Text by 奥崎覚(編集部)
各クラブが2025シーズンに向けて始動したJリーグ。
チーム強化や昇降格などに伴うクラブ環境の変化などを受け、この冬もさまざまな選手が移籍を決断した。
その中でも、特に衝撃的だった5つの移籍を紹介する。
小池龍太
横浜F・マリノス→鹿島アントラーズ
横浜F・マリノスが3年ぶりのJ1優勝を達成した2022シーズン、個人としてもJリーグベストイレブンに初選出された日本代表DF小池龍太。
しかし、翌2023年から右膝蓋骨の骨折や脱臼など怪我に苦しめられ、2023シーズンは公式戦1試合、2024シーズンも同11試合の出場にとどまった。
29歳になって迎える2025シーズンは復活を期す一年になると誰もが考えていたが、契約満了を迎えた今オフ、鹿島アントラーズへの完全移籍を決断。
その理由について小池は「僕とF・マリノスの成功や成長のためにはベストな選択だと思います。何かを得るためには何かを捨てなければいけないですし、日々変わり続けるサッカー、変わっていくアタッキングフットボールでも同じです」と語っている。
松本泰志
サンフレッチェ広島→浦和レッズ
昨季J1で堂々の優勝争いを演じたサンフレッチェ広島。松本泰志はその主力として、質と量を併せ持ったプレーでチームをけん引した。
2022年からのミヒャエル・スキッベ体制で本格的に台頭したMFは昨季、ボランチやシャドーのポジションで36試合3ゴールを記録。自身初のJリーグ優秀選手賞も受賞している。
そんな彼の移籍は、今冬一番と言えるほどの驚きであった。「この決断をするのはすごく悩み、本当に時間がかかりました」と松本。
その中で、「地元のクラブでプレーするという昔からの夢を叶えるために、この決断をしました」と、埼玉県出身の26歳は浦和レッズ移籍を決めた理由について綴っている。
平川怜
ジュビロ磐田→東京ヴェルディ
FC東京のアカデミー時代、1学年下の久保建英とともに将来を嘱望されていた天才MF平川怜。
プロ入り後は苦労したものの、2022年8月に完全移籍したロアッソ熊本でブレイク。その活躍ぶりに多くのFC東京サポーターも喜びの声を上げていたがしかし、ジュビロ磐田を経て、今季から“緑の東京”の一員に。
「今シーズンのヴェルディのJ1での戦いには心を打たれ、オファーをいただきクラブの一員になれてとても嬉しいです。このクラブでさらに成長したい気持ちが強いです。東京ダービーは絶対に負けたくないです」
古巣とのダービーマッチに早くも燃える24歳は、東京ヴェルディからFC東京へ移籍した河野広貴や中島翔哉以上の波風を立たせるかもしれない。
山口蛍
ヴィッセル神戸→V・ファーレン長崎
昨季J2で3位に入りながら、J1昇格プレーオフ初戦でベガルタ仙台にまさかの完敗を喫したV・ファーレン長崎。待望の新スタジアムが舞台だっただけにその落胆は大きかっただろう。
だからこそなのか、精力的な補強を行う長崎がこのオフの目玉として獲得したのは、キャプテンとしてヴィッセル神戸をJ1連覇&天皇杯との2冠に導いたばかりの元日本代表MFだった。
「素晴らしいスタジアムでクラブのビジョンと絶対にJ1に上がる、その熱意に心動かされました!」と自身のInstagramで移籍の理由を語った山口。
「シーズンは長く、良い時も悪い時もあると思います。そんな時こそ一つにまとまることが大事です!そして最後にみんなで笑って終えるシーズンにしましょう!」という34歳の言葉には、重みが詰まっている。
後藤雅明
モンテディオ山形→V・ファーレン長崎
最後は、J2クラブ間だが、このオフ指折りの衝撃移籍であることは間違いない後藤雅明。
今冬はシュミット・ダニエル(ヘント→名古屋グランパス)や小島亨介(アルビレックス新潟→柏レイソル)など日本代表クラスを含むGKの移動が目立った。
その中で、J2屈指の実力者であるモンテディオ山形の守護神はステップアップが確実視される一人だったが、彼が移籍先に選んだのはなんと同じJ2のV・ファーレン長崎。
「V・ファーレン長崎のJ1昇格、優勝のためにゴールを守ります」と覚悟を語った31歳は、今季J2最強と言える戦力を整えたチームとともにJ1の舞台を目指す。