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「合格です」一つのことに本気で取り組めば世界は変わると知った

  • 2025.1.10

愛は関心だ。

「あ、もう持ち歩かなくていいんだ」

普段使いする鞄を持った瞬間に感じるこれまでとは違う重さ。

「休みの日って何をしてたんだっけ」

日常から消えたルーティーンを埋める手段を見つけることができていない私は、なんとなく行き慣れたスタバへと足を運ぶ。

その瞬間は湧かなかった実感が日常の変化を通してじわじわと滲み出る。

昨年4月からつい先日まで、約1年8ヶ月という長い期間を経て国家資格を取得した。
長く連れ添った相手にも知らないことはある。
私が愛のような関心を注いだそれにも、まだきっと知らないことはたくさんある。
ただ一つ言えることがある。
一つのことに本気で取り組むこと、それは自分の世界を変えるものになるということだ。

◎ ◎

大学受験、それは私にとっては通過儀礼であり、お世辞にも頑張ったとは言い難い。
最も頑張ったと言えるのは就職活動と公言していた。この受験生活が始まるまでは。

今思えば、なんと可愛い努力だったのだろうと可愛い思い出として蘇る程度だ。
私が受験勉強を始めるきっかけは仕事の幅を広げたいから、ただそれだけだった。
すでに資格をお持ちの先輩方からは受験期間は苦しいよ、と脅しをかけられたが、元々関心のあった分野だったこと、一緒に受験する同期がいることもあって、そんなに苦しいものでもないだろうとたかを括っていた。

◎ ◎

その読みは半分当たり半分外れる結果となった。
知識を取得するという面では、受験初期も今でも楽しいと感じている。
知識欲を満たすことが自身の満足へと繋がる自分という人間の特性のおかげだろう。

問題はマインド形成だった。
私が取得する資格は人の命を預かることに直結するものだ。
本当に緊急事態が起きたらどう対処するのか。その判断で人の命を守ることができるのか。
材料の質を高めても、コックの腕が伴っていなければ意味がない。
心が折れるほどには教官にズタズタに言われることもあった。
それでもやるしかない、折れてることもが勿体無い。私には進むしかなかった。
いつの間にか日常にあった執筆活動も休止し、仕事の日も休日も、事象に対して最良の判断ができるためのマインド形成に勤しんだ。

◎ ◎

「合格です」

審査官がそう呟く瞬間の顔を今でも鮮明に思い出せる。
嬉しいような、安堵のような、混ざり合った感情が溢れないよう目に力を入れる。
バタバタと準備をして帰路へと着く中、気持ちを少しずつ濾過して残ったもの。
もっと頑張ろう、ただそれだけだった。

受験期間という面では終わりを迎えたが、本番はここからなのだ。
これから資格を胸に私はまた歩き出す。
しっかり地に足をつけて私は家へと足を動かした。

◎ ◎

愛は関心だ。
人でも物事でも愛を注げば実となり花となる可能性がある。
もしかすると花は簡単に咲かないかもしれないし、花にならないこともあるかもしれない。
それでもきっと、自分が注いだじょうろは鮮やかに輝くのだ。
結果は裏切るかもしれないが、努力は裏切らないのだ。
そうして愛を注いだ世界は今よりもきっと鮮やかで眩しいものになるだろう。
もしダメでもまた次の花を咲かせに行けばいい。
世界は一つではない。自分自身で無限に作ることができるのだから。

久しぶりにカフェインとしてではなく、飲み物としてラテを味わう。
世界の変化は時としてノンシュガーのラテですらも甘くしてくれるようだ。

■睡蓮のプロフィール
休みの日の相棒はスタバ。いろんなことに興味が湧くので次の瞬間には別のことを考えてます。

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