韓国の5人組バンド・N.Flyingが2024年10月に横浜で行ったコンサート「2024 N.Flying LIVE“HIDE-OUT”IN JAPAN」の模様がメイキングの特別映像を加えて、1月19日(日)に衛星劇場にて初放送される。それに合わせて、放送当日は「N.Flyingスペシャル」と題して、彼らの過去のライブや出演バラエティを連続放送。「韓流スタージャックS★N.Flying」を皮切りに、初のホールツアー「N.Flying 2019 1st Hall Live in Japan」、コロナ禍で延期となり2022年に開催した「N.Flying 2020 ZEPP TOUR“Amnesia”」、メンバーが兵役中の為、イ・スンヒョプとユ・フェスンのヴォーカル2人で行った「N.Flying SH&HS ZEPP LIVE 2023“HOWLING”」、そしてラストに上述の2024年の最新ライブ、と9時間半に渡る超盛りだくさんな1日となる。
ツインヴォーカルが魅力のN.Flying
N.Flyingは、日本でのインディーズ活動を経て、2015年5月に韓国でデビュー。バンド名には「New Flying」「Next Flying」の意味があり、強い飛躍の意志が込められている。2016年には日本メジャーデビューを果たし、「第31回 日本ゴールドディスク大賞」(2017)でアジア部門の“ベスト3 ニュー・アーティスト”を受賞した。
そして2017年6月に、サバイバルオーディション番組「Produce101 Season 2」に参加していたユ・フェスンが電撃加入。フェスンは番組出演時から歌唱力で一目置かれていた練習生。イ・スンヒョプとのツインヴォーカルとなり、表現力がパワーアップした。また、フェスンが入った事で楽曲に楽しく明るいイメージが加わった。
スンヒョプは韓国で最近行われたインタビューで「フェスンが入って、N.Flyingは第2の人生を生きる事になった」と振り返り、「N.Flyingが卵から孵化し、もう一度孵化した」と説明。チャ・フンも「卵から孵化して歩いていたら、フェスンが翼を付けてくれた」と語っていた。フェスンの加入は、メンバー同士の結束力も強くしたそうだ。
チャート逆走で、デビューから4年…初の1位獲得
2018年の暮れにベース担当メンバーが脱退。翌年、2019年に4人組となってリリースした「Rooftop」が口コミで火がつき、チャートを逆走。遂にデビューから4年経って初の1位を獲得し、バンドの知名度が大きくアップするきっかけになった。そして、2020年に新たなベース担当としてソ・ドンソンが加入。再び5人体制となった。
彼らは音楽活動と並行して、それぞれ俳優としても活躍している。出演本数が一番多いのはスンヒョプ。「わかっていても」や「流れ星」「となりのMr.パーフェクト」など人気ドラマに多数出演。昨年は大ヒットドラマ「ソンジェ背負って走れ」で、主役のソンジェの友人でバンドのリーダーでもあるインヒョク役で注目を浴びた。そして次回作「四季の春」(仮)でもバンドメンバー役を務める。
現在兵役中のキム・ジェヒョンは日本のドラマ「君と世界が終わる日に」への出演で、K-POPファン以外の層にもファンを増やした。チャ・フンもドンソンもウェブドラマなどで活躍している。そしてフェスンはミュージカルで活躍。主演作も多数ある。
もちろん“本業”の音楽でも全員が才能を発揮。「Rooftop」以降、スンヒョプがほとんどの楽曲の作詞・作曲、プロデュースをしているが、2021年6月に発売したアルバム「Man on the Moon」では、チャ・フン、ドンソン、フェスンが作った曲も収録されている。スンヒョプは、同じ事務所の後輩のP1HarmonyやAMPERS&ONEなどの楽曲制作にも参加するなど、活動の場を広げている。彼の書く詞は、自身の経験をベースに少し想像を加え、共感度の高い内容のものが多いが、最近は少し変化しつつあるようだ。
フェスンは、どんなタイプの曲も歌いこなす高い歌唱力を持っているが、実は歌を学んだことは1度もないのだそう。練習生時代、事務所が「自分だけの色を探すように」と、敢えて歌を教えなかったとの事で、彼は先輩たちのマネをしたりしながら自分なりの歌い方を見つけた。その実力は、素性を隠して歌唱力だけで勝負する「覆面歌王」で4代連続の“歌王”となった他、数々の歌モノバラエティでタイトルをものにしている。ドラマのOSTも多く、「ソンジェ~」ではN.Flyingとしての他にソロでも1曲参加している。
ファン想いな面が溢れたコンサート
N.Flyingは、その実力の高さと楽曲の良さから「信じて聴くバンド」と呼ばれたりするが、同時に「ステージ職人」とも呼ばれている。一度見たら虜になるほど魅力的なライブを毎回行うからだ。その証拠に、大学祭はもちろん、様々なイベントで引っ張りだこなのだ。そんな中で「同じ舞台を見せたくないし、音楽的な発展を見せたい」と言い、昔からのファンも新たに見に来た人々も満足させたい、と毎回セットリストに頭を悩ませている。
彼らのそんなファン想いな面は、今回初放送となる「2024 N.Flying LIVE“HIDE-OUT”IN JAPAN」でも大いに感じられる。このライブは、9月に除隊したチャ・フンが復帰して3人体制となった初の公演。メンバーは3人で居られるだけで嬉しくて、終始笑顔。ファンも久々のチャ・フンとの対面、完全体に1歩近づいた状態にテンションが上がりまくりで、メンバーの呼びかけに全力で答える。MCでは「楽しくてたまらない」と何度も言うメンバーたち。会場となったZepp Yokohamaの2階席のファンたちも気遣いながらライブは進行していった。
MCは、通訳無しですべて日本語。多少つたないところはあるが、自分の言葉で気持ちを伝えようとしてくれる気持ちが嬉しい。ファンも韓国語でアカペラで歌を歌ってメンバーを驚かせたりして、“相思相愛”をビンビン感じて、見ていて幸せな気持ちになった。
「メンバー全員が集まる事を望みながらコンセプトを決めて準備した」というセットリストは、「Rooftop」の日本語バージョンや「The Real」「GOOD BAM」などの代表曲から日本のオリジナル曲、「ソンジェ~」のOSTの「Star」、そしてフェスンのソロの「I Think I Did」、ファンソングとして作られた「Blue Moon」、未発表曲の「Love You Like That」、この日の為にチャ・フンと一緒に買ったギターを抱えてフェスンが歌う「Run」など、アンコールを含めて25曲。その後、今回の放送には乗らないが、帰りたくないメンバーと帰したくないファンの気持ちが1つになって、予定外に4曲も披露する大サービスとなった。
2025年は“デビュー10周年”!2月には待ちに待った“完全体”に
11月にドンソンが除隊し、あとは2月に除隊するジェヒョンを待つだけ。そして今年、2025年はデビュー10周年のアニバーサリーイヤーでもある。その記念日を前に、2024年は「Blue Moon」と「Firefly」がチャートを逆走。彼らの楽曲は名曲揃いだと改めて証明した。
10周年を前に、チャ・フンは「色々な事があってメンバー同士の絆はさらに固くなり、遠ざかる要素は1つも無いと思う。今まで僕たちが歩んできた10年より今後の10年の方が更に期待できる」とコメント。そしてフェスンは「とても楽しみな瞬間の1つ。もうすぐ訪れる“完全体”は、もう一度翼が羽ばたきそうだと信じてます。その日の為に、また良い音楽をする為に一生懸命走ってます。2025年は、僕たちが見た事の無い新しい段階にさらに進むと思うので、その時を夢見てます」と期待を語った。
スンヒョプは、常に「80歳まで走り続ける」と口癖のように言う。これは、彼だけでなくメンバー全員の総意。チャ・フンは「一生そばに置ける友人のように、僕たちの音楽とステージを横に置いて一緒に歳を取っていけるバンドでいたい」と想いを語っている。
「どこにいてもN.Flyingのファンである事を自慢できるように」と、常に全力を尽くす彼ら。様々な経験をした5人が集まって再び完全体になった時、さらに高く飛ぶのは間違いない。一緒に歳を取りながら彼らと共にまだ見た事の無い世界を見続けていきたい。
◆文=鳥居美保