1. トップ
  2. 恋愛
  3. エイドリアン・ブロディ主演作『ブルータリスト』、AI使用が物議

エイドリアン・ブロディ主演作『ブルータリスト』、AI使用が物議

  • 2025.1.22
『ブルータリスト』は2月21より日本公開。
THE BRUTALIST - Adrien Brody, Felicity Jones, 2024.『ブルータリスト』は2月21より日本公開。

第82回ゴールデン・グローブ賞でドラマ部門の作品賞や男優賞、そして監督賞を獲得し、本年度の賞レースで注目を集めているブラディ・コーベット監督の『ブルータリスト』。ホロコーストを⽣き延び、アメリカへと渡ったハンガリー系ユダヤ⼈建築家のラースロー・トートを演じたエイドリアン・ブロディと妻役のフェリシティ・ジョーンズのハンガリー語を洗練させるため、AI技術を使用したことが明らかとなり、議論を巻き起こしている。

ハンガリーの映画監督ミクローシュ・ヤンチョーの息子で、自身もハンガリー語を母語とする編集者のダーヴィド・ヤンチョーが、2人のハンガリー語を「完璧にして、地元の人でも違いが判らないようにしたい」と思い、ウクライナのソフトウェア会社RespeecherのAIツールを導入したとテクノロジー誌『レッドシャーク・ニュース』のインタビューで明かした。

ハンガリー語では特定の単語の発音が難しいため、当初は別の俳優の声の使用も試みたが上手くいかず、AI使用に踏み切った。「彼らのハンガリー語のセリフの大部分には、私の話し声が含まれていますが、彼らの演技を残すよう細心の注意を払いました。主に単語の一部をいじっただけです」。また、彼は映画のラストの部分でも生成AIを使用し、エイドリアンが演じる建築家ラースロー・トートのスタイルで、「一連の建物や建築図面」を作成したと認めている。

インタビューで彼は、AI使用を明かせば「物議を醸す」とわかっているが、そうあるべきでないと主張する。「AIツールが我々にもたらすことについて、オープンに議論すべきです。本作で使用したAI技術には、目新しいものなどありません。AIは時短になります。我々は細かなディテールを作り上げるための資金も時間もなかったので、AIを使用したのです」

左からブラディ・コーベット監督、フェリシティ・ジョーンズ、エイドリアン・ブロディ。
Brady Corbet, Felicity Jones, Adrien Brody attend a special screening of "The Brutalist"左からブラディ・コーベット監督、フェリシティ・ジョーンズ、エイドリアン・ブロディ。

批判の受け、コーベット監督は『ハリウッド・レーポーター』を通じて声明を発表。「エイドリアンとフェリシティの演技は、完全に彼ら自身のものです」と断言し、俳優の演技を向上させたり変化させたりするためにAIが使われたという指摘に反論した。「彼らはアクセントを完璧にするため、発音コーチのタネラ・マーシャルと何カ月も取り組みました。革新的なRespeecherの技術は、ハンガリー語の台詞編集にのみ使用され、特に特定の母音と文字を正確しようと調整しました。英語の台詞は一切変更されていません。これは、私たちのサウンドチームとRespeecherがポストプロダクションに手作業で行いました。その目的は、エイドリアンとフェリシティによる他言語での演技の真実味を保つことであり、置き換えたり変えたりすることではなく、技術に最大限の敬意を払いました」

Text: Tae Terai

READ MORE

元記事で読む
の記事をもっとみる