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【福智町】「そば屋こだるま」  美しき上野焼で上質蕎麦を堪能

  • 2025.1.28

福岡県内の平地でも初積雪が観測された1月上旬、田川郡福智町にあるオープン直後のお蕎麦屋さんへ行って参りました。「そば屋こだるま」、場所は上野焼で有名な窯元の集まるところ。福智山系の清らかな水が流れる、静かな趣のある一軒の元・古民家を改装して作られています。今年初めてのレポート、地域特派員・ゆかりおにぎりがお伝えいたします。

出典:リビングふくおか・北九州Web
出典:リビングふくおか・北九州Web

看板はフランスのマルチ・アーティスト、Lou Doillon氏のデザイン

出典:リビングふくおか・北九州Web

趣のある入り口

上野焼の歴史と伝統

福智山の麓で開窯した上野焼は「あがのやき」と呼び、国指定の伝統的工芸品です。その歴史は古く、1602年、織田信長に仕えた千利休から教えを受けた大名茶人・豊前小倉藩主、細川忠興と李朝の陶工との出会いから生まれました。そのため、茶陶のルーツが深く、「侘寂」が色濃く反映されていますが、時代の流れとともに多様な技法や釉薬が使われるようになり、自由でダイナミック側面も持ち合わせた陶器として近年、国内外で注目を集めています。

出典:リビングふくおか・北九州Web

使用している器は全て上野焼

店主こだわりのお蕎麦

出典:リビングふくおか・北九州Web

二八ざるそば 1,200円(税込)

おそばが好きならまずはざるそばを、とお勧めいただき「二八そば」を食します。まずはつけつゆ無しで、おそばを。澄んだ香りが鼻を通り抜け、喉越し爽やか。つゆにつけると、さらにグッとそばの深みが強調されます。美味しい。

出典:リビングふくおか・北九州Web

伊勢鳥と九条葱のおそば 1,700円(税込)

もう1杯お願いして、次は温かいおそばを注文させてもらいました。「伊勢鳥と九条葱のおそば」も人気メニューのひとつ。どちらの材料も三重・京都より同じ師匠を持つ仲間より直接仕入れています。あっという間に完食してしまいました。やはり、美味しい(本日2回目)

出典:リビングふくおか・北九州Web

伊勢鳥の持つ柔らかさとコクがしっかり感じられます 九条葱も良い香り

その他のメニューは、冷たいおそば全5種、温かいおそば全7種(2025年1月現在)。とろろや、鴨を使ったおそばも人気だそうです。

上野焼とフランスを繋ぐ、蕎麦の物語

出典:リビングふくおか・北九州Web

店主・山岡 良さん

山岡さんは福岡県出身の現在38歳、つい最近まで10年間ほどフランスパリの日本食レストランで蕎麦職人として働いていた異色の経歴の持ち主です。

蕎麦との出会いは17歳。流れていたTV番組で「蕎麦の神様」と呼ばれる伝説の蕎麦職人・髙橋邦弘氏を知りその後、近くの百貨店に髙橋氏が来福し蕎麦を振舞っているところへ出向き、直接弟子入りを志願します。しばらくして、当時師匠が広島の山奥で営んでいた「達磨」の門をくぐり、7年間修行を続けました。厳しいなかにもたくさんの楽しみがあり、師匠は様々な「一流店」と呼ばれる料理店に連れて行ってくださり、以降の料理人人生において最も大切な「味覚の形成」の基礎を作ってもらったといいます。

出典:リビングふくおか・北九州Web

書にも素敵なストーリーがあります

24歳の時に師匠と訪れたフランス・パリのレストランに感銘を受け、勤務を志願するものの空きがなく一度は諦め、その後「楽しすぎる」という理由から一度蕎麦の世界を離れ、広島から福岡へ戻り全く違うwebデザイナーとしての仕事に従事します。

そんなある日、地元福岡のお蕎麦屋さんで偶然「上野焼」と出会い、ホームぺージの作成などを通し福智町のそば会に携わる機会があり、福智町の上野焼の窯元を訪れ、職人さん達との交流がありました。

出典:リビングふくおか・北九州Web

敷地内に広がる立派な庭園

フランス・パリへ そして福智町へと

そんな折、かつて勤務を希望していたパリの日本料理店に欠員が出たと聞かされ、自ら師匠へ連絡。再び料理の道を選びます。2年ほどの広島の勤務を経て、28歳の時にフランス・パリの高級和食レストランへ旅立ちます。約10年に渡る、フランス料理人生活の始まりです。

バリ 6区 サンジェルマン・デ・プレ。そこでは、蕎麦職人としてだけではなく様々な日本料理を学びます。京都の有名料亭で修行を重ねた方々と共に切磋琢磨し、有名ブランドとのコラボレーション料理を作ったり、大使館で蕎麦を振舞うこともあったそうです。ファッションにも造詣の深い山岡さんにとって、世界的有名デザイナー達が街をフラッと歩いていたり、ご来店されたりもあり、それはそれは特別な時間を過ごせたと振り返ります。

出典:リビングふくおか・北九州Web

福智山の美しい雪化粧

パリの和食レストランで使用していたのも「上野焼」でした。その焼き物に興味を持つ方からある日問い合わせがあり、福智町の職人さんとパリを繋ぐことに。webデザイナーとしての経験が上野焼を通して繋がることとなりました。「そろそろ、自分の蕎麦を打ちたい、自分の腕を試してみたい」と考えていた山岡さんは、縁を感じるとともに、日本へ戻り福智町でお店を持つという夢に向けて動き始めます。

福智町と周囲の人々の支えがあってこそ

暮らしていたわけではない場所で、蕎麦のこと以外何も知らない状態からのスタートでしたが、「周りの方々が全力で協力してくださった」と山岡さんは何度も言います。町役場の皆様、内装業者さん、そしてこの古民家を受け渡してくださった前オーナー様。蕎麦を愛した師匠と仲間たちと家族。大切な街を、大切にしてきた場所・モノを守り続け、「ここに呼んで良かった」と思ってもらえるその日まで、恩返しを続けていきたいと仰っていました。

春にはしだれ桜が咲き、初夏には青もみじが生い茂り、秋は絶景の紅葉、そして今日のような雪景色も美しく、1年中移ろう季節眺めながら、絶品蕎麦を楽しめる「そば屋 こだるま」是非、一度足を運んでみてください。

出典:リビングふくおか・北九州Web

そば屋こだるま

田川郡福智町上野1700番地4

公式Instagram

営業日:火曜~日曜

定休日:月曜(祝日は営業)

営業時間:11時~14時又は売り切れ

※最新情報はInstagramよりご確認ください

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