27歳の元Jリーガー、帰化した代表で英雄になるも悲劇の重傷…相手の女性会長が自腹で入院費負担

Text by 井上大輔(編集部)

「東南アジアのワールドカップ」ともいわれるASEAN三菱電機カップで優勝を飾ったベトナム代表。

7ゴールで得点王とMVPをダブル受賞したのは、ベトナム代表FWグエン・スアン・ソンだ。

グエン・スアン・ソンことラファエルソンは、ブラジルから帰化した27歳のストライカー。2018～2019年にはべガルダ仙台に在籍した元Jリーガーでもある。

2019年12月からベトナムで暮らしており、今大会で代表デビュー。圧倒的な得点力で一躍ヒーローになると、国から勲章まで授与される予定。

だが、5日の決勝戦2ndレグで悲劇に見舞われた。右脛に自分の体重が圧し掛かる形になり、脛が折れてしまったのだ。腓骨と脛骨を骨折する重傷だったが、手術は無事に成功している。

『Thairath』などによれば、タイサッカー協会会長のマダム・パン氏は、ラファエルソンのタイ滞在時の入院費用を自腹で支払ったという。

マダム・パンことヌアンパン・ラムサム氏は、タイ大手の保険会社の会長兼CEOを務める女性実業家でもある。

ラファエルソンはタイ選手のせいで負傷したわけないが、タイ側が入院費を負担するのには理由があるようだ。

大会規定によると、負傷した選手の入院費はホスト国が負担するとのこと。ラファエルソンが怪我をした試合はバンコクで行われたため、本来はタイサッカー協会が入院費を負担するはずだが、パン氏はそれを自ら支払ったとのこと。

ベトナム紙『Dan tri』は、「マダム・パンが寛大な心を示し、グエン・スアン・ソンの治療費を支払う。タイサッカー界のトップの行動は、ベトナムのファンから熱烈な支持を得ている」と伝えている。