銀座のど真ん中にありながら、隠れ家的な和食店『三分樓』を紹介する。
上質を求める洒落た大人にぴったりの空間だ。
上質を求める洒落た大人の聖域
迂闊だった。銀座のバーニーズにはよく来るが、この和食店は知らなかった。
エスカレーターで4階に上がった、すぐ左手に『三分樓』はある。
店内は奥行きのあるカウンターが基本。席に着こうとイスを引くと、軽い!
「兵庫にある『Tenon』という工房が手作りするイスです」と驚きを察知して若い女将が言う。そう、ここはすべてが上質なのだ。
柾目が美しいカウンターは桜の一枚板。キッチンで存在感を放つ陶器の焼き台は中川一辺陶の作。
八寸を頼めば、白神山地の麓で育つセリなど、季節の天然素材がずらり。
何かを尋ねれば、柔らかく微笑みつつ、的確に淀みなく答える女将も魅力的。
女将の井澤祐香さんは前職が法律事務所勤務という異色の経歴の持ち主。銀座の和食店で働いた時期もあり、そこで日本酒の造詣を深めた。新たな日本酒との出合いを求めている。
日本酒は彼女のセレクトで今日のラインナップが黒板に並んでいる。
どれもあまり聞いたことがない銘柄で、興趣をそそられる。
「私が宮城出身なので東北のお酒をついつい入れてしまうんです(笑)」
提供は陶芸家が作る素朴な蕎麦猪口で。さぁ何を飲もう。迷う時間も愛おしい。
【Time schedule】オープンと同時にGO!
時間帯によって客層は多彩。
常連や仕事帰りのカップルが開店早々訪れ、階下の店が閉店した20時以降は買い物帰りが急増する。
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