更年期以降の多くの女性が悩む、手指の痛みや変形、こわばりなどについて手の外科の専門医・池口良輔さんに聞く企画。手指の痛みや腫れなどのトラブルは、適度に手指を動かすことが重要。そこで今回は、自宅で簡単にできる「指エクサ」を教えてもらいます。
無理せず適度に!「指エクサ」で手指の痛み緩和と効能改善
手の専門医・池口良輔(いけぐち・りょうすけ)さんが患者さんにも指導しているのが、手指を曲げ伸ばしする「指エクサ」です。
「痛みの緩和や手指の機能改善などの治療効果が認められています。症状が出ていない人も手指トラブルの予防になりますから、ぜひトライしてみてください」と池口さん。
今回は2つの指エクサを紹介します。まずは「腱ストレッチ」。手指と手首をしっかり伸ばし、骨と筋肉をつないでいる腱をストレッチします。神経や筋肉も同時に伸びるので、手指全体のトラブル予防になります。特にばね指の改善に効果的だそう。
もう一つは「指先合わせ2」。1回1分!手指トラブルから守る「指エクサ」で紹介した内容に親指を伸ばす動きを加えたものです。
関節の可動域を維持・改善し、指周辺の筋肉を鍛えます。ヘバーデン結節、ブシャール結節、母指CM関節症、ばね指、ドケルバン病の全部に効果を期待できます。
いずれも1セット5~10回を目標に、できれば朝昼夜の3回行いましょう。
「無理はせず、徐々に回数を増やしていってください。入浴後や手をお湯で温めた後などに行うと、より効果的です。ただし痛みや腫れがひどかったり、途中で痛みが強くなったりする場合は休んでください」と池口さん。
指エクサ1:手指と手首をしっかり伸ばす「腱ストレッチ」
腱を伸ばし、神経をほぐすことで手指全体のトラブルを予防します。ばね指に悩んでいる人に特におすすめです。
1.手首をまっすぐにして、握りこぶしをつくる。
2.すべての指をまっすぐ伸ばす。
3.指と手首をできるだけ反らす。
4.親指を外側に開き、手のひらを上に向けたまま、手首を親指側にグーッとひねる。
5.もう片方の手で親指を下方向に伸ばし、5秒間キープ。
1~5を5〜10回繰り返す。反対の手でも同様に行います。
指エクサ2:関節の可動域を改善!「指先合わせ2」
1回1分!手指トラブルから守る「指エクサ」で紹介した「指先合わせ」の効果をさらに高めたバージョンです。ヘバーデン結節などすべての手指トラブルに効果的。
1.親指の腹と人さし指の腹をつけて、3秒間キープ。力は入れ過ぎない。
2.親指の腹と中指の腹をつけて、3秒間キープ。薬指と小指も同様に行う。
3.親指の腹を小指の付け根につけて、3秒間キープ。
1~3を5〜10回繰り返す。反対の手でも同様に。
2つの運動をゆっくり行っても約2分!すぐにできるので、ぜひ今日から実践してみてください。
教えてくれたのは…池口良輔(いけぐち・りょうすけ)さん
京都大学医学部附属病院リハビリテーション科准教授。1993年、京都大学医学部卒業。医学博士。静岡県立総合病院整形外科などを経て、2014年から現職。日本手外科学会認定専門医。共著に『手指の痛み・しびれ・はれ・変形 自力でよくなる!名医が教える最新1分体操大全』(文響社刊)。
取材・文=佐田節子 構成=大矢詠美(ハルメク編集部) イラストレーション=コウゼンアヤコ
※この記事は雑誌「ハルメク」2022年4月号を再編集、掲載しています。