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雪で停電が起きる! 原因や非常時の備えを解説

  • 2025.1.9

冬になると、雪の影響で停電が発生することがあります。なぜ雪で停電が起こるのか、停電が起こりやすい気象条件、雪による停電への対策などを紹介します。

雪で停電が起きる原因

雪で停電が発生する理由のひとつに、電線への着雪があります。着雪とは雪が物に付着する現象のことで、特に水分を多く含んだ湿った雪が降ったときには、着雪が大きくなりやすく、断線などのトラブルにつながることがあります。

雪の重さで電線が切れる

着雪が大きくなると、雪の重さで電線が切れる恐れがあります。降り積もった雪の重さに風の影響などが加わり、電線を支えている鉄塔が倒れることもあります。また、近くの木が電線に倒れかかり、断線して停電の原因となることも少なくありません。

スリートジャンプによる電線のショート

電線に付着していた雪がまとまって落ちるときの反動で、電線が跳ねあがる現象をスリートジャンプといいます。このときにほかの電線と近づいたり、接触したりしてショートすることがあります。ショートとは、電気抵抗のない回路を大きな電流が一気に流れることで、停電の原因となります。

風の影響によるギャロッピング現象

風を伴う雪は、停電のリスクが高まります。電線に雪が付着しているときに風が吹きつけると、電線が大きく振動するギャロッピング現象が起こることがあります。ギャロッピング現象により電線同士が接触すると、ショートして停電が発生します。

電力会社では停電による被害の拡大を抑えるために、電線の故障を速やかに検出し、電力系統から切り離す措置をとっています。こうした対策により、ショートが発生しても瞬間的な電圧低下ですむことがあります。

また、積雪の多い地域では電線への着雪を防ぐための対策なども行っています。しかし、雪による停電を完全に防ぐことは難しく、普段から停電が起こった際の備えをしておくことも大切です。

雪による停電が発生しやすい気象条件

雪による停電が警戒されるのは、電線に着雪しやすい気象条件のときです。天気予報では、着雪による停電の恐れを知らせる「着雪注意報」をはじめ、雪と風に関連する注意報・警報に気をつけましょう。

着雪注意報

着雪注意報は、着雪の影響で電線が切れたり、電線を支える鉄塔が倒れたりする恐れがあるときに発表されます。着雪は、雨と雪の境目となる気温0度前後のときに降る、水分を含む湿った雪のときに大きくなりやすいです。また、降雪だけでなく風も吹いているときには、停電の原因となるギャロッピング現象が起こりやすくなります。

大雪注意報・大雪警報

大雪注意報は、降雪や積雪の影響による住宅などへの被害、交通障害など大雪による災害が発生する恐れがあるときに発表されます。大雪警報は、大雪による重大な災害の恐れがあるときに発表されます。

大雪の基準は、注意報・警報が発表される地域によって異なります。普段から雪の多い地域では、災害への対策を行っているからです。

たとえば、豪雪地帯の新潟県新潟市では6時間降雪の深さ15㎝で大雪注意報、30cmで大雪警報が発表されます。一方、東京23区では12時間降雪の深さ5㎝が大雪注意報、10㎝が大雪警報の基準です。

関東地方でも、箱根など神奈川県西部の山地では12時間降雪の深さ10㎝が大雪注意報、30cmが大雪警報の基準となっています。

雪の少ない地域では、豪雪地帯ほどの大雪が降らなくても、停電をはじめ様々な災害に警戒が必要です。

風雪注意報・暴風雪警報

風雪注意報は、雪を伴う強風の影響で災害が発生する恐れがあるとき、また暴風雪警報は、雪を伴う暴風により重大な災害が発生する恐れがあるときに発表されます。

風雪の基準も、注意報・警報を発表する地域によって異なります。

一例として新潟県新潟地域では陸上で15m/s(10~3月)の雪を伴う風が、東京23区では陸上で13m/sの雪を伴う風が風雪注意報の基準となっています。

ただし、雪による停電の原因となるのは強風・暴風に限りません。着雪は風速3m/s以下の微風でも大きく成長することがあり、雪を伴う風が吹いているときは、風の強さにかかわらず停電に警戒が必要です。

太平洋側の南岸低気圧

西日本や、東日本の太平洋側は雪の少ない地域ですが、数年に1回程度大雪が降り停電が発生しています。太平洋側の雪は、南の海上を通過する「南岸低気圧」によってもたらされることが多いです。

通過する位置や雲の広がり方によっては、雨や雪を伴わないこともありますが、南岸低気圧の接近中は、冷え込むにつれて雪への警戒が必要になるでしょう。

雪による停電の備え

停電すると、エアコン、床暖房、オイルヒーターなど電気を使う暖房器具が使えなくなります。雪による停電では、凍死や低体温の危険から身を守るための寒さ対策が重要です。

寒さ対策

写真:PIXTA

石油ストーブなど、電気以外のエネルギーを使う暖房器具を用意して停電に備えましょう。ただし、灯油は古くなると火がつきにくくなったり、異臭が発生したりなどのトラブルの原因となります。毎冬新しく購入し、使い切るようにしましょう。

カセットガスを使うタイプのストーブもありますが、気温が5度以下になるとカセットボンベのガスが気化しにくくなるため、雪のときには使えない恐れがあります。

暖房が使えないときは、家の中でもコートやスキーウェアを着る、布団や毛布の中に入って過ごすなどの方法で寒さをしのぎましょう。

使い捨てのカイロも役立ちます。お湯を沸かすことができれば、湯たんぽで暖を取る方法もあります。

雪が降っているときにエアコンが止まる、暖かい風が出なくなるなどの不具合が発生することがあります。停電ではない場合、室外機が雪で埋もれていないか確認しましょう。

空気の吸い込み口、吹き出し口がふさがれないよう、室外機周りの雪かきを忘れないようにしてください。台などを使い室外機を雪に埋もれない高い位置に設置したり、防雪フードを利用したりする方法もあります。

自動車のエアコンも、電気が使えないときに暖をとる手段となりますが、マフラーが雪で埋もれてしまうと一酸化炭素中毒になる危険があります。

マフラー周辺は定期的に雪かきをしましょう。雪が降り積もっている最中に、車のエンジンをかけたまま寝てしまわないよう、注意してください。

水道凍結への備え

写真:PIXTA

気温が-4℃を下回ると、水道管が凍結しやすくなります。溶けるまで水が使えなくなるだけでなく、水が凍るときに膨張して水道管が破裂する原因となります。

雪が降るほどの冷え込みが予想されるときは、水道管が凍らないよう対策をしましょう。

・水道管に保温材を巻く

凍結しやすいのは、建物の外でむき出しになっている部分の水道管です。市販の保温材や、タオル、製の水道管カバーなどを巻きつけて、凍結を予防しましょう。

・水道管の水抜きをする

寒冷地では、就寝前や旅行などの前に凍結防止として水道管の水抜きをすることが推奨されています。

水道管に凍結防止ヒーターを設置している場合、停電時にはヒーターが機能しなくなります。凍結による水道管の破損を防ぐために、水抜きを行いましょう。

・給湯器の凍結にも注意

給湯器の凍結防止方法は、機種により操作が異なります。取り扱い説明書などで確認しましょう。

温かい食事をとれる準備

手軽に温かい食事がとれるように、お湯を注ぐだけのカップラーメンや、温めるだけのレトルト食品などを備蓄しておきましょう。

キッチンのガスコンロは、電池を使うタイプであれば停電時でも使用できます。電源に接続して使うタイプのガスコンロや、IHコンロは、停電時には使用できません。カセットコンロとカセットボンベを用意しておきましょう。

一般的なカセットボンベは、気温が5度以下になるとつきにくくなるため、低温時対応のカセットボンベと、それに対応しているコンロを選ぶとよいでしょう。

カセットガス1本の燃焼時間は、商品や使用する条件などにもよりますが、強火で1時間程度が目安です。家族の人数にもよりますが、1日1~2本を目安として用意しましょう。

調理と暖房の両方に使える石油コンロも、冬の停電には心強いアイテムです。

明かりの用意

冬は日没が早いので、停電時の明かりを用意しておくことも大切です。懐中電灯だけでなく、部屋全体を照らせるランタン型の明かりがあるとよいでしょう。

懐中電灯の上に水を入れたペットボトルを乗せて光を拡散させ、ランタンのように部屋を照らす方法もあります。

雪で鉄塔が倒れた場合などは、停電が長期化する恐れもあります。替えの電池を用意しておきましょう。ソーラー充電や手回し充電に対応している懐中電灯やランタンもあります。

電力の確保

大容量のポータブル電源があると、停電時でも電子レンジや炊飯器、電気ケトルなどの普段使っている家電製品を使うことができます。携帯電話・スマートフォンの充電は家族分に対応できます。

停電時に限らずアウトドアなどでも重宝しますが、使ったあとは忘れずに充電しておきましょう。

まとめ

雪が降るほどの寒さで停電が起こると、エアコンなどの暖房器具が使えなくなり、低体温症など命に関わる危険があります。

通常の停電対策に加えて、寒さ対策をしっかりと行いましょう。

<執筆者プロフィル>

山見美穂子
フリーライター
岩手県釜石市生まれ。幼いころ両親から聞いた「津波てんでんこ」の場所は、高台の神社でした。

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