クワイエットラグジュアリー人気が継続。2025年に新たにセレブを魅了するブランドは？

ファッション業界には、PR活動を控えめにしながらも確固たる顧客基盤を持つブランドがいくつか存在する。ザ・ロウ（THE ROW）、エルメス（HERMÈS）、ブルネロ クチネリ（BRUNELLO CUCINELLI）などがその代表格で、彼らの卓越したクラフツマンシップと品質に対する信頼から、派手な広告やセレブリティ起用に頼ることなく、自然と顧客を引き寄せている。そんな中、2025年に入り、クワイエットラグジュアリーブランドの中で新たな注目を浴び始めたのが、イタリアの高級ファッションブランド、ロロ・ピアーナ（LORO PIANA）だ。33,000ドルにも達する贅沢なウールのセーターやコートで知られるこのブランドが、ついにレッドカーペットでもその存在感を発揮し始めている。

2025年のゴールデングローブ賞やナショナル・ボード・オブ・レビューのレッドカーペットで、Aリストたちがロロ・ピアーナのアイテムを纏う姿が話題となった。これまではレッドカーペットでの露出が控えめだった同ブランドだが、最近、その洗練されたデザインが多くのセレブに愛されるようになっている。

グローブ賞では、ジェレミー・ストロングがカシミヤタートルネックとお揃いのバケットハットを合わせたベルベットスーツで登場。そのルックは、通常、ベーシックなワードローブを発表するブランドとしては異例の、大胆で印象的なスタイルとなり、その夜、最も話題を集めたルックの一つとなった。

ロロ・ピアーナの注目を集める動きは、これだけにはとどまらない。今月も、ドリュー・スターキーのような注目の俳優たちがレッドカーペットで同ブランドを着用している姿が見られた（スターキーは、よりクラシックでタイムレスな黒のダブルブレストスーツを選んだ）。さらに、アカデミー・ミュージアム・ガラでは、セバスチャン・スタンとジョン・M・チューがロロ・ピアーナのスーツを着こなし、グウィネス・パルトロウ、エマ・ストーン、デイジー・リドリーもロロ・ピアーナのテーラリングを愛用するファンとしてその名を連ねている。

では、なぜ突然、セレブリティの推しが始まったのか？レッドカーペットでは、デザイナーの奇抜で目を引くデザインを選ぶことが一般的だが、ロロ・ピアーナはソフトで知的な選択肢として需要が高まっているように思える。一部のAリストが派手な衣装を好む一方、ロロ・ピアーナを選ぶゲストたちは、より洗練されたスタイルを求める人々だと言えるだろう。この動きは、フィービー・ファイロのようなクワイエットラグジュアリーブランドにも共通しており、昨年はケンダル・ジェンナーやクロエ・セヴィニーといったスターたちがそのオーセンティックなルックを着用し、大きな話題となった。

洗練され、控えめなロロ・ピアーナのスタイルが光を放つ瞬間があるとすれば、それはまさに今だと言えるだろう。政治情勢が激しさを増し、経済が低迷を続ける中、ファッション業界は確かに厳しい状況に直面している。そんな中、ロロの繊細な服は、ハリウッドの特徴である洗練さを保ちながら、現代にふさわしい感覚を提供しているのだろう。

流行の移り変わりの速いファッション業界だが、ロロ・ピアーナのスタイルが時代遅れになることはないだろう。それはまさに投資に値するアイテムであり、奮発する価値が十分にあると言えるのだ。2025年は、ロロ・ピアーナから目が離せない。

Text: CHRISTIAN ALLAIRE Adaptation: Saori Yoshida

From: VOGUE.COM

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