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ボッテガ・ヴェネタをまとう桜井ユキ。スタイリスト長澤実香「信念を持ちながら、気負い過ぎてもいない、粋な女性という印象」

  • 2025.1.18

「私が思うその人の魅力を、クリエイター同士の自由な化学反応で、ファッション誌だからできる表現で見せたい」と語るスタイリスト長澤実香さんの隔月連載。今月のゲストは桜井ユキさんです。

BOTTEGA VENETA 写真 TISCH

ジャケット¥520,300、ワンショルダートップス¥300,300、パンツ¥250,800、シューズ[ヒール7.5㎝]¥231,000(全てボッテガ・ヴェネタ/ボッテガ・ヴェネタ ジャパン)

今回の撮影で長澤さんが思い描いたのは1960年代の強い女性像。「思想的にも物質的にも世の中が大きく変化した時代を、自分らしく生き抜いた女性のイメージで、とリクエストしました」。ブークレーウールのギンガムチェック柄のジャケットの下に着ているのは、大胆なワンショルダーのトップス。「肩掛けにしたジャケットを脱ぐと、素肌がスパーンと出ているレディマニッシュなルック。それを堂々と着こなす姿は、60年代をサバイブしたしなやかな女性を彷彿させて、なんとも粋!」。

ニット¥319,000、バッグ〈アンディアーモ〉[H35×W42×D18㎝]¥1,166,000(共にボッテガ・ヴェネタ/ボッテガ・ヴェネタ ジャパン)

からだが泳ぐオーバーサイズのアランウールのニットをバフッと着たリラクシーなスタイル。「ビッグサイズのニットの無造作な装いで思い出すのが、マリリン・モンロー。色気だけでなく、どこかチャーミングで、その人のピュアな部分を引き出してくれるような気がします」

MIKA’S POINT OF VIEW

洋服のアトモスフィアを感じながら「演じる」ことのできる表現者

長澤実香の視点

ユキさんとご一緒したのは、今回が2度目。前回は約3年前だったのですが、どこか不思議な存在感が心に残っていました。私の印象は、潔くて、独特の色気のある人。「私は私」という信念を持ちながら、気負い過ぎてもいない、粋な女性というイメージです。演じている姿を見ても、役が憑依するような怪演ぶりに、自分のリミットを外せる度量があるというか、高い壁をピョンと越えられる勇気と無邪気さとを兼ね備えた人なんじゃないかなと思ったのです。
 
そんな彼女に着てほしい服として選んだボッテガ・ヴェネタは、イントレチャートを筆頭に、高いクラフツマンシップを礎にしながら、常に新たな可能性を追求し続けているブランド。それを象徴していると思ったのが、2022年の秋冬に登場した、しなやかなレザーにデニムプリントを転写したパンツで、「この技術と発想はすごい!」と感激。既成概念を打ち破り、不可能を可能にしていく精神こそが、ボッテガ・ヴェネタの真髄。その姿勢が、ユキさんの在り方とどこかオーバーラップするような気がして。
 
実際、撮影で着てもらい、洋服の温度を感じながら「演じる」姿を見て、ユキさんは、単に洋服を着るのではなく、その先にある「スタイル」を表現していると思いました。ボッテガ・ヴェネタの服を瞬時に、軽々と「自分のもの」にした彼女は、やはり素晴らしい表現者だと思うのです。

ジャケット¥479,600、ブラウス¥220,000、パンツ¥220,000、リング¥110,000、シューズ[ヒール7.5㎝]¥247,500(全てボッテガ・ヴェネタ/ボッテガ・ヴェネタ ジャパン)

ビッグショルダーのダブルジャケットにワイドなタックパンツ、インにはチェックのシャツというメンズライクなルックなのに、桜井さんが着るとどこかアンニュイなムードが立ちのぼる。「タフさと色気が混じり合うような佇まいになったのは、まさにユキさんの表現力の賜物。100%ジェントルな服でも、着る人によってムードが変わるということを象徴する一着」。

ジャケット¥540,100、レザーシャツ¥740,300※参考価格、スカート¥220,000、シューズ[ヒール7.5㎝]¥231,000(全てボッテガ・ヴェネタ/ボッテガ・ヴェネタ ジャパン)

取り外し可能なイントレチャートレザーの襟がボッテガらしさを語るクロップドジャケットは「どこかフェティッシュなイメージ」と長澤さん。丸みを帯びた曲線を描くボリューミーな袖に対して、ウエストがキュッと絞られたデザイン。「ハンガーにかかっているときには可愛い感じかなと思っていましたが、実際に着てみると、少女性がありながらもフェティシズムが漂うようなシルエットで、さすが一筋縄ではいかないなと唸りました」。ボトムスはマチュアな女性が着るからこそかっこいいミニスカート。

PROFILE_桜井ユキ(さくらい・ゆき)。1987年2月10日生まれ。24歳のデビュー以来、話題のドラマや映画に多数出演。2024年度の主な連続ドラマ出演作品は「虎に翼」(NHK)、「ライオンの隠れ家」(TBS)、「ゴールデンカムイ−北海道刺青囚人争奪編−」(WOWOW)。

PROFILE_長澤実香(ながさわ・みか)。スタイリストとして女性誌や講演などで活躍。ハイファッションをリアルなコーディネートに落とし込むスタイリングに定評があり、数多くの俳優やモデルから絶大な支持を得る。

direction & styling :MIKA NAGASAWA
hair:YUKI YANASE
make-up:TAMAYO YAMAMOTO
text: MIWAKO YUZAWA

otona MUSE 2025年2月号より

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