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「下着をつけなさい!」“下着のない世界”に転移した凄腕ランジェリーデザイナーが女性たちの美と健康を救う

  • 2025.1.9

いまだ人気が衰えない異世界転生作品の中でも、女性の下着をテーマに描いた『異世界ランジェリーショップ』(岡まだち:作画、今井真椎:原作/KADOKAWA)。下着という魔法で女性たちの悩みを解決する、異世界お仕事マンガである。

凄腕ランジェリーデザイナーである山下匠海は、不慮の事故により中世ヨーロッパ風の異世界へと転移してしまう。街中の女性たちを見回すと、みんな当たり前のように下着を身につけていない。そんな女性たちの姿に、衝撃と憤りを覚える匠海。

本作では、匠海が異世界でランジェリーショップを開業し奮闘する姿が描かれていく。

19世紀後半にヨーロッパで起こった、女性が自由に動ける衣服を求める服装改革運動をきっかけに、現在のブラジャーの原型が生まれたとされている。改革が起きていないであろう異世界で、匠海は巨乳、貧乳、むくみなど、女性が抱える身体的コンプレックスを、ランジェリーによって解決。匠海が作る下着をつけた女性たちはみな「魔法のよう」と目を輝かせる。

下着は女性にとって単なる布ではなく、女性の悩みを解決する魔法のツールだと捉えている匠海。彼の熱意に、異世界の女性たちだけでなく読者も自然と引き込まれてしまう。

女性の悩みに寄り添う温かいまなざしが随所に感じられる本作。匠海の「世界中の女性にランジェリーで魔法をかけたい」という想いによって、異世界の人々がもつランジェリーに対するイメージも徐々に変化していく。その様子はまさに、ランジェリーの歴史そのものであろう。

作中では、下着がもつ機能性と美的価値が丁寧に描かれる。匠海のデザイナーとしての専門知識と、素材に関する深い理解が、物語に説得力を与えてくれるのだ。

ランジェリーという一見マイナーにも思えるテーマを、壮大かつ魅力的に描くことで、女性はもちろん男性にとっても楽しめる作品となっている。異世界ファンタジーとしても、お仕事マンガとしてもおすすめの1冊である。

文=ネゴト / Ato Hiromi

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