その疲れ顔、たるみ、ゆるみの解決法は、“あご筋”にあるって知ってた?
「1日90秒、2週間あごを意識してケアすることで、たるみのない美しく張りのある小顔を手に入れることができます」
そう話すのは歯学学士であり、鍼灸整骨院・総院長の薩摩宗治先生。独自の歪み改善技術で多くの患者の悩みを解決してきた。TVやラジオ、雑誌などでも注目される薩摩先生が伝える、簡単かつ効果抜群の“あごケア法”とは? 早速見ていこう。(以下「」・薩摩先生)
あごの不具合は老化を加速させる?
「あごと連動する器官に、唾液腺があります。唾液は口の中を潤す天然の美容成分と言われていますが、あごのまわりにある耳下腺、顎下腺、舌下腺はいずれもあごの動きと密接な関係があります。とくに下あごにある顎下腺で全体の唾液の65〜70%を生成しています。唾液量が減ると免疫力が落ちたり、口内の殺菌力の低下やホルモンの分泌量が減るなど、アンチエイジングにはマイナス面ばかり。とくに女性は男性に比べて骨格や靭帯が弱いので、あごのケアが欠かせません」
ダメージ①:唾液が出ない
「あごを動かすと唾液腺が刺激されて唾液が分泌されます。ところがあごの動きが悪ければ、唾液腺が思うように刺激されず、唾液腺が減ってしまい、数々のダメージを引き起こします」
ダメージ②:免疫力が下がる
「唾液の中には免疫を司るホルモンが含まれていると言われています。あごの動きが悪くなり唾液の分泌量が減れば、免疫力が下がる原因にもなる可能性が」
ダメージ③:脱ストレス!!
「唾液の力はバカにできない。ストレスがかかると無意識のうちにあごに力がかかり、食いしばりが起こります。日中も睡眠中も一日中使われた咬筋は慢性の筋肉痛になり、うつを引き起こすこともあります」
ダメージ④:ホルモンの乱れ
「あごの動きが悪くなると自律神経に悪影響を及ぼしたり、唾液に含まれるホルモンが乱れるなど、原因のわからない不定愁訴(ふていしゅうそ)に悩まされるようになることも」
毎日必ず起きている、“あごズレ”が及ぼす影響とは
「食事や話をしたり、笑うたびにあごは毎日、少しずつズレています。ズレたあごで噛めば、唾液が出づらくなり、消化吸収力がダウン。食事で摂った栄養の吸収力が低下し、食事のQOLに影響を及ぼします。また、あごは頭のバランスをとる重り。あごがズレれば肩甲骨や骨盤でバランスをとろうとして、ゆがみは全身に波及するのです」
「『あれ、エラが張ってる? 今日は噛みづらい? 肩こりがひどくなった? あご疲れの症状は突然現れます。でも、実は毎日少しずつ"あご疲れドミノ"は始まっていたのです。
これは老若男女誰にでも起こること。顔の大きさやゆがみ、老けた印象など見た目はもちろん、肩こり、首こり、頭痛、腰痛、ひざ痛、消化不良など、あごとはまったく関係のない不調の原因が実はあごにあることも少なくありません。不調に気づいたときに、あごのズレを一気に修正しようとしても、長い時間をかけたズレを元に戻すのは大変! 毎日少しずつ、あごのズレを元に戻せば、体の“胃”“食”=消化吸収、“重”=体のバランス、そして“老け”のドミノ連鎖を食い止めることができます」
あなたのあご筋はどのくらい? チェックしてみよう
「あごは目には見えないので、自分のあご力が強いのか弱いのかわかりません。そこで下記の項目をチェック! あなたはいくつ当てはまりますか?」
1.鏡に向かって歯を出して「ニッ」と笑ってみると、顔の中心と歯がそろっていない
2.顔を上に向けてみて鼻の中心とあごの中心がそろっていない
3.口角の高さや目の開きが左右で違っている
4.ほうれい線のラインが左右対称ではない
5.舌のふちに歯型がついている
6.口を「い」の形にしてあごを横にスライドさせて指の関節ひとつ分左右に動かせない
7.耳横斜め少し下の位置に人差し指を置いて口を大きくゆっくり開けてみると、左右で骨の動きが違う
8.7の動きからゆっくり歯を見せて閉じてみると上と下の歯の中心がそろっていない
9.上の歯と下の歯を閉じたときに前歯の上の歯と下の歯のすき間が5mm程度もない
10.人差し指と中指の指2本分をくっつけたまま、口をあけて中に入れられない
✔の数と結果:【1~3】普段は大丈夫だけど、ストレスがたまるとあごに力が入りがち。普段からあご筋をほぐす習慣を取って、柔軟なあご力を身につけて。【4 ~ 7】あごのゆがみや食いしばりは結構、深刻な状態です。あご力をほぐすために基本の90秒+ベロストレッチなど、毎日必ずあご筋ほぐしを!【8 ~ 10】原因のわからない心や体の不調はあごが原因の可能性大。悩みが深刻な場合は専門家に相談をしながら、セルフケアを習慣にして!
顔も体も絶好調の条件は“あご”にあり!
あごは第3の心臓
「体の骨は3年かけて生まれ変わる=リモデリングをします。あごも頭蓋骨もゆがんだまま3年放っておけば広がったまま骨が再生して、下がった大顔がデフォルト化。それだけでなく咬筋の不具合によって、体のバランスや脳や肩、腰などその影響は顔や体に広範囲に及びます。顔の下半分の面積しかありませんが、まさにあごは"第3の心臓"といえるほど体の中心的役割を担っています」
90秒でできる“あご筋ほぐし”のやり方
「毎日ケアをしているのに、顔のゆるだるみはそのまま。それはあごが原因かも!?体の中でも最も働きもののあごをケアすれば疲れ顔、たるみ、ゆるみを即リセットできます! 」
セットアップ
上下の奥歯をぐっと噛んだときや、口を開けたときに動く部分が咬筋。ほお骨からエラまで縦に続き、下あごを閉じるときに働きます。そこに人さし指と中指をあてて、場所を確認してマッサージの準備。
ポイント耳の横に手をあてて「あー」と声を出したときに動く耳横の部分がケアするポイントです。
① 目尻の横、耳の前奥歯が合わさる部分を上下に動かしてさする
目尻の横に人さし指、中指、薬指をあて、圧をかけながら指を上下に動かして目尻の横を10回さする。次に耳の穴の前、上下の奥歯があたる場所に指を移動させ同様に。
② 耳から目尻へ顔の側面を指を前後に動かしてさする
耳の前に人さし指、中指、薬指をあて、圧をかけながら小さく前後に動かして目尻に向かって顔の側面を10回さする。指の位置をずらして、顔の側面を6ヵ所さする。
③ 握りこぶしで咬筋をほぐす
両手を軽く握り、こぶしの平らな部分を上下の奥歯があたる部分にあてる。口を「う」にして、こぶしを口の中に押し込むように圧をかけながら、前後に10回回す。
“あご筋ほぐし”のQ&A
Q1:力加減は?
A:基本は痛気持ちいい程度の力で
「はじめは少し痛いけど続けると気持ちがよくなる=痛気持ちいい強さでマッサージを」
Q2:どうして外に向けてではなくて内側へ? しわにならない?
A:むしろ筋肉のクセがとれて顔のゆがみが改善!
「鏡を見ながら笑ったり、話したりする顔をみましょう。表情を変えるときや話すとき、食いしばっているときなど、顔の筋肉や筋膜は日常生活で過剰に外側に引っ張られているのです。それなのに、マッサージでさらに外側に引っ張ってしまうと、筋肉や筋膜に負担がかかり皮膚を支えられなくなることで顔が大きく、たるんできます。
内側へマッサージすることで筋肉や筋膜のよれ、クセがとれてゆがみが改善。マッサージ後、少ししわが気になっても、表情筋が外側に引っ張られることですぐにしわは消えます。また筋肉のクセがとれれば、しわはなくなります」
Q3 :どれくらいで効果が出てくるもの?
A:1回で顔のむくみが取れ、口が開けやすくなる
「1回やっただけでも、口を開けやすくなったり、顔のむくみがすっきりするのを感じられるでしょう。鏡を見て変化を感じられるのは2週間目頃から。基本の90秒のマッサージを2週間続けるだけで、フェイスラインのたるみがとれ、エラで四角く見えていた顔の形が変わってきたと感じる人も少なくありません。まずはぜひ2週間トライしてください!」
Q4:あごのサイズって年齢とともに変化するってホント? とくに親知らずがある人は要注意?
A:骨も年齢とともに外へと広がる「骨は年齢を重ねても約3年のサイクルで新しく生まれ変わっています。あごの骨も例外ではありません。食いしばりや噛みグセなどで咬筋や側頭筋などの咀嚼筋が外に張り出すことで骨も外へと引っ張られて、骨が生まれ変わるタイミングであごもどんどん外へと大きくなるのです。そのため若い頃よりもあごや顔が大きくなる人がほとんどです。特に親知らずがある人はあごまわりに負荷がかかりやすいのであごが外へ広がる可能性が高いといえます」
効果倍増! プラスでできる習慣とは
・ 通勤時はなるべく顔を上げて姿勢よく! 時間があるときはひと駅分歩く「顔と体は筋膜でつながっているので、正しい姿勢を意識した適度な運動は、リフトアップにも効果的。歩くときはあごを上げて、背すじを伸ばすことを忘れずに」
・なるべく1時間に1回はイスから立って背筋を伸ばす「座りっぱなしで下を向く姿勢はあごへの負担大! 1時間に1回はイスから立ち、あごを元の位置に」
・寝る前には軽くストレッチ「寝る前に軽くストレッチを行うと血流がよくなり、深く眠れます。睡眠が深くなれば細胞の修復力も高まり、肌やあごまわりの筋肉も活性化され、結果、小顔に!」
まとめ
「ぜひ、すき間時間に続けてください。きっと2週間後の鏡の中のあなたは今とは別人のようにすっきりしていると思います」
『90秒 あご筋ほぐし 科学が実証! 顔とカラダの不調を「あご」で一網打尽!』は、世界文化社より好評発売中。
ここで紹介した内容以外にも、「360度舌まわし術」や「スペシャルケア編」など、まだまだ知るべき情報や知識がたくさん詰まっているので、ぜひチェックしてみて!
教えてくれたのは......
薩摩宗治(さつまむねはる)先生
柔道整復師。歯学学士。さつま骨格矯正鍼灸整骨院・総院長。柔道整復の技術と歯学を融合した顔と体の同時矯正術を軸にセルフケア、ゆがみ予防の重要性を説いた『さつま式®メソッド』を提唱。あごのゆがみと歯の関係に注目し、43歳を超えて歯学部に入学、卒業。現在は歯学の知識と技術を加えた新たな顎顔面矯正法を提案し、現場の臨床、後進の育成に力を注いている。著書に『顔の「ゆがみ」がなければあなたはもっと美しい!顔面筋革命』(講談社)がある。公式サイト インスタグラム