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弱そうでかわいい?他人の中で勝手につくられる「私」に鳥肌が立った

  • 2025.1.9

からだを隠すような服を好んで着ている。理由は2つある。1つ目は、日光に当たると持病が悪化するから。2つ目は「弱そう」と思われるからだ。1つ目の理由は最悪命に関わるけど、私が気にしているのは2つ目の理由だ。

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細身で色白。一言で言えば、それが私のからだである。自分のような見た目の人は別にめずらしくもなんともない。病気じゃなくても日焼けに気をつけている人は大勢いるし、日本ではやはり細身の体型を目指している人が多いように感じる。薬の副作用で筋肉が分解されやすい分、私の場合は筋肉で引き締まって細いわけではないが。

腕まくりをしたり、日光の当たらないところで半袖になったりしたときの「白いね」、「細いね」という声が嫌いだ。肌を出す、体型がわかる、そしてその感想を言われることに、自分のからだが「見られている」ことを強く意識してしまう。相手に悪気はないのかもしれないが、自分が難病を患っていて、健常者ではないという自覚があるゆえに、他人の視線を気にしたり、言葉にして言ってしまうほど気になることだったのかと過剰に反応したりしてしまう。

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さらに不快に思っているのは、からだの見た目から、「肌も弱そうだよね」、「運動できなさそう」、「守ってあげたい」などと言われること。他人が、私の見た目から「弱いもの」、「庇護の対象」と思っているのが伝わってくるのが嫌だった。学生のときに年上の男の人に、「弱そうでかわいい」と言われたときには嫌悪感で鳥肌が立った。見下したような物言いに腹が立ったと同時に、誰かに何かされそうになったときに抵抗できないかもしれないという恐怖が押し寄せたのを今でも覚えている。何も言っていないのに、「できないでしょ、やってあげる」と言われることも多かった。見た目でわかる体型だけで、他人の中で「私」がどんどん勝手に作られていく。他人の妄想は止められないし、いちいち訂正することにも疲れ、いっそのこと、そのイメージに沿った方がいいのだろうかと悩んだこともあった。

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でも、ある程度は仕方が無いのかもしれないと最近は思っている。見た目が他人に与える印象というのは大きい。実際私も、口には出したことはないが、筋肉で引き締まっている人を見れば力が強くて自信家な性格を思い浮かべたり、お腹が出ている人を見れば「運動苦手なのかな」と思ったりしていた。誰かの体型を見て何かを思ったり、そこから浮かぶ性格などを考えなくなったのは、自分の病気がわかり、他人に体型のことや肌の白さなどを言われて嫌だと思うようになってからだ。まさに、「自分がされて嫌なことは他人にもしない」というわけだ。

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褒められるにしろ、けなされるにしろ、「からだ」や「体型」について言われるのが嫌な人は多いのではないだろうか。一生の心の傷になる人だっている。いくら慎重になってもなりすぎる、ということはないのではないか。むしろ、話題にあげないよう暗黙の了解が広がればいいのになと思っている。

■シオヤキのプロフィール
難病と生きる20代前半女性。

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