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寒い季節の体調管理はどうすればいい?対策とおすすめの食材についてひだまり内科クリニック院長の伊藤公人先生にお伺いしました。

  • 2025.1.24

一年で最も寒い時季。
インフルエンザ・新型コロナ、感染性胃腸炎などの流行もあり、受験生や仕事などの予定がある方は健康管理が気になりますよね。
今回は、この季節の体調管理について、ひだまり内科クリニック院長の伊藤公人先生にお話を伺いました。

今気を付けたい病気とは?検査でわからないこともあるって本当??

今年の冬はインフルエンザ、新型コロナウィルス感染症、マイコプラズマ肺炎の3つが同時に流行する「トリプルデミック」となっています。
年も明け、寒さがさらに増してきましたね。
今の時期はインフルエンザ等の感染症には特に注意が必要です。
中でもインフルエンザは爆発的に増加しており、小中学校でも学級閉鎖や学年閉鎖が相次ぎ、検査キットや薬剤の不足が懸念されています。
高熱をきっかけに受診する方が多いと思いますが、今の時期は、インフルエンザなどの感染症の検査を行うことが多いでしょう。
陽性であれば、すぐに症状にあった薬が処方されますが、陰性のこともあります。
感染症の検査(たとえばインフルエンザ迅速抗原)が陰性であった場合、本当に感染していないこともありますが、インフルエンザや新型コロナウィルス感染症の初期には「感染をしているけど検査は陰性」となる「偽陰性」という現象がおき、検査が陰性となってしまうことがあります。
感染症の検査が陰性であっても、熱が出るなど病気であることには変わりません。
しっかり養生し、症状が持続・悪化する場合は、「陰性だったから大丈夫」と思わず医療機関にご相談してください。

病気にかからないようにするためにできることはある?

ウィルスを体に取り込んでしまわないようにすることが大切です。
外出時にはマスクを着用し、換気の悪いところに長時間滞在することは避けましょう。
また家に帰ったらハンドソープを用いてしっかりと手を洗い、できればアルコールによる手指消毒を行いましょう。
寒い季節は、感染症だけでなく心筋梗塞や狭心症などの心疾患や、脳梗塞などの脳血管障害も起こしやすい時期です。
国立循環器病研究センターによる4年間の心停止症例の解析から、10月から4月にかけて心筋梗塞に伴う心停止の発生が多いことが報告されています。
その結果を踏まえ、以下の「冬場に心筋梗塞を予防するための注意すべき10箇条」が提起されています(2011年11月米国心臓病学会)。
近年は、「ヒートショック」などと呼ばれる、急激な寒暖差による入浴時のトラブルなどを耳にする機会も増えています。
まだ若いから大丈夫、などと思わず、しっかり対策をすることが大切です。
1)冬場は脱衣室と浴室を暖かくしておく。
2)風呂の温度は38~40度と低めに設定。熱い湯(42~43度)は血圧が高くなり危険です。
3)入浴時間は短めに。
4)入浴前後にコップ一杯の水分を補給する。
5)高齢者や心臓病の方が入浴中は、家族が声を掛けチェック。
6)入浴前にアルコールは飲まない。
7)収縮期血圧が180mmHg以上または拡張期血圧が110mmHg以上ある場合は入浴を控える。
8)早朝起床時はコップ一杯の水を補給する。睡眠時の発汗で体内の水分が減少し、血液が濃縮しています。
9)寒い野外に出る時は、防寒着、マフラー、帽子、手袋などを着用し、寒さを調整しましょう。
10)タバコを吸う方は禁煙をしましょう。

寒さは心筋梗塞の大きな原因であり、ヒートショックといわれるストレスが心臓の負担を増やし心筋梗塞を起こしやすくします。
血圧の高い方や高齢者の方、動脈硬化が進行している方は特に注意しましょう。

免疫力ってどういうこと?高めることはできる??

免疫は身体をさまざまな外的から防御するシステムです。
免疫の程度(免疫力)を数値化することはかなり難しいですが、日常の生活の中で免疫の機能を高めることは可能です。
免疫の機能を高めるためには、よく笑う、丁度いい程度の運動をする、食事を腹八分目摂る、規則正しい生活が有効です。
逆にストレスや睡眠不足、過度のダイエットは避けたほうがいいでしょう。

免疫・肌の乾燥・・・冬に摂っておいたほうがいい食材はある?

冬は気候が乾燥しやすく、肌荒れが気になる季節です。
いつものお肌のお手入れ以外に
・ビタミンB2(皮脂のバランス調整:しゃけ、納豆、海苔など)
・ビタミンB6(肌の新陳代謝活性:とうがらし、にんにく、パセリ、まぐろなど)
・ビタミンC(酸化ストレスの改善:アセロラ、いちご、ピーマンなど)
・ビタミンA(肌の再生促進、老化防止:豚肉、かしわ、うなぎなど)
・ビタミンE(酸化ストレス改善、抗炎症作用:煎茶、アーモンド、牡蠣など)

を多めに摂取すると良いでしょう。
また、風邪をひいてしまったら、咳やのどの痛みなどの風邪症状が出た場合、睡眠・休息を充分に摂り、水分補給をいつも以上に行いましょう。
その上で、ビタミンD(いわし、にしん、しゃけなど)、ビタミンC、亜鉛(牡蠣、レバー、納豆など)を多めに摂ることがおすすめです。
症状がつらい場合や発熱(特に高熱がある場合)には、医療機関を受診して適切な診断、治療を受けてください。

病気になったときのために備えておいた方がいいもの

御自身や家族の方が病気になってしまうと、かかりつけの病院を受診することができず常用薬が手元からなくなる可能性があります。
高血圧や糖尿病など、定期的に医療機関を受診し常用薬の処方を受けている方は、万が一に備え自宅に常用薬の予備が少しはあったほうがよいでしょう。
体調や状態を自己確認する機器として、体温計とパルスオキシメーターはとても役に立ちますので、可能なら自宅に備えておいたほうがいいでしょう。
買い物に行くのが難しくなることを考え、ネットスーパーなどの注文方法を確認しておいたり、レトルトのお粥やスポーツドリンクなどを備えておくのもおすすめです。

家族が罹患した場合はどうする?

家族が風邪やインフルエンザに罹患した場合、居住空間が同一であるため感染してしまうリスクは高くなります。
家族間でうつらない・うつさないためには、
・できるだけ別々の部屋を使用する。
・食事を摂る時間をずらす。
・可能なら家の中でもマスクを着用する
・できるだけ室内を換気する。
・タオルの共用はさける。
が有効です。
お子さんが小さい場合など、完全にリスクを避けることは難しいと思いますが、なるべく意識していただくと良いでしょう。

まだまだ寒い日が続きます。
しっかり対策を行い、今冬を乗り越えましょう。

執筆者


伊藤公人(いとうまさと)先生
医師。医学博士。

名古屋市立大学医学部卒、医学博士。
2024年4月三重県四日市市に「ひだまり内科クリニック」(住所:三重県四日市市上海老町1633-140)を開院。
総合病院や大学病院の循環器内科や血液内科で研鑽を積み、その経験を生かし開業。
患者様の表面に見える痛みやつらさだけでなくその奥にある隠れた問題にまで向き合っていきたいという信念のもとで日々の診療を行っている。

日本内科学会総合内科専門医
日本血液学会血液専門医・指導医
日本臨床腫瘍学会がん薬物療法専門医・指導医
一般社団法人Sakura Network Japan理事

ひだまり内科クリニック
https://www.hidamari-naika.com/

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