鍋料理に欠かせない!白菜の栄養を解説!
鍋料理に欠かせない冬野菜の代表格「白菜」。中国では白菜、大根、豆腐を合わせて“養生三宝(ようじょうさんぽう)”と呼ばれ、体力や免疫力を高める食材として精進料理に用いられています。白菜に秘められた栄養パワーを知って、風邪を引きやすい冬の健康管理に役立てていただけたら嬉しいです。
白菜は、低エネルギーでもビタミンとミネラルが豊富!
白菜は約95%が水分で、たんぱく質や糖質が少ない低エネルギー食材です。外葉1枚あたり(約150g)20kcal(キロカロリー)、中葉1枚あたり(約100g)13kcalなので、ダイエット中の人も安心してたくさん食べられそうですね。
水分が多い=栄養価が低いイメージがあるかも知れませんが、それは誤解です。
白菜には歯や骨の健康に欠かせないビタミンK、風邪予防やアンチエイジングの味方であるビタミンC、体内の水分と塩分のバランスを調整するカリウム、腸内環境を整える食物繊維がバランス良く含まれています。
中でもビタミンKは外葉1枚(約150g)に89μg含まれ、1日の必要量(150μg)の1/2以上を補うことができます。ビタミンCも外葉1枚(約150g)に29mg含まれ、1日の必要量(100mg)の1/3弱に相当します。ビタミンCは水に溶け出す性質があり外葉の色が濃い部分に多いとされているので、ロール白菜やスープに活用を。
中心に近い芯の部分に旨みと甘みがたっぷり
白菜の芯を煮込むとやわらかくなり、甘みを感じるという人も多いのではないでしょうか。実は、白菜にはうまみ成分のグルタミン酸が、特に中心部の芯の部分に多く含まれています。これは中心には生長点があり、必要な糖やアミノ酸を他の部位よりも貯めこんでいるためと考えられています。中心部は甘みが強く、食感もやわらかめなので浅漬けやサラダなど生食にも向いています。また、白菜はアブラナ科の植物でアリルイソチオシアネートがという機能性成分も含まれ、抗菌作用や抗がん作用の研究が進んでいます。この成分は熱に弱いため、生食することで効果的にいただくことができます。
オレンジなどのカラフル白菜には抗酸化成分も!
野菜売り場で一般的な白菜(黄芯白菜)と並んで、葉の色がオレンジ色をした品種を見かけたことはありませんか?
「オレンジ白菜」や「オレンジクイン」と呼ばれ、β(ベータ)-カロテンが黄芯の品種よりも多く含まれ、より高い抗酸化作用が期待できます。オレンジ品種は色だけではなく、歯ざわりが良い特徴も。
ほかにも、紫色をした白菜にはアントシアニンが豊富に含まれています。オレンジやパープルのカラフル白菜を見かけたら食べ比べてみてください。
黒い斑点の正体はポリフェノールの一種
白菜の白い芯の部分に、黒っぽい斑点があらわれることがあります。これは「ゴマ症」と呼ばれ、生理障害によって生じるポリフェノールの一種。
気温が高すぎたり、逆に低すぎたり、肥料が多すぎたりといった栽培環境や貯蔵環境のストレスが原因と考えられています。見た目が気になるかも知れませんが、カビや病気ではなく、食べても害はありません。
白菜を丸ごと保存する際は新聞紙で包み、風通しの良い場所に立てておくと冬場は2週間程度ストックが可能です。カットした白菜はラップなどでぴったりと包み冷蔵庫の野菜室へ。傷みやすいので早めに使い切りましょう。
※参考文献:『日本食品標準成分表(八訂)増補2023年版』、『日本人の食事摂取基準(2020年版)』、奥嶋佐知子監修『食品の栄養とカロリー事典 第3版』女子栄養出版部,2022、杉田浩一ほか監修『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017、池上文雄ほか監修『からだのための食材大全』NHK出版,2019、名取貴光監修『新・野菜の便利帳 健康編』高橋書店,2016、白島早奈英・板木利隆監修『もっとからだにおいしい野菜の便利帳』高橋書店,2009
(野村ゆき)