ヘンリー王子が1月22日(現地時間)、違法に個人情報を入手したとして訴えていた英「サン」紙などの発行元ニュース・グループ・ニュースペーパーズ(NGN)と和解に達し、「全面的で明白な謝罪」と少なくとも1000万ポンド(約19億円)の損害賠償金を勝ち取った。ヘンリー王子は、「サン」紙と「ニューズ・オブ・ザ・ワールド」紙(2011年に廃刊)の記者と私立探偵が、1996年から2011年までの間に電話の盗聴など違法な情報収集を行ったとして、ロンドンの高等法院に提訴していた。
これに加え、1月21日(現地時間)に開始予定の裁判では、NGN幹部による証拠隠滅についても議論されることになっていたが、審理延期を経て翌日に土壇場で和解が成立した。ルパート・マードックが所有する同社が、両紙に関する不正行為を認めるのはこれが初めて。賠償金は、1000万ポンド(約19億円)以上と報じられている。
NGNは、「サン」紙が1996年から2011年にかけてサセックス公爵の私生活に深刻な干渉をし、私立探偵による違法行為があったことを全面的に謝罪。また、「ニュース・オブ・ザ・ワールド」紙もジャーナリストや私立探偵による電話の盗聴、監視、個人情報の悪用があったと認めた。さらに王子の亡き母、ダイアナ元妃の私生活を広範にわたって報道し、深刻な侵害行為が若い頃の王子に苦痛を与えたとして、これについても謝罪した。
なお、ほかにもヒュー・グラントやシエナ・ミラーら、数百名の著名人が同社を相手取り訴訟を起こしていたが、裁判費用が多額になることを理由に早々に和解。最後まで残ったのは、ヘンリー王子と元労働党議員トム・ワトソンの2人だった。ワトソン元議員も同様にNGNから謝罪を勝ち取った。ヒュー・グラントはX(旧ツイッター)にて、「和解や金を受け取ることは望んでいない。法廷で検証されるのを見たかった」と悲痛な思いを記していた。
Text: Tae Terai
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