕事の経験があれば、何かしら働き口を見つけられたかもしれない。家のことをちゃんとやっていれば、子供たちから疎遠にされることもなかったかもしれない。今になって、本当に後悔しています。
【体験者:70代・女性・年金受給者、回答時期:2024年12月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:Hinano.N
不動産・金融関係のキャリアから、同ジャンルにまつわるエピソードを取材し、執筆するコラムニストに転身。特に様々な背景を持ち、金融投資をする女性の取材を得意としており、またその分野の女性の美容意識にも関心を持ち、日々インタビューを重ね、記事を執筆中。