露地栽培では1月末頃から収穫期を迎える世界最大級の柑橘、晩白柚(バンペイユ)。明るい黄色の大きな実は、縁起物や贈答用としても人気があります。ハーバルセラピストの資格を持ち、ペットのための自然療法も学ぶ海野美規さんの自宅にも、この晩白柚が育っています。今回は、晩白柚にまつわるエピソードや、柑橘類と犬との関係をご紹介します。
晩白柚の収穫時期
皆さんは、晩白柚(バンペイユ)という柑橘系のフルーツをご存じでしょうか。
我が家には、庭に2本の晩白柚の木があります。
十数年前に、文旦が好きな父の、どうしても文旦の木を植えたいというたっての希望で園芸店に注文して2本購入し、庭に植え付けしました。木の成長は早く、すくすく大きく育ち、実も2年目か3年目で実るようになりました。ところが、実った実は晩白柚! 「文旦にしては大きいね〜」と家族で不思議には思っていたのですが、園芸店に注文したものだったので、疑問も持たずに育てていたのです。
以来、この晩白柚の木は毎年大きな実をつけます。だいたい毎年3〜4個ほどですが、ある年は20個ほども実り、圧巻のボリューム感でした。今年は3個でした。
実の数は少ないものの、春に咲く花の香りが素晴らしく、この香りで、今年も立派に実りそうだなと予測しています。
晩白柚とは
晩白柚はミカン科ミカン属。文旦の仲間の柑橘です。
晩白柚の特徴は、なんといってもその大きさ! 直径は20〜25cm、重さは2kg前後。大きなものだと3kg近くのものもあるようです。日に日に大きくなっていくので、どこまで大きくなってしまうのか心配になるくらいです。
実の色は大きくなりながら黄色味を帯びてきますが、真っ黄色にはならず、薄めの黄色で止まります。皮が厚く、剥くのがとても大変です。果肉はうっすらとピンク色。
肝心なお味はというと、う〜ん、期待したほどではなく、初めて食べたときは少しがっかりしました。収穫するタイミングが分からず、少々切るのが遅かったのかと思っています。美味しくするには、何かコツがあるのでしょうけれど、そのまま何の手入れもしないので仕方ありません。でもいつか、文旦のように甘くみずみずしい味になってくれるといいなと思っています。
晩白柚は縁起物
晩白柚は、黄金色で大きな丸い実であることから、とても縁起のよいフルーツとされています。大きな実はまるで初日の出のようだということで、お正月飾りにもされています。
柑橘の「きつ」という音は「吉」と通じることから、そもそも縁起物。その柑橘の中でも大きな晩白柚は、大きな吉、つまり大吉を願って飾られるとのことです。
中華圏では、中国の旧正月にあたる春節には、キンカンの大きな鉢植えを玄関に飾ります。やはりキンカンも柑橘類ですからね。晩白柚も、春節に合わせて、特産地の熊本県八代から香港などに輸出されているそうです。
犬の嗅覚と柑橘の香り
平均的な犬の鼻には、人の数十倍の面積がある嗅上皮に約2億2千万個の嗅細胞が数層にも配列して並び、優れた嗅覚を維持しています。犬の嗅覚は、臭気によっては人の1億倍もの臭いを探知できるといわれていて、昔から、狩猟、追跡、探索に活用されてきました。また、湿った鼻は風向きを感知しているのではないかと考えられているそうです。近年では、犬が人間の怒りや悲しみ、歓喜、憂鬱なども嗅ぎ分けられるのではないかという研究も進んでいます。
犬も人も、香りと出来事を結び付けて記憶しています。嗅覚を通して、楽しいことや嬉しい記憶と香りを結びつけてあげることで、しつけのサポートに役立てられるそうです。
そんな優れた嗅覚を持った犬ですが、一般的に柑橘系の香りが苦手のようです。我が家の柴犬あんも例外ではなく、柑橘系の香りはどうも好きではなさそうです。
庭にあるレモン、キンカン、晩白柚の香りはどれも苦手で、近づけてみると、「フンッ」と鼻を鳴らして行ってしまいます。晩白柚はあまりにも大きいことも気に入らないのかもしれません。
参考:「ホリスティックケアカウンセラー養成講座」
Credit
写真&文 / 海野美規 - フラワー&フォトスタイリスト -
うんの・みき/フラワー&フォトスタイリスト。ハーバルセラピスト。愛犬あんとの暮らしを通じて、動物のための自然療法を学ぶ。パリで『エコール・フランセーズ・ドゥ・デコラシオン・フローラル』に入門、ディプロムを取得。『アトリエ・サンク』の山本由美氏、『From Nature』の神田隆氏に師事。『草月流』師範。フランス、ハンガリー、シンガポールでの暮らしを経て、現在日本でパリスタイル・フラワーアレンジメントの教室『Petit Salon MILOU(プチ・サロン・ミロウ)』を主宰。