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2025年夏は「クールケーション」へ。今から計画したい、避暑地への旅

  • 2025.1.11

世界各地で人気上昇中の「クールケーション」

スイスきっての山岳リゾート地、グシュタード。8月でも涼しい朝が続き、最高気温は20度半ばと過ごしやすい。
landscape near Gstaad, summer view to Saanen Church and villageスイスきっての山岳リゾート地、グシュタード。8月でも涼しい朝が続き、最高気温は20度半ばと過ごしやすい。

2024年8月の終わり、私はスイスのグシュタードでハイキングをしながら、澄んだ山の空気にかすかに響くカウベルの音を聞いていた。この時期はいつも地中海のビーチで休暇を取るのが定番だったのだが、2024年の記録的な猛暑が私をこの地へと導いたのだ。

7月にはNASAの観測史上「世界で最も暑い日」が記録され、南ヨーロッパだけでなく、そのほかの地域でもうだるような暑さが続いた。その結果、息苦しい気候から解放されたい人々がより涼しい場所へ旅行するという新たなトラベルトレンド、「クールケーション」が台頭した。「冬の嵐や夏のハリケーンなど、天候は常に旅行先選びを左右する要因でしたが、2024年夏はヨーロッパ全土を襲った猛暑に続き、ギリシャやマウイ島での山火事も、多大な影響を与えました」と、富裕層向け旅行代理店Virtuosoの国際広報部長、ミスティ・ベルは言う。

イタリアとギリシャは長年人気のデスティネーションだが、南ヨーロッパでのバケーションの時期をずらす、もしくは断念する旅行者が増えている。Virtuosoでは、2024年6月から8月にカナダ、フィンランド、アイスランドなど涼しい国への旅行者が44%と大幅に増加したのに対し、温暖地域への旅行者は0.5%減少と、わずかな変化にとどまったという。

南アイスランドにあるフィャドラルグルジュフル渓谷。
Fjadrargljufur canyon with river and big rocks.南アイスランドにあるフィャドラルグルジュフル渓谷。

スイスアルプスの南東部にあるグシュタードでは、スキーシーズンになると人口が8,000人から20,000人に膨れ上がるが、ここ3年ほどは夏も同様の人気を誇っている。実際に訪れてみて、その理由はすぐにわかった。8月でも涼しい朝が続き、最高気温は20度半ばと、1日を通して心地よく、ハイキングに最適だ。高地からは、アルプスの酪農場や澄んだ湖、木造のシャレーが点在する緑豊かな景色を見渡すことができる。

夏の終わりはベルナーオーバーラント地方の文化に触れるのもいいだろう。毎年8月は伝統行事である「Gstaad Züglete」が開催され、職人が作った鐘や花で飾りつけられた牛を農民たちが山から5つの谷に引き連れる。また、2つの山頂を結ぶ世界初の吊り橋があるグレッシャー3000など複数の氷河があるため、足を運ぶだけでクールダウンすることができるだろう。

旅行者に求められる「環境への配慮」

The Alpina Gstaadの外観。観光業における国際的な環境管理認証機関、アースチェックのゴールドレベルを取得している。
The Alpina Gstaadの外観。観光業における国際的な環境管理認証機関、アースチェックのゴールドレベルを取得している。

しかし、氷河が驚異のスピードで縮小している今、旅行者には鉄道での移動や環境に優しいホテルでの宿泊など、責任ある選択が求められていることは言うまでもない。

グシュタードを見下ろす丘の上に佇むThe Alpina Gstaadは、サステナブルなアイデアが芸術的に取り入れられた隠れ家ホテル。トラベル業界における国際的な環境管理認証機関、アースチェックのゴールドレベルをスイスで初めて取得したことでも知られ、再生木材や地元の石材を使用したスタイリッシュなインテリア空間には贅沢なSix Senses Spaも。プラスチックフリーのアメニティも用意されており、特に肌触りのよいフェルト製スリッパは持ち帰ることをおすすめしたい。

カナダ・ブリティッシュコロンビア州のバンクーバー島では、カーボンニュートラルなホエールウォッチングに参加することもできる。
Three orcas or killer whales in a rowカナダ・ブリティッシュコロンビア州のバンクーバー島では、カーボンニュートラルなホエールウォッチングに参加することもできる。

クールケーションだからといってビーチを避ける必要はなく、海に近いスカンジナビアのリゾート地も注目だ。たとえば、400キロメートル近い海岸線を誇るスウェーデン南部のスコーネは晴天の日が多く、海水浴もできるため、訪問客が増えているという。ほかにはデンマークのリビエラことティスヴィルデでも、海辺のホテルやレストランが活気を取り戻しつつある。

また、カナダ・ブリティッシュコロンビア州のバンクーバー島は、夏の平均気温が約20度と過ごしやすいため、太平洋や山々の美しさに触れながらクールケーションを楽しめる。ビクトリアではPrince of Whalesが実施するカーボンニュートラルなホエールウォッチングに参加でき、トフィーノ近郊ではClayoquot Wilderness Lodgeでグランピング体験ができる。ここには25のスイート・テント、レストラン、スパがあり、そのすべての電力が太陽エネルギーでまかなわれているそうだ。

世界各地で記録的な猛暑が報じられる今、2025年以降はクールケーションの人気がさらに高まるだろう。より多くの旅行者が気候危機を肌で感じることで、貴重な避暑地を保護する機会につながるといい。

Text: Julia Eskins Translation: Rikako Takahashi

From VOGUE.COM

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