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【家事との付き合い方】瀬尾幸子さんに教わる50代からは"がんばらない"少ない手間で体にいい、おいしい料理のコツ

  • 2025.1.14

家族の形の変化に加え、体力が落ちたりすることで、家事が面倒に思えることも。
上手に家事をスリム化して、今の自分にフィットさせた方の暮らしを紹介します。

今回お話を伺ったのは・・・
料理研究家
瀬尾幸子さん
おいしくて簡単、飽きずに食べ続けられる楽しい料理作りを発信。『みそ汁はおかずです』(Gakken)、『ラクうまごはんのコツ』(新星出版社)で料理レシピ本大賞・大賞を受賞。

余計な手間をかけずに素材の持ち味を引き出す〝がんばらない〟料理を

「50代からは、がんばらなくていい。食材を簡単においしく食べるコツはがんばらないこと」という瀬尾幸子さん。

自身も「仕事の料理はがんばってきたが、自分が食べる料理は、極力シンプルに作っていた」と振り返ります。

「みなさん、手をかけないとおいしくならないと思い込んでいますが、これが間違いなんです」。むしろ手間を無駄にかけ、おいしさを損なっていることも多いと瀬尾さんは話します。

「料理は基礎が大切なんです。基礎が身についていないのに、手間をかけると、素材の味も栄養も失われてしまいます。
巷にあふれているレシピをそのまま鵜呑みにして作っていると、思い込みや無駄な知識がバグのように蓄積されてしまいます。まずは、そのバグを手放し、料理を基礎から見直していきましょう」

料理の基礎を身につけるには、「最小限の食材と調味料を用い、ゆでる、焼く、炒める、煮るなどシンプルな調理法で素材の味を知ること」と瀬尾さん。

さらに、基礎が身につけば、レシピを読み解いて納得できるようになり、暗記しなくても作れるようになる、とのこと。

「レシピの手順には理由があり、手順が5つある料理のうち、2つの手順を省けば、その手順のぶんだけおいしくなくなるのは当たり前のこと。ならば、もともと手順が3つでできるものを選んで作ればいいんです。素材も、調味料も、手間も重ねすぎると重たくなっていくものなんです」

つまり、瀬尾さんが推奨しているのは、手抜きではなく、素材の味を生かした、手順の少ないシンプルな料理。

「お祭り騒ぎのように手の込んだごちそうは、外でいくらでも食べられます。50代からは、自分の体調に合わせて食べたいものをラクに作れるかが大事。
だからこそ今、あらためて料理の基礎を身につけておきましょう。そうすれば、この先、さらに年齢を重ねても、少ない手間で体にいい、おいしい料理を、がんばることなく作れるようになりますよ」

調味料は基本的なものでいい。素材のおいしさを感じることが大事

「調味料に頼らず、まずは素材の味を知ること。素材の味を知れば、調味料はごく一般的なものを少量加える程度で、十分おいしい料理が作れます。
薄ければ後で足せるように少しずつ加え、あれこれ組み合わせすぎないよう心掛けましょう。今回のレシピで使用したのも、写真の塩、しょうゆ、ごま油やオリーブオイル。シンプルな味付けほど、飽きず疲れず、食べ続けられます」

作る量は鍋の7分目が目安。家族の人数が減ったら鍋も小さいものに

「鍋に関しては、“大”は“小”を兼ねません。大きすぎる鍋で煮物や汁物を作ろうとすると、煮汁の蒸発が早くなり、具材に均一に火が通らず、味もうまく染みわたりません。」

「鍋の7分目がベストなバランスなので、材料が鍋の半分より下になったら取り替えて。常に、作る分量に合った鍋を選び、家族が減ったら小さなサイズに買い替えましょう」

「まとめ下ごしらえ」の活用で食べ飽きない毎日ごはん

旬の葉物とお肉をまとめて下ごしらえし、ストックしておけば、その後の調理が超簡単!
冬は白菜と豚バラ肉を常備し、その日に食べたい料理にアレンジを。

調理工程を省けるうえ食材が長持ちする

「イチから料理するのは面倒でも、まとめて下ごしらえをしておけば、料理手順の4、5の段階から始められます。傷みやすい豚肉や白菜も、冷蔵で5日は持つので、傷む前に食べなくては! という、プレッシャーからも解放されますよ」

材料が増えるほどにコツも手間も増えるので、普段の食事は豚肉と白菜など、肉と野菜のふたつで十分、と瀬尾さん。
下ごしらえをしておけば、手早く食べたい料理がその都度作れ、作り置きのように飽きることもないと言います。

「豚肉は浸るほどの湯でゆで、ゆで汁ごと冷蔵保存。空気を遮断して乾燥や菌の繁殖を防ぎ、豚肉を柔らかく保てます。豚の旨味が浸み出ているのでゆで汁でみそ汁を作れば豚汁に。
また白菜は、塩をまぶす際、揉むと細胞がつぶれて菌が繁殖しやすくなるので、極力触らないこと。取り出しやすいように保存容器に入れ、白菜から出た汁気も捨てずに使いましょう。塩気があるので、味を見てから調味してください」

瀬尾さんにご指南いただいた手順で下ごしらえをしておけば、素材の味が引き出され、豚肉と白菜の本来のおいしさに驚くことでしょう。

手間をかけずともシンプルでおいしい料理が作れ、ストックの豚肉と白菜をキレイに食べきれるはずです。

白菜と豚肉の「まとめ下ごしらえ」

塩ふり白菜

アレンジしやすい2cm幅カットで冷蔵ストック。
下ごしらえ済みなら調理がしやすく、1/4束もあっという間に食べきります。

保存期間:冷蔵で5日

材料[ 作りやすい分量 ]
白菜 … 1/4株(650g)
塩 … 小さじ2

作り方

1. 白菜は芯をとり、繊維を切る方向に2cm幅に切る。

2. 塩をまぶして、揉まずに混ぜ、保存容器に入れる。

2時間くらいおくとややしんなりしてきます。

ゆで薄切り豚

ゆで豚はバラや肩ロースなど脂身があるほうが柔らかく、アレンジもしやすい。
旨味たっぷりなゆで汁ごと料理に使って。

保存期間:冷蔵で5日

材料[ 作りやすい分量 ]
豚バラ薄切り肉 … 300g
水 … 2カップ

作り方

1. 鍋に水を入れてしっかり沸騰させる。

2. 肉を入れて菜箸でほぐす。肉に半分くらい火が通ったら、火を止める。余熱で全体に火が通るまでおく。

3. 保存容器に肉を取り出し、あら熱が取れたゆで汁を注ぐ。冷めたら、冷蔵保存する。

肉のアクが気になるなら、もう一度ゆで汁だけ煮立てアクを掬い取って

撮影/砂原 文 文/坂口みずき

大人のおしゃれ手帖2025年1月号より抜粋
※画像・文章の無断転載はご遠慮ください

この記事を書いた人

大人のおしゃれ手帖編集部

大人のおしゃれ手帖編集部

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