Text by 石井彰(編集部)
サッカーは本質的にチームスポーツであり、選手はそれぞれにポジションという役割を与えられ、一人ひとりが与えられたタスクをこなす。特に戦術が重要になった現代では、選手たちが協力をしてチームのために結果を残さなければならない。
今回は『Givemesport』から「チームのために最も無私無欲になったスター選手TOP10」をご紹介する。
10位:オリヴィエ・ジルー
クラブ:モンペリエ、アーセナル、チェルシー、ACミランなど
オリヴィエ・ジルーはキャリアを通じて最も信頼できる点取り屋ではなかったかもしれないが、多くの監督から高く評価されたフォワードであった。彼はチームを機能させられる選手だったからだ。
ディディエ・デシャン監督はフランス代表で彼を起用したが、2018年のワールドカップでは1ゴールも決めていない。しかし大会の全試合で出場し、エムバペやグリーズマンのために体を投げ出して戦った。世界最高のポストプレーヤーであった。
9位:ジェームズ・ミルナー
クラブ:ニューカッスル、マンチェスター・シティ、リヴァプールなど
リーズ・ユナイテッドで攻撃的MFとしてキャリアをスタートし、当時のプレミアリーグ最年少出場記録を更新したミルナー。長いキャリアの中で様々なポジションを経験し、最強クラスのユーティリティプレーヤーとしてプレミアリーグでプレーし続けている。
マンチェスター・シティとリヴァプールでも成功を収めることができたのは、そのプロ意識と仕事量の多さ、そして監督の目を引くほどの信頼性であった。
8位:パク・チソン
クラブ:京都パープルサンガ、PSVアイントホーフェン、マンチェスター・ユナイテッド、QPRなど
多くの人にパク・チソンのことをどう思っているか尋ねた場合、その答えのほとんどが「素晴らしい人物だった」というものだろう。非常に才能豊かでありながら、自分自身を削り取るようなプレーで仲間のために走り抜いた。
PSVでは3トップの一角を務めていたが、マンチェスターにやってきてからはより守備的な形で起用されるようになった。彼は不満一つ言うことなく自分の仕事をやり続けた。クラブの黄金期を作り上げた影の立役者だった。
7位:エンゴロ・カンテ
クラブ:レスター・シティ、チェルシーなど
多くの点でパク・チソンと重なるところがあるエンゴロ・カンテ。カーンからレスター・シティにやってきたときにはほぼ無名の選手であったが、クラブを驚きのプレミアリーグ優勝に導き、世界最高峰の守備的MFとして認められた。
しかしその性格は地味そのもので、チームメイトの多くがスポーツカーを自慢する中でミニクーパーを好み、質素で穏やかな生活を続けた。スポットライトを浴びたいという意思は微塵も見せず、トロフィーすらも恥ずかしがって掲げようとしなかったほどだ。
6位:メスト・エジル
クラブ:シャルケ04、レアル・マドリー、アーセナルなど
ピッチ外でどうだったかはわからないが、ピッチ内でのメスト・エジルはまさに「仲間のアシストをすることが最大の興味」であった選手だ。世界で最も高い技術を備えた人物であるが、それを一撃必殺のパスのために使った。
その天才的な創造力、左足から繰り出される変幻自在のボール、それをチームメイトのゴールのために披露するという意欲。それが彼のプレーメーカーとしての流儀であった。
5位:ソン・フンミン
クラブ:レヴァークーゼン、トッテナムなど
トッテナムでそのキャリアの大半を過ごしているソン・フンミン。彼はその中でほとんどの時間を「ハリー・ケインの黒子」としてプレーしていた。そのサポートはまさに影のエースであった。
そしてケインがバイエルン・ミュンヘンへと移籍したあと、トッテナムで彼は正真正銘のエースにならざるを得なくなっている。彼は以前のようにチームメイトのために働いているが、支えるべき最高の9番を欠いている状況だ。
4位:ロベルト・フィルミーノ
クラブ:ホッフェンハイム、リヴァプールなど
リヴァプールではモハメド・サラ―とサディオ・マネという二人のスピードスターとともに3トップを組んだフィルミーノ。このトリオがたくさんのゴールを決められたのは、彼の無私無欲の姿勢があってこそだ。
ゴールスコアラーというよりクリエイターとして、サラーやマネが中心になれるように偽9番としての仕事を全うした。純粋な技術で言えば彼が最も素晴らしかったが、その才能をサポートのために生かした。
3位:トーマス・ミュラー
クラブ:バイエルン・ミュンヘン
ミュラーはキャリア全体を一つのクラブで過ごしている。しかし、彼がバイエルン・ミュンヘンのエースであったことは一度もなく、常にチームのために役立つ影の役割を果たしている。
ロッベンやリベリ、レヴァンドフスキ、ケインなど常にミュラーよりも華々しい選手がいて、彼は常にそれを支える側だったが、その与えられた仕事に対して100%のエネルギーを注いだ。歴史上最も過小評価されている選手の一人であろう。
2位:カリム・ベンゼマ
クラブ:リヨン、レアル・マドリーなど
絶好調のクリスティアーノ・ロナウドを擁する攻撃陣でプレーするのであれば、誰もが一歩下がらなければならないのは当然だ。カリム・ベンゼマは世界トップクラスのFWでありながら、その役割にパーフェクトな適応を見せた。
ロナウドがレアル・マドリーを去るまで、ベンゼマという男がどれだけの才能を備えているかということを誰も知らなかった。絶対的なエースとなった彼は、ロナウドに匹敵するほどの能力でチームを牽引し、自らもバロンドールを獲得した。
1位:ウェイン・ルーニー
クラブ:エヴァートン、マンチェスター・ユナイテッドなど
カリム・ベンゼマと同じく、クリスティアーノ・ロナウドを活躍させるために自分の能力を使うことになったウェイン・ルーニー。10代にして世界にインパクトを与えたワンダーキッドは、突如得点力に目覚めたロナウドを生かすためにチームプレーヤーとなった。
その後もロビン・ファン・ペルシーとのコンビでサポート役に回り、本来のポジション以外でのプレーも受け入れた。才能だけで言えば、ロナウドやメッシと並ぶ存在だったはずだが…。