パーソナルトレーナーである私は、ファッションへの興味から、14歳で運動を始めた。スリムで引き締まったモデルたちを雑誌でよく見ていたので、10代の頃の私の「食べ物と運動との関係」はとにかくひどいものだった。50代になった今でも、そのときのことは鮮明に覚えている。大人になり、その関係を修復できたことは、心の底からよかったと思っている。
当時の私にとって、運動は「罰」だった。嫌で仕方なかった。毎週7日間、ステアステッパーを使って30分から1時間の有酸素運動をしていた。同じ頃、食事も過食と制限を繰り返す悪循環に陥り、ジャンクフードと思うものは一切食べないと決めていたけれど、結局はアイスクリームをドカ食いしたり、ファストフードに手を出してしまっていた。食べ終わった後はひどい罪悪感に襲われ、体重は約4.5〜6.8kgのアップダウンを繰り返していた。でも、なぜそうなるのかが全然わかっていなかった。
このサイクルから抜け出せたのは、21歳のとき。ボーイフレンド(現在の夫で栄養士のアラン・アラゴン)から筋力トレーニングを紹介されたのがきっかけだった。筋トレに夢中だった彼と一緒に、私も定期的にトレーニングをするようになると、徐々に自分に自信が湧き、強さを感じられるようになっていった。体型も変わり、雑誌で見ていたモデルたちのように筋肉がついたけれど、彼女たちのような体型を目指すことが、もはや私のモチベーションではなくなっていた。筋トレは、有酸素運動を汗だくで必死にこなしていたときとはまったく違って、終わった後に感じるのは自分の力強さだった。今回はこの内容をアメリカ版ウィメンズヘルスからご紹介。
体重を減らすために運動をしていない自分に気づいた。運動する理由が変わった
運動中、私はただアランと一緒に時間を過ごし、彼とパッションを共有できることがとても嬉しかった。それに、筋肉がついていくのが楽しかった。彼の食事法にも影響を受け、制限のない柔軟な食事スタイルを取り入れるようになった。栄養を考えた食事をしながらも、食べたいときにはアイスクリームを楽しむアランを見て、目から鱗だった。
当時、アランはパーソナルトレーナーの資格を取るために勉強をしていた。その内容が、自分の小売業の仕事よりもずっと面白く感じ、私も資格を取得することに決めた。そして、その仕事を辞めて、25歳でパーソナルトレーナーとして働き始めた。その後、専業主婦になった。
ジムで働き始めてから専業主婦になるまでの間、何らかの形で長時間働いていたため、筋トレの時間は週に1〜2回しか取れていなかった。
当時の私のルーティンには一貫性がなく、運動をしているときもなんとなくこなしているだけだった。忙しい日々の中で、体重もほぼ変わらなかった。家族のために健康的な食事を作っていたので、栄養のある食事はとれていたけれど、筋肉は減り、体に対する自信も失っていた。「いつかまた強い体に戻る」と心の中で何度も繰り返していた。
2019年、ようやく一貫したスケジュールで運動ができるようになった。その頃は、人生の中でも特にストレスが溜まっていた時期で、頭をクリアにする方法を探していた。そして、昔からストレス解消に役立っていた筋トレに戻ることを決意。ジムに行く前はストレスでいっぱいでも、トレーニングを終えた後には気分が何倍も良くなっていた。
2020年、47歳で更年期前期に入り、ホルモンの変動による体重増加が気になり、食事の取り方を変えた。
アランは、更年期前期に入って体重が増えると、女性は腹部に脂肪が付きやすくなることを教えてくれた。でも、体重増加は避けられないわけではない。重要なのは体重と筋肉を維持することだと言われた。そこで、私は食事内容を少し見直し、これまで通りトレーニングを続けることに決めた。
食事制限はしていないが、タンパク質の摂取量は増やした。食べたものを記録してはいないけれど、どの食べ物にどれくらいのタンパク質が含まれているかは把握しているので、1日に120gのタンパク質を摂ることを目標にした。カルシウムが豊富な食べ物や野菜も優先して食べている。更年期前期と更年期の目標は、体重と体組成を維持することだったが、今のところその目標は順調に達成できている。
現在は週に4回の筋力トレーニングを行い、上半身と下半身の日を交互に組み合わせている。各セッションは約1時間で、各部位に対して2種目を行っている。
下半身の日は、大腿四頭筋、ハムストリング、臀筋を鍛え、腹筋運動もいくつか追加する。具体的には、ヒップスラスト、レッグプレス、ハムストリングカール、レッグエクステンションなど。上半身の日は、胸、背中、肩、三頭筋、二頭筋をターゲットにしたエクササイズを行う。取り入れているのは、インクラインプレス、プルダウン、チェストプレス、ローイング、バイセップカール&エクステンション、リアデルトケーブルプル。
普段は、12〜15回を1セットとし、各エクササイズを4セット行う。最初の1セット目はウォームアップとして、普段持ち上げる重量の半分を使い、残りの3セットは通常の重量でトレーニングする。最近では、週に5日目のワークアウトを追加したばかりで、ステアクライマーで30分間の有酸素運動を始めた。若い頃に比べると、体や有酸素運動との付き合い方に満足しているし、エネルギーにも余裕があると実感。
休息日には特に計画的な運動はしないが、パーソナルトレーニングのセッション中は常に立ちっぱなしなので、家でもかなりアクティブに過ごしている。
筋力が劇的に変わった最大の要因は、ワークアウトと食事を無理なく続けられる、柔軟で一貫性のあるルーティンに変えたこと
昔は自分を追い込み、必死に有酸素運動をしていた。そのせいで運動が嫌いになり、体も疲弊し、極端な食事制限にも苦しんでいた。どちらも続けるのが難しかった。でも、筋力トレーニングという自分が本当に楽しめる運動を見つけてからは、安定して続けられるようになった。休養日も取り入れたことで、一貫した習慣を作り上げることができた。
食事については柔軟になることを学び、体が必要とする栄養を理解することで、ワークアウトも日常生活もエネルギッシュに過ごせるようになった。食べたいときにはフライドポテトだって楽しむ! 自分に合った、無理なく続けられるルーティンを柔軟かつ一貫して続けていれば、年齢やライフステージに関係なく、いつまでも健康で最高な自分で在り続けることができるから。
※この記事はアメリカ版ウィメンズヘルスの翻訳をもとに、日本版ウィメンズヘルスが編集して掲載しています。
Text: Jeana Aragon as told to Addison Aloian Translation: Yukie Kawabata