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マスクも、ネイルチップも。すべては爪を噛む癖から脱するため

  • 2025.1.9

私は、ヤクルトのフタを開けるのがへたくそになった。

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ほぼ毎回、開けるタイミングでフタに穴をあけてしまう。へたくそになってしまった理由、それは爪が伸びてしまったからだ。ヤクルトを飲む前に穴があいているフタを見て、私はその理由がわかっていなかった。フタをあけるときに、フタの表面に指をあててしまい、力がかかり爪で穴をあけてしまうのだと気づいたとき、私は成長したと感じた。

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私には、つい最近まで爪を噛む癖があった。直すまでには時間がかかった。ぼろぼろの爪に別れを告げたいと思い、なんとか直すことができた。

中学1年生のとき、担任の先生から、「爪を噛んでいるのを不快に思っている生徒がいるから、その癖を直してほしい」と言われた。相当なショックを受けた。私は昔から爪を噛む癖があり、噛んでしまっても仕方のないことのように思った。無意識に行われるものであることも理解していた。だから余計にショックを受けた。爪を噛むのが良くないことなのはわかっているのに。私だってやりたくてやっているわけではないのに。

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まず私は、マスクをつけるようになった。爪を噛むのを強制的にやめさせるためだった。中学3年生のときにコロナがはやり、周りはマスクに慣れていない様子だったが、私はとうに慣れていた。爪を噛む癖がほとんど直った今でも、マスクは手放せずにいる。

この作戦は、失敗した。家ではマスクを外しているため、家の中では噛み放題。学校では爪を噛めないことからさらにストレスが増して、家ではもう噛む場所がないくらいには噛んでいた。伸びたらすぐに噛んでいたため、爪の白い部分をめったに見なくなった。
「爪を噛むことは、本当に悪いことなのだろうか」
私はそう考えたことがある。中学時代にも不快に思っている人がいると言われたので、答えは「Yes」だろう。人を不快にさせることは悪いことである。ただ、私には悪気がない。かといって、悪気がなければ悪いことではないのかと問われれば、絶対そんなことはない。
爪を噛むことに対する考えに縛られ、尚更ストレスを溜め、爪を噛む。そんな悪循環が続いた。

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そんな私が爪を噛む癖を直したのは、大学生になってからだった。大学1年生の夏休み、爪を噛む癖を本気で直そうと思った私が始めたのは、ネイルチップづくりだった。

ネイルチップを爪に貼るためには、ある程度爪を伸ばさなければならない。それを利用して、自分のつくったネイルチップを爪に貼りたいという気持ちを胸に刻ませた。

そこから、癖を直したのは案外すぐのことだった。ネイルチップづくりがとても楽しく、いつしか自分がつける分以上にネイルチップをつくってしまっていた。逆にネイルチップをつけずに自分のありのままの爪を見たいと思ってしまい、自分のつくったネイルチップは、まだ一度も自分の爪につけていない。

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深爪ではない自分の爪を見て、気分が上がる。これは自分の努力の結晶なのだと感じる。今自分が一番好きな体のパーツを聞かれたら、私は間違いなく「爪」と答える。爪は生え変わっていくし、私もそんな爪に負けないように、成長し続けていきたい。

■伶佳 零のプロフィール
レイカ・ゼロ
2005年生まれの大学生。趣味はクイズと読書。エッセイの他に、短歌もつくる。
Twitter:@reika_zeroro

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