どこまでも前向き
「私、ブレッブレで優柔不断なの」と笑顔で語り、ダメな自分も隠さない。その飾らなさとポジティブさが私たちを惹きつけ、魅了する。
壁にぶつかるときは新しい自分と出会うチャンスだと思っています
昔はなかなかに大変な人だったと思います。自分で自分のスケジュールを決められないことにすら、憤ったりして。だけどそのこだわりを手放して委ねることを覚えたら、すごく楽に、安らかになりました。そもそも私って、“何かを決める”のがすごい苦手なんですよ。どっちが正解?と迷うことも嫌いだし。だから、今ではお仕事のジャッジはある程度、事務所にお任せしています。『う〜ん……』となることはゼロではないけど、いいことばかりじゃないからこそ、私ってこういうことが苦手なんだ、嫌いなんだと、自分自身を理解できるのっていいものです。委ねる選択をしたのは自分なので、後悔も不満もないし。
いくつになっても、どんなにたくさんの経験を積んでも、壁にぶつかるときは、ぶつかるもの。それを不運だと嘆いて終わりにするのではなく、新しい自分に出会うチャンスが来たのだとポジティブに受け止められる人でありたいですね。人生の正解は、何もかもが思い通りに運ぶことではないから、自分の頑張りとか我慢を認めてあげて、ときにはご褒美をあげつつ、生きていきたいと思います。
俳優
吉高由里子/Yuriko Yoshitaka
1988年7月22日生まれ、東京都出身。2008年公開の映画『蛇にピアス』で日本アカデミー賞新人俳優賞とブルーリボン賞新人賞をW受賞。その後もNHK連続テレビ小説『花子とアン』など話題作に多数主演。2024年度NHK大河ドラマ『光る君へ』でも主人公の紫式部/まひろ役を演じた。
撮影/伊藤彰紀(aosora) ヘアメイク/RYO(TRON) スタイリング/申谷弘美 取材・文/中川知春