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「遺体を撮るのは正直気持ち悪い」「命を狙われることも」殺人事件専門のパパラッチ、恨みを買う危険な仕事を続ける理由

  • 2025.1.14
ABEMA TIMES

アメリカとの国境に面するメキシコ・ティファナで、殺人事件や死亡事故を専門に活動するカメラマンのヘススさん(34歳)。麻薬カルテルから命を狙われたり、遺族に危害を加えられたりと、危険の多いこの仕事を彼はなぜ続けているのか。「気持ち悪い」という本音に蓋をし、遺体を撮り続ける原動力とは……。

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1月11日、東野幸治とあのちゃんがMCを務める番組『国境デスロード』#6が、ABEMAにて放送された。『国境デスロード』は、世界各国にある国境を命がけで越える人々の生活に密着する、ドキュメントバラエティ。本番組の企画・総合演出を手がけるのは、『不夜城はなぜ回る』(TBS系)で知られる、大前プジョルジョ健太ディレクター(以下、プジョルジョD)。プジョルジョDが各国の国境地帯に赴き、なぜ人々は危険を冒しながらも国境を越えなければいけないのか、その真実に体当たりで迫る番組だ。

番組前半で密着したのは、カメラマンのヘススさん(34歳)。活動拠点のメキシコ・ティファナでは、1日平均8件、最大で15件もの殺人事件が起こると、ヘススさんは話す。そして時には、ヘススさんのようなジャーナリストが標的にされることも。メキシコで発生する事件は、麻薬を製造・販売する組織である麻薬カルテルが関与していることが多く、口封じとしてジャーナリストが狙われるのだという。2000年以降に殺害されたメキシコ人ジャーナリストは、150人以上にも上る。

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プジョルジョDがヘススさんと出会った日の夜にも、麻薬カルテルが関与した射殺事件が発生。およそ40分前に射殺された麻薬売人の遺体に向けて、ヘススさんは平然とシャッターを切り続けた。その様子を近くで見ていたプジョルジョDは「撮りたくないですね」「仕事と割り切らないとできないですね」などと漏らし、戸惑いを隠せない様子。その後、プジョルジョDが「撮っている時はどんな感情なんですか?」と尋ねると、ヘススさんは「遺体を撮るのは良いものではない。正直なところ気持ち悪いよ」と本音を吐露。なかには遺体から離れて撮影するカメラマンもいるそうだが、ヘススさんは「6年やって慣れてきた」という。

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仕事に慣れた現在でも、ヘススさんは身の安全を守るため、万全の注意を払っている。麻薬カルテルが現場にやってきて爆撃したり、被害者の遺族から危害を加えられたりする危険性があるためだ。「近づいてくる車には注意している。誰が乗っているかわからないから」と、ヘススさんは話していた。

危険なうえに恨みを買うことも多いこの仕事を、なぜ続けているのか。その問いにヘススさんは「テレビは興味深いニュースしか扱わないんだ。すぐそこにテレビ局があるけど、誰も現場に来ていない。俺しかいないんだ」と返答。さらに「政府発表では殺人件数は減っているけど、絶対に増えている。多くの人は真実を知りたがっている。だから現場に必ず行って配信している」と語った。人々に真実を伝えるため、ヘススさんはスチールカメラでの撮影に加え、現場からライブ配信も行っているのだった。

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「俺しかいない」という使命感に駆られ、ヘススさんが現場へ向かう背景には、大切な「師匠」の存在も。「全部彼から教わった。行ってはいけない地域や犯罪者の特徴とかね。師匠は20年間この仕事をしていて、Netflixにも協力していた」。彼が師匠と呼んで慕うマルゲリータさんは、2年前、現場に戻ってきた麻薬カルテルによって頭を撃たれ、52歳の若さでこの世を去った。ヘススさんは「現場の状況はどう?って電話したんだ。その通話中に射殺されたよ。電話の途中で声が聞こえなくなったんだ」と当時の状況を回想。亡くなった後は1週間、泣き続けたという。

いつも共に行動していた師匠との、辛い別れを経験したヘススさん。泣き崩れる遺族の姿に心がひどく痛み、カメラの手元が狂ったり、ライブ配信中、言葉に詰まってしまったりすることもあるという。それでもこの仕事を続けるのは、亡くなったマルゲリータさんの「遺志を継ぎたい」という強い気持ちがあるためだ。「誰かがこの仕事をしないといけないんだ。亡くなった師匠の分も仕事をするよ」と、仕事にかける思いを口にしていた。

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