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婦人科医に聞く「閉経後」のこと。更年期の後の老年期にむけて備えたい対策は?

  • 2025.1.26

45歳前後の女性にとって、閉経は決して遠くない未来のこと。閉経後に起こりえることを今から備えておくで、これからやってくる更年期のライフステージを明るく、ポジティブに考えられるはず。そこで、女性の健康に関わる研究や医療を推進する「女性の健康総合センター」の婦人科医・小宮ひろみ先生にお話しを伺います。


【婦人科医に教わる閉経後のからだ】

最後の月経から一年なければ閉経

夏目 日本人の平均的な閉経年齢は50歳前後と言われています。ただ、個人差が大きく、40代で閉経する人もいるそうですね。閉経とは「月経が終わること」と何となくわかっていますが、医学的な定義などはあるのでしょうか? 小宮先生 最後の月経があって1年ないと閉経となります。 夏目 例えば、閉経年齢に近づいて、3か月こなくて翌月にチョロッと月経があった場合、閉経が伸びるということになりますか? 小宮先生 明らかに月経による出血ならば閉経は伸びますが、ただ、月経ではない可能性もあります。閉経前のホルモンは不安定になり、不正出血がおこりやすくなりますが、子宮体がんをはじめとした重要な疾患も考えられますから婦人科で検査をしたほうがいいでしょう。 夏目 閉経時期は個人差がありますが、例えば50歳で閉経した場合、更年期は何歳ぐらいからはじまりますか? 小宮先生 閉経前後の約10年間と定義されているので、45歳から55歳ぐらいが更年期になります。思春期、成熟期、更年期、老年期というように年齢を重ねるごとにライフステージがあり、女性の場合、閉経は更年期を判断する目安になります。

更年期症状と自分で判断することでリスクが生じることも!

夏目 更年期は様ざまな不調に陥ると聞きます。 小宮先生 更年期は女性ホルモンのエストロゲンの分泌量が減ることでホルモンバランスが乱れる症状。程度の差はありますが、イライラ、気持ちの不安感、やる気がでない、肩こりや頭痛、ホットフラッシュなど多岐にわたります。 夏目 今まで婦人科に行ったことがないと、敷居が高いように思います。 小宮先生 女性のヘルスケアという点からも不調のままにしないでください。近所のかかりつけのクリニックに行くような気持ちで、婦人科を受診しましょう。更年期症状があるのに我慢する必要はありませんよ。それともうひとつ、更年期症状っていろいろな症状がでますから、自分で判断するのもリスクがあります。例えば、倦怠感が強くでている場合、更年期症状ではなく甲状腺の問題だったということも。

閉経後に用心したい疾患は?

夏目 閉経後は体力低下や健康面も心配です。また、性生活も気になります。 小宮先生 健康面でいちばん気になるのは、骨密度です。閉経によって、エストロゲンが急速に失われ、骨の新陳代謝が乱れるために骨密度が低下します。結果的に老年期の女性に骨粗しょう症が多いのはこのためです。なかなか自分の骨密度を測る機会が少ないので、閉経後に測定して、数値を把握することが大切です。体力も低下ことが多いので無理なく続けられる運動、ウォーキングや水泳などの有酸素運動、筋力アップをはじめましょう。性生活については、外陰部の乾燥によって性交痛を感じることもあります。パートナーに相談したり、潤滑ゼリーなどを用いてみるなどの対策がおすすめ。

夏目 更年期症状は程度の差があったり、症状がまったくでない人もいます。症状がなかった場合、とくに対策はしないでそのまま生活してもいいですか? 小宮先生 症状がなかったとしても、エストロゲンは低下していることは間違いありません。さきほどお話したように自分の骨密度を把握した上で対策を講じたり、生活習慣を見直してください。更年期は体重が増えやすく、血圧も高くなりやすいですから、食事、運動、そして睡眠をしっかりとって日々の生活を規則正しく行うことが大切です。エストロゲンが少ないと、コレステロール、脂質代謝、糖代謝の数値がずいぶん変わってきますから。 夏目 更年期は自分の体調を見直すきっかけとしてポジティブに捉え、生活習慣を改善するチャンスですね。1年後、3年後、5年後も楽しく生きていくためにも、更年期というライフステージを上手に乗り切ります。


【教えてくれたのは】

小宮ひろみ先生

国立成育医療研究センター 女性の健康総合センター センター長、女性総合診療センター センター長 1986年山形大学医学部卒業。同大産婦人科などで勤務した後、2004年より福島県立医科大学附属病院にて女性専門外来(2008年より性差医療センター)を率いる。同大医学部医療人育成・支援センター臨床医学教育研修部門副部門長、男女共同参画推進本部副本部長、男女共同参画支援室長、性差医療センター教授、ダイバーシティ推進本部副本部長、ダイバーシティ推進室長などを経て現職。専門は産婦人科、生殖内分泌、性差医療、漢方医療、女性医学。

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