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“キャラ弁文化”はどうやって生まれた?来日9年目の著者が日本文化のおもしろさを描くコミックエッセイ

  • 2025.1.10

累計28万部を記録した「北欧女子オーサ」シリーズで広く知られる、日本への愛が溢れるスウェーデン人漫画家・オーサ・イェークストロムさん。ゆるっとした可愛らしいタッチが印象的で、その独特な感性や、異文化を楽しみながらもリスペクトする姿勢に魅了されるファンも多い。

そんな彼女による『北欧女子オーサ日本を学ぶ』(オーサ・イェークストロム/KADOKAWA)は、日本での暮らしや習慣に関する新たな気づきや驚きが詰まったコミックエッセイだ。来日して9年目を迎えた著者が、日本文化の講師や専門家に正しい作法や成り立ちを学ぶ。

私たち日本人にとって、日々の生活に溶け込んでいる習慣や行事は“当たり前”のもの。あらためてその背景や意味を考える機会は少ないだろう。スウェーデン人の著者の視点を通して見ることで、その深さやユニークさに初めて気づくことができるのだ。

たとえば、キャラクターや動物の形に食材をデコレーションして作られるお弁当「キャラ弁」は、実は日本独自のユニークな料理文化として有名だ。物をキャラクター化する豊かな発想力や遊び心は、日本人に特有のものであると著者は主張する。歴史的観点から見ると、見た目の楽しさを追求するキャラ弁の文化は、伝統ある日本料理の技術「飾り切り」に由来するという説もあるそうだ。

四季に合わせた行事や食文化、仏教や神道の影響を受けた習慣といった日本文化の多くは、長い歴史や自然との共生から生まれたもの。本書を通して、自国の文化をあらためて探求してみるのも面白いかもしれない。自分自身のアイデンティティを見直す、良い機会となるだろう。

本書ではほかにも、「ご苦労様」と「お疲れ様」の使い分けやお宅訪問の作法、手土産のマナーなど、日本文化のさまざまな側面が掘り下げられている。

日本をこよなく愛する著者の作品は、異文化間の橋渡し役として、今後も多くの人に愛され続けることだろう。日本人読者にも、当たり前に思っていたことへの新鮮な気づきを与えてくれる貴重な一作だ。

文=ネゴト / 糸野旬

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