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室温18℃未満は要注意! 屋内にいても起きる冬の低体温症

  • 2025.1.20
写真:PIXTA

毎年夏が近づくと、熱中症リスクについて注意喚起されることが多いですが、冬は低体温症を発症する恐れがあることをご存じでしょうか。

低体温症とは、深部体温が35℃以下に低下する状態を指し、悪化すると命にかかわることもあります。

冬の災害時には、電気やガスなどライフラインの断絶により、十分に温まることができず、低体温症を発症する恐れがあります。

しかし、災害時だけでなく、普段の生活の中で自宅にいても、低体温症で搬送される人が後を絶ちません。

この記事では、低体温症とはなにか、そして低体温症を防ぐための対策について解説します。

低体温症とはどんな状態?

低体温症は、深部体温が35℃未満に低下した状態を指します。

深部体温とは、皮膚表面の温度とは異なり、脳や心臓など身体の内部の温度のことです。これらの臓器を守るために、健康な状態であれば、通常は37℃程度に保たれています。

私たちの身体は寒さを感じると、自分で熱を生産して温まろうとします。しかし、寒すぎたり、寒い場所に長い時間いたりすると、体温調節機能がうまく働かず、低体温症が生じることがあります。

低体温症の重症度およびそれに伴う症状は以下のとおりです。

防災ニッポン

出典:日本内科学会「災害時の圧挫症候群と環境性体温異常」

深部体温が30℃未満の重症になると、体温の調節ができなくなり、バイタルサイン(生命兆候)が低下します。

すぐに救急車を呼び、衣服や毛布で保温したり、状況によっては心肺蘇生を始めとした救命措置が求められることもあります。

屋内でも低体温症に注意!

低体温症は雪山などの寒い屋外などで起こるものと思われがちですが、実は屋内でも注意が必要です。

とくに、高齢者や持病のある人は体温調整がうまくできず、寒さを感じにくくなるため、気づかないうちに低体温症になってしまう恐れがあります。

以下のような状況では身体の熱が失われやすく、低体温症を生じるリスクが高いと考えられます。

● 冷たい地面に長時間接触する
● 水に濡れたまま放置する
● 冷たい風に当たり続ける

具体的には「飲酒後に玄関で寝込んでしまった」「雨で濡れた服を着替えずそのまま過ごした」「寒さを感じても暖房を使わず過ごした」などの状況では注意が必要です。

寒い環境では、早めに保温に努めることが大切です。低体温症は身近な場面でも起こることを知っておきましょう。

室内温度の目安は18℃以上

WHO(世界保健機関)は、室温を18℃以上に保つことを推奨しています。室温が低いと、血圧が上がったり、睡眠の質が悪くなったりして健康へ悪影響を及ぼす恐れがあるためです。

とくに、寒い地域の家や窓の多い家など、室内の温度が上がりにくいところでは工夫が必要です。

ただし、日本の住宅では室温調整が難しいこともあります。たとえば、家の断熱性能が低かったり、デザイン性を重視して室内の温度管理が難しかったりするケースです。

そもそも日本では「寒い家は危険だ」という認識を持っている人はあまり多くないかもしれません。2019年度の調査によると、日本の家における冬の平均室温は、次のような結果でした。

● 居間:16.8℃
● 脱衣所:13.0℃
● 寝室:12.8℃

出典:冬を快適に過ごすためのヒント|厚生労働省

いずれの場所でも18℃を下回っていることがわかります。まずは、低い室温のリスクを意識することから始める必要があるのかもしれません。

冬の低体温症を防ぐために

冬の低体温症を防ぐために、日常生活で実践できる方法を次の3つのポイントから取り入れてみましょう。

室温の調整

室温は18℃以上を目安に、部屋を暖めましょう。
窓から冷たい空気が入る場合、厚手のカーテンを使用したり、窓枠の隙間にテープを貼ったりすると、室内の温度を保ちやすくなります。床にはカーペットやラグを敷くと底冷えに効果的です。

効果的な暖房の使い方

エアコンや石油ストーブ、電気ヒーターなどの暖房器具は、室内を効率的に暖めてくれます。暖房器具を置く場所は、窓の近くが効果的です。窓の隙間から入ってくる冷たい空気がすぐに暖められ、室温が下がりにくくなるためです。
ただし、ストーブやヒーターなどを置く場合は、火事を防ぐため、カーテンに近づけすぎないように気を付けてください。

衣服の工夫

体温を保つために身に着ける衣服を調整するのもおすすめです。
たとえば、保温性のあるインナーや部屋着を選んだり、靴下やアームウォーマーやネックウォーマーなどを着用して、いわゆる「3首」を温めると良いでしょう。

まとめ

低体温症は、冬の時期に起こりやすい身近な病気です。室温の調整や衣服の工夫などで保温して、寒い冬も元気に乗り越えましょう。

<執筆者プロフィル>
西川しょうた
看護師/保健師/保育士
大学を卒業後、集中治療室や救命救急センター、心臓血管病棟などで看護師として14年間勤務。主に急性期の看護ケアに携わる。災害支援ナースに登録済み。現在は3人の子育てをしながら、医療・看護にまつわる記事の執筆や監修を行っている。

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