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【ほうれん草】夏と冬で“栄養”に違いはある!?根元の赤い部分にはどんな栄養があるの?[栄養士ライター解説]

  • 2025.1.23

ほうれん草の旬は?

ほうれん草の旬はいつなの?
ほうれん草の旬はいつなの?

寒いほど甘みと栄養が増す、「ほうれん草」。現在は品種改良やハウス栽培によって年中手に入るようになりましたが、本来の旬は冬。かつては冬の葉物野菜の代名詞でした。この記事では、ほうれん草の栄養について紹介します。

冬のほうれん草に含まれるビタミンCは夏の3倍!

ほうれん草のビタミンC比較
ほうれん草のビタミンC比較

ほうれん草は、緑黄色野菜の中でも特に栄養価が高いことで知られています。抗酸化作用で知られるβ(ベータ)-カロテンをはじめ、ビタミンK、ビタミンC、葉酸、鉄、カルシウム、マグネシウムなども豊富。

特に、収穫時期で大きく異なる栄養素がビタミンCで、旬の冬採りほうれん草には夏採りほうれん草の3倍も含まれています。ビタミンCは免疫力を高め、コラーゲンの合成を助けてくれるので、風邪や肌の乾燥に気をつけたい冬に積極的に摂りたい栄養素です。

ほうれん草の赤い根元の部分にも栄養あり!

▲根の赤い部分を残し、包丁で十字の切り込みを入れるのが下ごしらえのコツ。
▲根の赤い部分を残し、包丁で十字の切り込みを入れるのが下ごしらえのコツ。

ほうれん草の根元を、ゆでた後に切り落としてしまう人は多いかも知れません。実はそれ、もったいないです。根元の赤い部分には、骨の形成を助けるミネラルのマンガン、ポリフェノールが含まれています。

ゆでる前に赤い部分を残すようにして根の先端を切り、根元に十字の切り込みを浅く入れると、洗いにくい根元の泥が落としやすくなり、火の通りも早くなります。

ほうれん草のエグみの正体は?

ほうれん草にはエグみの原因となり、鉄やカルシウムの吸収を阻害するシュウ酸が含まれています(最近はシュウ酸を抑えたサラダ用ほうれん草も出回っています)。

▲ほうれん草の緑色が鮮やかになったら湯から引き上げましょう。
▲ほうれん草の緑色が鮮やかになったら湯から引き上げましょう。

下ゆでの際はフタをしないようにして、ゆでてから水にさらすとシュウ酸を取り除くことができます。ただし、水溶性のビタミンCやカリウムも一緒に溶け出してしまうので、たっぷりめの湯でサッとゆがき(1分程度を目安に緑色が鮮やかになったら引き上げます)、水に浸したままにしないようにしましょう。

ほうれん草に含まれる鉄の吸収力を高めるコツ

ほうれん草に含まれる鉄は「非ヘム鉄」と呼ばれ、レバーなど動物性に含まれる「ヘム鉄」と比べると吸収されにくい特徴があります。ところが、動物性たんぱく質を多く含む肉や魚、ビタミンC、クエン酸と一緒に食べることで非ヘム鉄の吸収が促進されやすくなります。また、ビタミンEを含むゴマやナッツ類、植物油と組み合わせると抗酸化力アップ、ビタミンDが豊富なきのこ類と組み合わせるとカルシウムの吸収率を高めることができます。

まとめ

▲冬限定の「ちぢみほうれん草」。食感を活かすためにも加熱時間は短めが◎。
▲冬限定の「ちぢみほうれん草」。食感を活かすためにも加熱時間は短めが◎。

本来の旬である冬のほうれん草は色も濃く、甘みや栄養が増しています。ちなみに、冬限定で出回る寒締めほうれん草(ちぢみほうれん草)は、冷たい外気にあてて栽培することで、ほうれん草自らが凍らないよう水分を減らして糖分を蓄えるため葉肉が厚くなり、甘みや栄養価が高くなります。見かけたら味わってみてください。

※参考文献:『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版』、『日本人の食事摂取基準(2020年版)』、奥嶋佐知子監修『食品の栄養とカロリー事典 第3版』女子栄養出版部,2022、杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、名取貴光監修『新・野菜の便利帳 健康編』高橋書店,2016、白島早奈英・板木利隆監修『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』高橋書店,2009

(野村ゆき)

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