子どもと一緒にいるときに災害が起きるとは限りません。子どもが家で留守番中に停電や断水が起こったら…? どうやって状況に対処すべきか、子どもと一緒に確かめてみましょう。
特に確認しておきたいのは、災害時も我慢できないトイレのこと。どのようにトイレを使えばよいか、子どもと一緒にトライしてみます。
子どもと話し合おう
まずは子どもと、災害時のトイレについて話し合ってみましょう。
大人と一緒ではないときに災害が起きた場合、自分で判断して行動しなければなりません。特にトイレは「待ったなし」です。
トイレは我慢できない、我慢しちゃダメ!
まず子どもに伝えておきたいのは、「トイレを我慢しちゃダメ!」ということです。
トイレを我慢すると、病気になるリスクがあることを伝えましょう。また、トイレに行く回数を減らすために水分摂取を少なくすると、脱水のリスクもあります。
水分はしっかり取って、排せつは我慢しないこと。これが、まずおさえておきたい重要なポイントです。
地震・水害の時は流さない
トイレが使えないのが、単なる停電が原因なのか、地震や水害が原因なのかによって、対処方法が変わります。
大きな地震による断水・停電が原因なのであれば、流せる状態であってもトイレを流してはいけません。
自分の家のトイレが問題なさそうに見えても、見えない場所で排水管が損傷していることもあります。
そんな状態で流してしまうと、排水管の下流で汚物があふれてしまうことがあります。特に集合住宅では下階の部屋を汚損してしまう危険性があるので注意が必要です。
また、大雨や台風など水の災害の際は、トイレの排水管から汚水が逆流してくる可能性があるため、水を流さないようにしましょう。
ここからは、停電と地震・水害の状況別の対処法を紹介します。
停電時の対処法…停電すると水が出なくなる場合も
まずは、災害が原因ではない停電時の対処法を考えます。集合住宅の上階の場合、電気で水をくみ上げているため停電すると水が出なくなってしまい、トイレが流せません。
ここからは停電時に水を流す方法について紹介します。繰り返しになりますが、地震や水害の際には水を流さないでください。
停電で水洗スイッチが使えない時は
レバーハンドルが付いていない、センサースイッチやボタンスイッチタイプのトイレで、停電で水を流せなくなった場合はどうしたら良いでしょうか。
わが家の場合は、便器の後ろ側の手動レバーを引っ張ると水洗できる仕組みになっていました。
子どもに「スイッチを押しても水が流れないときは、ここの紐(手動レバー)を引っ張ると流れるよ」と説明し、実践してもらいました。
大人でも手動レバーの場所を知らない人が多いのではないでしょうか。トイレの説明書やメーカーのウェブサイトにスイッチが使えないときの水洗の方法が書かれているので確認し、実際にトイレでもチェックしておきましょう。
水が流れないときは…バケツで水を流す方法を実践
風呂の残り湯など、使える水がある場合は、バケツで水を流すこともできます。
こちらもトイレの説明書やメーカーのウェブサイトでやり方を確認してください。
今回はTOTOのウェブサイトを参考にしました。
まずは便座を上げて、便器の周りに新聞紙などを敷いて水飛びをガードします。
次に、バケツ一杯(6~8L)の水を流し込みます。このとき便器ボウルの中心を狙って勢いよく水を入れるのがポイントです。
そのあと、先ほどの半量(3~4L)程度の水を静かに流し入れます。
排水管の途中で汚物が滞留するのを防ぐため、2~3回に1回は多めの水(10~12L)を流すと良いそうです。
実際に子どもとチャレンジしてみました。トイレットペーパーを丸めたものを汚物に見立て、バケツで流してみます。
やってみると、まず、6~8Lも水が入ったバケツは、子どもは持つこともままならないことが判明。水を3Lほど入れた小さいバケツで2回流すことにしました。
そのあと、小さいバケツ1杯(約3L)の水を静かに流します。ここは勢いが要らないので先ほどよりは苦労せずできました。
周囲にも水が飛び散っていますが、最初に入れていたトイレットペーパーは無事流れていきました。
力の弱い子どもにとっては、勢いよく水を流し入れる最初の工程が一番難しいようです。「停電したらバケツで流せばいいんでしょ?」と何となく考えていましたが、そのときに水が確保できているか、体力はあるかといった課題もあることがわかりました。
地震・水害のときの対処法
では、地震や水害のときはどうしたら良いでしょうか。その場合は非常用の簡易トイレが活躍します。
まずは便器の状態を確認
まずは便器の状態を確認します。地震の影響で便器にヒビなどは入っていないでしょうか。
また、便器の中に溜まった水を見て、汚水が逆流している様子はないか確認してください。便器からポコポコと空気の音がしたり、水が跳ねたりする様子があったりすると、逆流が起きているサインです。
備え付けの便器の安全が確認できれば、これを活用します。便器が使えない場合は、別のアイテムを利用しましょう。
非常時には簡易トイレとして使え、普段は収納ボックスや踏み台として利用できる商品もありますし、段ボールで便器を自作したり、バケツを利用したりすることもできます。
簡易トイレを設置してみよう…便器にビニールを被せて簡易トイレを使う方法を実践
今回は便器が安全だったという想定で、自宅の便器を活用して簡易トイレを使ってみます。段ボールなどの代替アイテムを使う場合は、水のうは不要ですが、それ以外の基本的な手順は同じです。
まずは、排水管の逆流を防止するため、水のうでフタをします。水のうは2~3重にした45Lポリ袋に20Lほどの水を入れて口を縛ったものです。
その上に、便器を覆うように大きいポリ袋を被せます。70L程度の大きい袋を使うとしっかり便器を覆えます。
便座を閉じた上からもう一枚ポリ袋を被せ、中に吸収剤を入れます。そこで用を足し、上のポリ袋の口をしばって防臭袋に入れます。
最後に防臭袋はベランダのフタ付きボックスに入れて臭いが漏れ出ないようにします。
子どもと一緒に一連の動きを確認しました。
まず簡易トイレの保管場所を確認して、中に何が入っているのか、それぞれどう使うのかも説明します。
今回は用を足す代わりに水を注いで吸収剤に吸わせてみました。一般的な成人の一回あたりの排尿量は200~400mlとのことで、今回は300mlの水を注ぎました。吸収剤1枚では吸いきれず、2枚使いました。
今回使用したものは用を足す前にシートを入れておくタイプでしたが、用を足した後に凝固剤を振りかけるタイプの非常用トイレもあります。家にあるのがどちらのタイプか、確認しておきましょう。
少なくとも数日は家に置いておく必要があるため、臭いの問題も気になりますね。消臭剤を使ったり、消臭袋に入れたりしたうえで、さらにベランダにあるフタの閉まる箱に入れます。簡易トイレの数は十分あるから我慢しないでね、と説明しました。
待ったなし!のトイレの備え。知識を子どもに伝えましょう
簡易トイレを用意している人も多いと思いますが、使い方は家族全員が理解していますか? 理解している人がいないときに被災したら、残った家族はかなり慌ててしまいます。
防災グッズを用意したら、まずは家族で一度試して使い方を確認し、保管場所はどこかを共有しておきたいですね。特にトイレは待ったなし。一度、家族全員で試してみてください。
<執筆者プロフィル>
シマサキアヤ
フリーランスライター